埼玉県

東武スカイツリーラインの谷塚（やつか）駅。隣駅の草加と比べるとなかなか下車する機会は少ないかと思いますが、実はこの駅前に素敵な立ち飲み酒場があります。お昼から営業、センベロを楽しむ店「つづらや」です。 営業時間は午後2時からと早く、さらに土日も営業しているため、特に沿線の方には「はかどる一軒」でしょう。沿線でご用事の方も、ふらっと各駅停車に乗って途中下車を楽しまれてみてはいかがですか。 谷塚駅は海抜3.45mと埼玉県で最も低い場所にある駅です。大正14年開業、当時は一面の桑畑の中にぽつんと駅舎があったそうです。 現在は都心を支える巨大ベッドタウンの一部。商店やチェーン飲食店が並ぶ中、異色とも言える存在がセンベロ業態の「つづらや」です。 駅舎の真向かいに店があり、コンコースから赤ちょうちんが見えるほどです。雨の日も傘いらず。通勤経路にこんなお店があれば、私だったら途中下車して入り浸ります。 2・3名のスタッフで切り盛りするコンパクトなお店。厨房に向いたカウンターと、ハイテーブルが数卓並ぶつくりです。テレビが両壁面についていて、2台のテレビが別々の地上波情報番組を流していました。優しい表情のお姉さんが「いらっしゃい」と迎えてくれれば、初めてでもすぐに溶け込めるでしょう。 ビールはサッポロ。樽生が黒ラベルで、瓶は赤星ことサッポロラガーです。生中が380円（税込）とお手頃。酎ハイ類は280円で、人気はパンチレモンサワーの様子。ホッピー、バイス、ハイッピーと東京3大 瓶入り割り材も用意。 冷蔵ショーケースで気持ちよさそうに冷やされている赤星に誘われて、乾杯は瓶ビール。トトトと注いで、では！ 料理はまんべんなく揃っています。刺身はカツオやまぐろで330円、牛すじ煮込み（280円）を食べているお父さんの姿が幸せそうでした。特徴的なものと言えば、具なしラーメン（180円）でしょうか。早い時間から空いていますので、遅めのお昼ご飯を兼ねたちょい飲みというのも良さそうです。 イレギュラーとして張り出されている料理は、スンドゥブや白湯煮など個性的。 たっぷりのクリームチーズに鰹節、葱を載せたクリームチーズ奴（280円）。お豆腐にチーズが載っているものかと思っていましたが、お豆腐の分まで山盛りクリームチーズでした。 これで中瓶なんて、あっという間。簡単なおつまみですが、こういうのをチビチビつまんで過ごす午後3時の酒場時間がたまらなく好き。 ハムカツ（150円）は、もちろん揚げたてで提供されます。サクサクの衣にたっぷりのソースと辛子。濃い味で頬張って、余韻にすかさずビールや酎ハイを追いかけます。 こちらがパンチレモンサワー（280円）。同じお店にレモンサワーとパンチレモンサワーの2種類がある、しかも同じ値段というところが不思議。 パンチレモンはレモン系シロップでお馴染みのポッカ（現在はポッカサッポロ）社のサワー用エキスで、酸味とコクがしっかり効いているのが特長です。 もう一品。鶏団子とかぶときのこの白湯煮（380円）を頼んでみました。葉野菜も入って具だくさん。体に優しいおつまみです。 結構ボリュームがあるので、一人なら2～3品でちょうど良さそう。酎ハイを頼んで、もう少し飲んでいきましょう。午後の情報番組をぼーっと見ながら昼酒時間を楽しみます。 オープンから一年余り、地元の方は早い時間から飲みにきていて、しっかり土地に根付いた酒場になっています。明るい雰囲気でリーズナブルに飲める。こういうお店はまだまだ貴重です。 ごちそうさま。 （取材・文・撮影／塩見 なゆ） つづらや 048-953-9809 埼玉県草加市谷塚町637-1 14:00～22:00（火定休） 予算1,600円