下仁田「コロムビア」 白滝とネギがあれば、やっぱりすき焼きでしょう!

下仁田「コロムビア」 白滝とネギがあれば、やっぱりすき焼きでしょう!

今日は群馬は下仁田から、名産品を使った土地の味「下仁田のすき焼き」をおつまみにして、ビールや日本酒を楽しもうと思います。

さてさて話はそれますが、私は幼い頃、蚕から繭になるまでを授業の一環で経験したことがあります。当時は漠然として絹糸の存在はわかっていたのですが、当時はその価値がわかりませんでした。なんとなく蚕と絹が「群馬の富岡・下仁田と関係している」という記憶は残ったのですが…。

2014年に世界遺産に登録された富岡製糸場と絹産業遺産群は、そんな脳の片隅の記憶を呼び起こし、いつかは見に行ってみたいと思ったものでした。

お勉強的な見学を済ませたならば、ご褒美は土地の味!ということで、下仁田すき焼きが楽しめる店「コロムビア」を訪ねることにしましょう。

 

富岡で生産された絹糸は、日本版シルクロードとして敷設された現在のJR八高線、JR横浜線で横浜貿易港へと運ばれたそうですが、同じルートを辿るのは時間がかかり列車本数もすくなくてたいへん。

 

今回は高崎まで上野東京ライン、そして上信電鉄に乗り換え富岡・下仁田へ。昔、練馬を走っていた西武線そっくりの電車に乗って、下仁田までは約1時間の電車旅。ガタゴト走る田舎の電車は旅情たっぷりです。

群馬のイメージキャラクターぐんまちゃんが描かれたラッピング電車も。かわいい!

 

沿線は富岡製糸場だけでなく、地酒「聖徳」をつくる聖徳銘醸や名産品のこんにゃくをつくる食品工場が点在しています。

 

関東平野の縁を走る電車は、やがて鏑川の渓流沿いを分け入るように登ってゆき終点・下仁田駅に到着します。全国区「下仁田ネギ」で知られる街です。

 

のどかな雰囲気の駅舎から100mほど進むと下仁田町の中心市街。

 

レトロな町並みに、幼い頃の思い出がよみがえるよう。昔はどこの町にもこんな小さな商店街がありましたよね。食堂、洋食店、肉屋に中華、そしてスナックなどが軒を並べています。かつて花街だった中央通りには、鉱山や絹に携わる人々の賑わいがあった名残を感じられます。

 

コロムビアもそんな中心街の一軒。フォントマニアの心をくすぐるレトロな書体が楽しいです。喫茶店か洋食レストランのような店名ですが、ここは通常はすき焼きのみを提供するお店。

 

まるで民宿のような佇まい。

 

数段下がったところにスナックのようなカウンター席があり、その手前を靴を脱いで上がると、旅館か料理屋ような座敷が広がります。予約が入っていなくても、すき焼き鍋セットは全テーブルにセット済み。

 

物語の世界に迷い込んだような不思議な空間。旅館の座敷のようにちょっとしたステージがあり、カラオケマシーンもセットされています。店の歴史は長く、往時の下仁田中央の姿が想像できるような空間です。

 

ささ、喉が渇きました。ビールにしましょう。2000年まで高崎にはキリンビール高崎工場があったからか、群馬の老舗はキリン率高め。コロムビアもキリンで、一番搾りとキリンラガーの2銘柄を揃えています。

それでは乾杯!

 

ビールは瓶ビールのみ、大ビン700円。日本酒は地元銘柄で1合400円。それに梅酒が加わります。

看板料理のすき焼きは、ブランド牛の上州牛をつかったすき焼き(2,900円)と、地元下仁田ポークをつかった豚すき焼き(1,300円)。値段が倍以上違いますが、女将さんの話だと、この界隈はすき焼きには豚のほうが定番なのだそう。

加えておつまみに枝豆とぎょうざが加わり、メニューは以上。とってもシンプルです。

 

ほどなくしてセット完了。一人前から注文可能(写真も一人前・ごはん付)。

 

ボリュームがしっかりあり、これで1,300円は大変オトク感があります。

下仁田はネギ、そしてこんにゃくの名産地。それに下仁田ポークや地元のしいたけが加わり、ほぼすべて下仁田で完結したこのすき焼き。旧花街の不思議な大箱でつまめば、これも楽しい地域見学のひとつです。

 

最初はネギと豚を焼き、ネギが軽く焦げるときにでる甘味、旨味をしっかりと油と豚に溶けさせます。

 

しっかり甘めの割りしたを入れ軽く煮立てば完成です。漂うネギと割り下の香りに、たまらずビアタンを空にします。

 

とろっとしたネギの甘い部分をまとった豚肉に生卵を絡ませ一口。すき焼きは濃い味の料理なのでビールもよいのですが、これはお燗酒をあわせても良さそう。割り下だってお酒を使っているのですから、あわないはずがありません。

 

クタクタになったすき焼きの具を温まった玉子に浸し、甘からとろとろを肴に、きゅっと一献。山間の下仁田は、高崎市内と比べ幾分気温が低く、お燗酒が進む環境です。

 

土地の歴史と地の食材を楽しむひととき。明るい時間からいい感じに出来上がりました。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材時期/2020年2月以前)

 

コロムビア
0274-82-3128
群馬県甘楽郡下仁田町下仁田362
12:00~14:00・17:00~19:00(不定休)
予算2,500円