三軒茶屋『太華』長崎出身の大将が半世紀続けてきた老舗町中華

茶沢通り横の路地で半世紀続いてきた老舗町中華『太華』。大将は長崎出身で、夫婦二人三脚で商売を続けてきた方です。名物料理は調味料まで長崎にこだわった「皿うどん」や「ちゃんぽん」。酒類やおつまみも豊富で、夜は中華飲みが楽しめます。

がっちりと大地に根付いた昭和の町並みは、どんなに再開発しても消えることはありません。三軒茶屋をみているとそう思います。不動産開発を重視する東急グループのお膝元ながら、三軒茶屋駅周辺には今もなお昭和の空気で満たされています。

名物女将が守り続けてきた昼飲み処、入り組んだ裏道に並ぶ怪しく魅力的な小さな店々、昭和のビールのポスターが未だに残る大衆酒場。どれも三軒茶屋の色を一層豊かにしてくれる存在です。

そんな三軒茶屋の駅前で中華といえば、半世紀続いてきた『太華』は外すことの出来ない存在。長崎出身の大将が修行後に開いた街の中華屋さん、いわゆる「町中華」です。

数年前に周囲の一体的な開発でマンションの一階になりましたが、店の風情は昔のまま。カウンター6席と入口近くにテーブル1卓という非常にコンパクトなつくりです。

品書き

三軒茶屋で飲んだ後の〆にも最適。〆だと立ち寄っても、ついついお酒が飲みたくなるのが『太華』です。なにせ、おつまみと酒類が充実しており、飲み直したくなるのです。※お酒は適量で。

まずは、瓶ビールのサッポロ黒ラベルをもらって、乾杯！

町中華でピータンは珍しいと思いませんか。コク深いトロトロのピータンはビールが進むこと間違いなし。

ピータンをつまみながら、頭上のテレビをみていると餃子が焼き上がりました。自家製の餃子は皮がふっくら、餡は肉汁たっぷりでジューシー。これはたまらないと、紹興酒をオーダー。

夜は飲み客のほうが多く、時折、仕事帰りに中華で腹ごしらえ的な一人客がさっとラーメンやチャーハンをたいらげていきます。手際よく調理を済ませた大将は、空いた時間にいろいろとお話を聞かせてくれました。長崎のこと、独立して店を開いたこと。三茶の移り変わり。そんな話を聞くと、紹興酒が進みます。

長崎の味に極力近づけたいという大将のこだわりがつまった皿うどん。「好みでどうぞ」と用意してくれたソースは、なんとチョーコー醤油がつくる「金蝶ウスターソース」です。これぞ長崎の味！

豊富な餡も、パリパリの麺も、たっぷりかけたソースの味もお酒を進ませます。

さらにレモン割り（レモンサワー）をもらって、すっかり中華飲みを満喫した夜でした。

横丁の小さな店で飲んでいるかのような距離の近さも魅力の一つ。長崎料理がなぜか複数集まっている三軒茶屋ですが、『太華』の皿うどんもぜひ一度お試しあれ。もちろん、お酒とともに。

日曜日も営業しています。

（取材・文・撮影／塩見なゆ）