牧志「山羊料理さかえ」 旅先の酒場にある非日常。ねぇねのトークと泡盛に酔う

牧志「山羊料理さかえ」 旅先の酒場にある非日常。ねぇねのトークと泡盛に酔う

2018年8月6日

沖縄では、山羊肉を食べる習慣があります。滋養強壮に良いとされ、お祝いごとなどで食べられてきたそうです。

現在は酒の肴のひとつとして親しまれ、沖縄の飲み屋で見かけることも多いです。そんな山羊ですが、なかなか主張の強い食材で、これを汁や刺身で食べるものの、地元うちなんちゅでも好き嫌いがはっきり別れるのだとか。

私は山羊の独特な風味がたまらなく好きで、泡盛の旨味やコクとの相性の良さが抜群に思います。それ自体が沖縄にいく目的と言っても過言でないくらいです。

そんな山羊料理を那覇の中心街でつまみたいとき、「山羊料理さかえ」は外すことのできないお店です。

 

修学旅行生や外国人も行き交う観光地・国際通りから一本入ります。ここは竜宮通り社交街と呼ばれ、沖縄ムード漂う飲み屋通りです。

 

といっても、まだまだここも観光地。近隣にホテルも多いことから、旅行者が主なお客さんになる横丁も存在します。

 

そんな竜宮通りでひときわ渋い建物に「さかえ」はあります。

創業は、沖縄返還の2年前、いまからおよそ50年前となる1970年です。その頃は、まだ自動車も右側通行だったわけですから、その後の出来事を思うほどに店の歴史の長さを感じます。

お姉さんのことを沖縄では「ねぇね」と言いまして、「さかえ」は二代目となるねぇねが切り盛りするお店です。

 

お酒は泡盛メインに瓶でオリオンビールが用意されています。泡盛のボトねも白百合や瑞穂、うりずんなど4合で2,500円と、数人ならばこれで大満足できそうです。

 

料理は看板の山羊料理。さしみ、いため、焼きなどあって1,500円。海ぶどうやからし菜ちゃんぷるなど書かれていますが、品書きにないものも多く、ねぇねと会話の中で選んでいきます。

 

テンション高くお話が続くねぇねは、沖縄の人の陽気さやノリの良さいっぱいの太陽のような方。ずっとねぇねのペースで会話も料理も続くのですが、それが不思議と心地よいです。まるで魔法にかかったかのようで。

 

二人以上なら予約可能。お一人様は予約を受けていませんが、ねぇねとの会話が楽しめるカウンターで、一人・二人をおすすめしたいです。人数が多いと奥の部屋に案内されます。

一杯目はもちろん沖縄の星、オリオンで。乾杯!

 

よっ!待っていました、山羊さしみ。どうですか、美味しそうでしょう。あぁ、写真を見ていたらよだれが…(笑)

山羊料理は観光客にも人気で、最近は冷凍の外国産のものも入ってきているそうですが、「さかえ」では生のものを切り分けています。皮、もも、赤身という盛り付けです。

 

オリオンビールはもちろん、古酒だけでなく全般的に泡盛と好相性。一度食べて飲んだら忘れられない組み合わせになるはずです。

 

生姜おろし醤油とカットしたにんにくを載せて頬張ります。ラムとも違う独特な味で、皮にいくぶんけものっぽさを感じるものの、それもまた個性として楽しく、泡盛が進みます。もっちもちの食感の赤身、あっさりした印象なのに余韻が長い脂、コリコリの皮もたまりません。

 

お酒はせっかくなので古酒にしてみました。濃厚な味が山羊の余韻に触れてさらに複雑に変化するよう。飲んだ後はすっきりさわやかで、同じ土地の食べ物とお酒ならではの自然なバランスに感動します。

 

山羊料理のほかは大衆価格の郷土料理が用意されていて、そちらを目当てに来る方もいらっしゃいます。

 

サービス精神いっぱい、元気いっぱいのねぇね。旅先の酒場で出会う地元の人とのお話は、ガイドブックの表紙になるような観光地にも勝る旅の魅力です。

美味しい料理とお酒、そして素敵な出会いがここにあります。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

山羊料理さかえ
098-866-6401
沖縄県那覇市牧志3-12-20
17:00~23:00(日は不定休)
予算3,000円