冬でも平均最高気温が20度まであがる沖縄県竹富島。国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された島内の建物は、赤瓦の上にシーサーが置かれ、建物の周囲を囲む石垣は高さ1.5mほどの琉球石灰岩を積んだものという、沖縄古来の景色が残されています。
水牛がのんびりと砂利道を進む景色は、まるで一世紀以上昔にタイムスリップしたような気分になります。そんな島内で貴重な居酒屋利用ができる食堂「たるりや」をご紹介します。
車海老やゴーヤチャンプルをおつまみにして、キンキンに冷えたオリオンやシークァーサーサワーで乾杯です。
竹富島へは、主要都市から直行便が多数就航しいる南ぬ島 石垣空港から、一旦石垣市中心街へ。
中心街にあるフェリー乗り場「離島ターミナル」から高速船で10分という場所。石垣島に滞在するならば、一度訪ねておきたいエリアです。
船内からの眺めが美しいのはもちろんですが、島内はどこをみても絶景だらけ。飲み屋街の路地が好きですが、こういう景色だってもちろんいいものです。「あぁ、ビールが飲みたい」とつぶやきながら、島内散策に繰り出します。
島内には神社もあります。ここは火の神と農耕の神を祭る世持御嶽。
船着き場から島の反対側まで、歩いていける距離の小さな島。今は使われなくなった船着き場「西桟橋」は、別世界へと続く海の橋のよう。
浜辺から突き出した旧桟橋からは、海に入らなくともちょっとしたマリンレジャー気分に浸れます。
さてさて、戻ってきました。島内中央付近の集落にある「たるりや」。他の住宅や民宿と同じ普通の家のような佇まいで食堂感はありませんが、お宅の庭にテラステーブルが並んでいます。
民家の勝手口のようなところから、お店の”おじぃ”・”おばぁ”に注文。はーい、ちょっとまっててね、どこに座ってもいいよと。屋内席はなく、パラソルの下でのんびり乾杯。
青い空、心地よい気候、太陽を浴びたオリオン生ビール(写真は大500円)。うっかり撮影前に飲んでしまうほど、心が溶けていく場所でした。夜は星空を眺めて飲むのもきっと格別でしょう。
車海老といえば北海道南部から北陸、宮城県などが産地として知られています。ですが、養殖の生産量日本一が沖縄県だということをご存知でしたか。竹富島島内にも養殖場があり、島の名物食材のひとつとなっています。
南国の島で食べるエビフライ(セット1,650円)もまたまた一興。揚げたてサクサク、セットは大ぶりの車海老が4~5尾と、ごはん、そばの汁、もずくなどの小鉢がついています。
ぷりっぷりの海老は食べごたえ十分。甘い余韻が優しく続くところに、オリオンをすかさず重ねます。店の脇を通る水牛車からは三線が奏でる沖縄民謡がときおり聞こえるBGM。あとはとっても静かなです。
シークァーサー濃いめ、泡盛濃いめのシークァーサーハイ(500円)をときおり口に運びながら、ぼーっと。スマートフォンも開かず、ただひたすらのんびり。
喧騒の都会をはしご酒する楽しさとは真逆にありながら、たまにはこういう時間も必要だと改めて感じさせてくれる沖縄離島飲み。思い出に残る飲み歩きになりました。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
たるりや
0980-85-2925
沖縄県八重山郡竹富町字竹富384
11:00~16:00・19:00~24:00(不定休)
予算1,500円