居酒屋好き・愛酒家にとって、大衆中華(町中華)は酒場のような存在です。とくに家族経営だったり老舗だったり、地元の皆さんが日常的に飲み屋として利用する店は、居心地がよくて癒やされます。家の近所だけでなく、旅先でも地元密着の町中華は気になる存在ですよね。
今回は、札幌の中心、地元の人も観光客もアクセスしやすい札幌市電沿線にある町中華から、「地元密着の飲める町中華ベスト3」を酒場案内人視点で選びました!
さあ、札幌市電に乗って町中華へ飲みに行きましょう!
1,狸小路『中華料理 香州』
半世紀を超える老舗飲食店は多くない札幌ですが、ここは『香州』は1959年(昭和34年)創業と60年以上の歴史を誇ります。大陸から引き揚げてきた初代が狸小路すすきの間の一等地で開業。現在は初代の息子さんが二代目として店を引き継ぎ、すすきのエリアを代表する町中華の味を守っています。
すすきののまん真ん中にあっても、ラーメンは850円と大衆価格。チャーハンや中華風チキンカレー、名物の中華風チラシかけご飯は950円。カニしゅうまい(3個480円)など、海老、蟹をつかった北海道らしい料理も魅力的です。
土日はお昼から中休みなく営業しているにもかかわらず、サッポロ黒ラベル(600円)や紹興酒(500円)だけでなく、サワー(350円)、ハイボール(500円)、清酒(300円)などお酒も豊富で明るいうちからしっかりお酒が楽しめます。
一階は少人数向けのテーブル席、二階は宴会もできるつくりです。
すすきのエリアを代表する町中華ながら、ご家族と職人さんたちで切り盛りするコンパクトなお店。だからといって侮るなかれ。提供スピードは素早く、接客、居心地の良さも素晴らしいです。
住所 | 北海道札幌市中央区南三条西4丁目 |
営業時間 | 営業時間 [火~金曜日]11:00~15:30(L.O)/17:00~21:00(L.O) [土、日]11:00~21:00(L.O) 日曜営業 定休日 [月曜日と第二、三火曜日] |
開業年 | 1959年 |
2,西15丁目『揚子江・黄金寿司』
札幌市内に限らず、日本中を見渡しても非常に珍しい、町中華と寿司居酒屋のハイブリッド業態である『揚子江(黄金寿司)』。
夕張からでてきた初代が60年ほど前の昭和39年に創業。当初は中華の『揚子江』で営業していましたが、3年後には、店の近くにあった『黄金寿司』と同一店舗で運営することになり、やがて両店は統合。
寿司屋のショーケースが並ぶカウンターの内側に中華の厨房も組み込まれた、前代未聞の寿司&中華となりました。
中華料理は、八宝大菜:1,000円、ヒナ鳥カラアゲ(名物):1,000円、酢豚:1,000円、ブタ肉カラアゲ:1,000円、炒飯:700円、カニライス:700円など。カツカレーまであります。
寿司・魚介料理はニシン刺身、アワビ、毛ガニなど、北海道の名産品を集めたような豊富な品ぞろえです。
中華だけ頼むつもりでも、ついつい刺身や握り寿司も頼んでみたくなります。こんなお店、他にありません、ぜひ訪ねてほしいです。洗練さは皆無。昭和の寿司と中華と酒場をかき混ぜたカオスな雰囲気ですが、本記事をご覧の皆さまはきっと楽しめると思います。
住所 | 北海道札幌市中央区大通西15丁目3 |
営業時間 | 11:00~13:30・17:00~22:00(日祝定休) |
開業年 | 1964年 |
3,西8丁目『布袋本店』
市電から見える、ひときわレトロな雰囲気の店『布袋本店』。実は1998年創業と今回ご紹介する店では最も新しい街の中華屋さんです。お昼から通しで営業していますが、ランチのピークを過ぎてもお客さんは減ることがなく、名物のザンギをテイクアウトするお客さんが次々とやってきます。
当初は中華料理店ではなく、18席ほどの小さな焼鳥酒場でした。ホテルの料理人を経験した初代が50歳のときにご夫婦で開業し、瞬く間に人気店となったのです。とくにザンギが美味しいと評判になり、中華業態へじわじわシフト。店先には焼鳥の持ち帰りカウンターだった名残の小窓が残っています。
いまでは、札幌市内に5店舗以上を構える布袋本店。街のソウルフードになったザンギは、1日3,000個が売れる本店の一番人気。3回に別けて揚げるのがザクザクに仕上げるコツだそう。
まかないメシから昇格し、いまではザンギに次ぐ名物料理となったマーボー麺も人気。お酒のつまみとして頼むなら、のびる心配がないマーボー焼きそばのほうが安心です。濃い味でボリューム満点、気づけばすっかりお昼から満腹で良い区分です。
しっかり飲みたい方は、90分飲み放題1,500円という、町中華らしからぬ飲み放題のチョイスがオトク!
住所 | 北海道札幌市中央区南一条西9-1 |
営業時間 | 11:00 〜 22:00(不定休)※15:00~17:00は提供メニューに制限あり |
開業年 | 1998年 |
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)