下北沢『ふるさと』1970年創業。街は変わっても名酒場は変わらない

下北沢『ふるさと』1970年創業。街は変わっても名酒場は変わらない

下北沢の『ふるさと』は、変化の激しいこの街で半世紀以上続く家族経営の居酒屋。刺身、焼き魚、揚げ物など居酒屋の定番おつまみが良心価格で楽しめます。落ち着いた雰囲気の常連さんが多い、大人の下北沢を感じられる場所。

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阿吽の呼吸で成り立つ家族経営の店

小田急線の下北沢駅が地下化されて10年。狭い商店街の中をゴトゴトと電車が走っていた下北沢は今、線路跡地や駅周辺の再開発によって空間にゆとりがある街に生まれ変わりました。

長年、ライブハウスや劇場が集まるサブカル文化の発信地として有名で、今も休日は多くの若者で溢れていますが、探せば大人向けのいい店も点在しています。1960年~80年代に若者向けとして開いた店が、彼ら・彼女らとともに成熟し、気づけば大人向けの店になったというのが正しそうです。

焼鳥が名物の大衆酒場、町中華、そしてバー…。魅力的な老舗が多くありますが、居酒屋ならば、あずま通り沿いの『ふるさと』がおすすめです。

劇場や古着屋、若者向けの飲食店に囲まれたシモキタのまん真ん中に『ふるさと』はあります。喧騒に包まれた中にあって、暖簾をくぐり一歩店内に入った瞬間、そこは別世界。

飲み慣れた老夫婦がカウンターでお酒を楽しみ、畳敷きの小上がりでは常連さんたちが、何十年目かの同窓会を開いている。お客さんは40代以上がほとんどで、みんなのんびりされています。対する厨房は忙しそうで、どっしり構える大将が司令塔となり、花板の息子さん、忙しくお酒をつくる女将さんが忙しく働いています。

テレビに映る相撲中継とまな板をたたく音、客同士の会話が混ざったガヤガヤとした「酒場の音」がBGMです。

ファサードに小料理と書いてあるので高級店ではないかと警戒するかもしれません。ご心配なく。普段遣いできる店だから、こうしてベテランのお客さんが集っているのです。

兎追いしかの山

サッポロラガービール大瓶(700円)

テーブル6卓にカウンター7席。一人・二人ならばカウンターの、花板さんの真正面が特等席でしょう。店内が見渡せますし、いろんなお客さんへ運ばれていく料理も目の前で見ることができます。あれも、これも美味しそう。料理を目で追いかけながら、まずは瓶ビールをもらいました。

樽生はサッポロ生ビール黒ラベル、瓶は昔からサッポロラガーを置いています。老舗に似合う赤星をビヤタンに注ぎ、それでは乾杯

箸袋には「兎追いしかの山」と、童謡ふるさとの歌詞が書かれています。

『ふるさと』という名の居酒屋は日本全国に存在しますが、この街ではひと味違う意味合いに思えます。喧騒渦巻く下北沢にありながら結界を張ったような静謐な空間を提供する『ふるさと』は、誰もが懐かしむ時代や場所へとタイムスリップしたような感覚を味わえる場所です。

お通しは日替わりで、煮物やポテトサラダなど。この日は薩摩揚げでした。

アジたたき(800円)

常連さんに囲まれた7席ほどのカウンター席で、正面の冷蔵ショーケースには澄んだ黒い瞳の鯵が何尾も並んでいたので、たたきでもらうことにしました。

紫蘇の実や紅たで、おろしたての生姜を盛った丁寧な仕事が嬉しいです。

ハリ・ツヤがありプリッとした鯵。とくに脂がのった今の季節のものは大衆魚とはいえ、あとひく美味しさです。

高の井 2合(640円)

良き刺身には、よき酒を。定番酒が新潟県小千谷市の酒蔵・高の井酒造がつくる「たかの井 清酒」というのは珍しいです。同蔵のお酒は首都圏では田友や初梅ブランドで知られていますが、やっぱり蔵の名前と同じ定番酒は外れません。越後杜氏らしい辛口の仕上がりで、刺身と相性ぴったりです。

特製だし巻玉子(450円)

特製と聞けば注文したくなるだしまき玉子は、このボリューム!しっかり甘い東京風の味付けで、まるで焼きプリンのよう。

肉豆腐

おすすめメニューから肉豆腐をチョイス。一般的な甘辛いすき焼き風ではなく、白ネギをのせたあっさり塩味です。柚子胡椒をアクセントに加えます。熱々を頬張り、すかさずお猪口の燗酒を追いかける。ほら、こういうのがたまりません。

すだちサワー(370円)

生搾り果汁入が嬉しいすだちサワー。日本酒の重さをリセットしてくれるので、まだまだ飲んで食べたくなってきました。

ごちそうさま

料理の一つ一つがとても丁寧で、和食の修行をされていることが伝わってきます。家族経営のあったかい雰囲気が心地良い『ふるさと』は、この街で一番リラックスできる場所かもしれません。

意外にも終電頃まで営業していますので、遅い一軒目にもぴったりです。

店舗詳細

品書き

お酒

  • 瓶ビール サッポロラガービール大瓶:700円
  • 樽生 サッポロ生ビール黒ラベル:小360円・中540円
  • 玉露ハイ・レモンサワー・すだちサワー・シークワーサーサワー・グレープフルーツサワー・ウーロンハイ:各370円
  • お酒 高の井酒造 高の井:320円~

料理

  • 刺身 まぐろ・しまあじ・ひらめ・鯛:各750円~
  • アジたたき:800円
  • さざえ刺身:800円
  • 赤貝刺身:890円
  • たこ・ほたて刺身:各680円
  • お刺身三点盛:1,100円
  • あじの塩焼き:800円
  • かぶと焼き:500円
  • 焼きホタテ:720円~
  • サザエのつぼ焼き:830円~
  • イカリング揚げ:680円
  • ナンコツ唐揚げ:450円
  • 串かつ(2本):600円
  • 鶏の梅しそ揚げ:450円
  • 蓮根の明太いそべ揚げ:500円
  • 天麩羅の盛り合わせ:880円
  • あじフライ:800円
  • なっとう大根:280円
  • 特製だし巻玉子:450円
  • 鳥ももの串焼き(3本):420円
  • 本日の煮物:550円
  • さつま揚げ:500円
  • じっくり煮込んだ牛すじの煮込み:680円
  • じゃが芋と野菜の千切り炒め:500円
  • 本日のおひたし:290円
  • たたみいわし:500円
  • 自家製ポテトサラダ:390円
  • ねぎとろ巻き:420円
  • 山ごぼう巻き:330円
店名ふるさと
住所東京都世田谷区北沢2-9-24 和田ビル 1F
営業時間17:30~24:00頃
日曜日定休
創業1970年