子供の頃、近所のスーパーの店先にあった小さな焼き鳥屋台で焼鳥を食べるのが好きでした。おつかいのご褒美目当てで行くほどに。店先の片隅の小さなカウンターで食べていると、少し大人になった気がしたものです。
その気持ち、大人になっても消えないもので、いまでも焼き鳥屋さんを見かけると少しテンションがあがります。あの頃、片手にあったリボンシトロンは、いまはビールになったものの、心の中はいつも子供の頃のままなのでしょう。
武蔵小山駅から少しの場所にある焼鳥屋「鳥勇一番通り店」は、そんな気持ちを満たしてくれる一軒です。
鶏肉の卸として昭和初期に始まった歴史ある武蔵小山の鳥勇。以前は駅前の目立つ場所に焼鳥店を構えていましたが、再開発によって移転。現在はここ一番通り店と、武蔵小山PALMの二箇所で営業中です。
店先に立つと、持ち帰りか食べていくかを聞かれます。近所のお母さんや会社帰りのお父さんが自宅用の「おみや」を買っていくほか、早い時間から立ち食いを楽しむ人の姿も多いです。営業は14時(土日祝は12時)からと早く、さらに生ビール(500円)や日本酒(350円)も用意していることから、「昼酒処」や「ちょい飲みスポット」としても賑わいます。
国産鶏肉を備長炭で焼き上げた焼鳥は1本150円均一。次々売れていくので、常に焼き上げたストックが用意されています。ここから好きな部位を選んで、自分のお皿の上でつまむだけ。これがとっても楽しいのは、子供のころと変わりません。
タレ味で食べる場合は、保温台の中央にあるタレに自分で潜らせます。これもまた楽しい。
飲まずに軽くつまんで行く人もいますが、お酒をたのんだ人にだけお皿がでてきます。これで少し落ち着いてビールと焼鳥を楽しめますね。
様々な鶏モツを一本にまとめた「ミックス」など、人気の部位は早めに売り切れることも。
商店街から脇に逸れた路地の軒先で食べる焼鳥、そのシチュエーションもまた美味しくしてくれます。おすすめは生ビール(サッポロ黒ラベル)からのちょっぴり濃い目の緑茶割り(350円)、そして串を数本たので千円ちょっとのお会計という流れ。20分ほど楽しんで、次のお店へ梯子します。
近隣にはお昼から開いている居酒屋や立ち飲み、老舗の人気酒場もあって、飲み歩きが楽しい場所です。武蔵小山で梯子酒をされる際には、ぜひ立ち寄られてみてはいかがでしょう。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
鳥勇 一番通り店
東京都品川区小山3-24-7
14:00〜22:00(土日祝は12:00~・基本無休)
予算1,200円