落合南長崎『矢羽寿司』は創業60余年。古き良き大衆寿司割烹を訪ねる

落合南長崎『矢羽寿司』は創業60余年。古き良き大衆寿司割烹を訪ねる

2023年7月20日

町の寿司店は、居酒屋の延長線にある存在。家族経営で長く続く店はいいものです。今回は、地元の方が贔屓にする隠れた人気店、新宿区西落合『矢羽寿司』をご紹介します。良心価格ながら、豊洲仕入れの活魚やクロマグロなど、寿司種にこだわりあり。

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新目白通り沿い、風格ある寿司店の暖簾に惹かれて

都営地下鉄大江戸線の落合南長崎駅にやってきました。区立トキワ荘マンガミュージアムや有名模型メーカーのショールームがあるホビーの町なので、その道の愛好家にはご縁のある地域でしょう。

目白通り沿い周辺には大衆中華(町中華)や老舗蕎麦店、大衆食堂などが点在しておりお昼から飲みたい私のようなタイプにも興味深いエリアです。

そんな落合南長崎で老舗の寿司店といえば『矢羽寿司』。大女将と大将、女将の2世代3人で切り盛りされている家族経営の店で、創業は1961年だそう。

お昼も営業されていますので、ふらっと訪ねてみました。

ランチからビール等注文可能

地元のご隠居さんや贔屓にされている近隣企業の皆さんでランチタイムから賑わっています。パリっとした白木の一枚板を使ったカウンターに、夜は寿司種でいっぱいになるであろう、清潔感ある冷蔵ショーケース。付け台の具合もよく、老舗の寿司店ならではの風格ある空間です。

酒場も蕎麦屋も食堂も、その空間に浸る楽しさというものがあります。それが老舗ならば尚更です。

ランチの海鮮丼は安くて豪快!

海鮮丼 1,000円(2023年8月3日からの値段)

ランチは1,000円でこの盛り付け。豪快ですよね!日々豊洲で仕入れるという魚をチェーン店ではやってくれないような厚さで切り、エッジをピンと立てて載せてくれました。

旬の魚を中心とした内容に大満足です。

お昼に満足したら夜も訪ねてみよう

お昼のサービスに満足したら、夜も行きたくなるものです。別日の夜に、飲み屋利用を楽しむべく向かいました。

内観

現在の店舗は1966年から使っているそうで、もう半世紀以上になる建物です。店の奥には入れ込み座敷があり、家族連れや宴会利用の皆さんが利用されています。

カウンターの横にはちょっとした生け簀があり、カワハギや立派なヒラメなどが泳いでいました。

今日の献立は、カウンターの向こう側にずらりと書かれた短冊で確認します。いか生姜焼き、かきフライ、芝海老かき揚げ、たこ桜煮、本日のかぶと煮などがあるように、飲み屋利用もできる品揃えです。大衆寿司割烹という言葉がぴったり当てはまるのではないでしょうか。

品書き

お酒

樽詰サッポロ生ビール黒ラベル:450円~

瓶ビール         

  • ヱビスプレミアムブラック(小瓶):650円
  • アサヒスーパードライ、キリンラガー、サッポロ黒ラベル(中瓶):650円   
  • エビスビール(中瓶):700円

日本酒

  • 沢の鶴:600円
  • ひれ酒:900円
  • 地酒(八海山、十四代、飛露喜ほか):900円~ 

料理

  • 刺身盛り合わせ:1,500円~
  • 天ぷら盛り合わせ:1,800円~
  • かき揚げ:1,500円
  • 季節野菜盛り合わせ:900円

寿司

寿司盛り合わせ・ちらし:1,200円~

本まぐろ にぎり・丼:赤身2,000円・中トロ2,800円

焼き穴子寿司:2,200円

穴子入り太巻き:1,800円

細巻き:300円~

ホワイトボードメニュー

  • きんめ煮
  • 太刀魚塩焼き
  • かもねぎ焼

アットホームな雰囲気で技のある料理を楽しむ

サッポロ生ビール黒ラベル

老舗のカウンターには、重心の低い昔ながらのジョッキが似合います。今日のおすすめを大将に伺いながら、まずは生ビールで乾杯です

お通しは卵豆腐。

今日のおすすめは太刀魚

「立派な太刀魚がありますよ」と見せてくれました。釣りがお好きな大将なので、釣り糸が残るこの太刀魚はきっと大将が釣り上げたものなのでしょう。

丸魚を見せてもらったら、それは欲しくなりますって。塩焼きやバターも品書きにはありますが、新鮮な太刀魚はやっぱり炙り刺しで食べたい!

皮目を焼くことで旨味が加わり、それでいて生の食感と甘さも残り、これがもう絶品。軽く塩がふられているので、そのまま搾ったスダチとワサビで食べても十分いい具合です。

抹茶割り(600円)

寿司屋で飲むとき、日本酒はまだ早いなとなったら、やっぱりこれ。寿司屋のお茶でつくる抹茶割りは美味しいです。

もずく酢

箸休めにもずく酢をもらいました。細かくてチリチリ、だし酢の塩梅もよく、するするといただきました。

握り

沢の鶴のお燗をもらって、さて、そろそろ握ってもらいたいと思います。

酢飯のふかふか具合、寿司種の大きさ、それぞれ工夫した味付け。どれも大将の修行を感じさせるものばかりです。一人で訪ねていることもあり、「1貫ずつで構いませんよ」とのこと。

軽くはけで醤油を塗ったまぐろ。これがねっとりとしていてコク深く実に美味。その場では聞けませんでしたが、後日調べたところアイルランド産のクロマグロなのだそう。

ばってら寿司風のサバ昆布締めの握り。ひとつひとつがしっかり美味しい。

ふっくら蒸した穴子もイイですね。松島産とのこと。ツメの深いコクがぬる燗と合わさり、すっかりいい気分です。

ごちそうさま

奥の入れ込み座敷で宴会をするのもよさそうですが、まずは5席しかないカウンターで一人飲みをオススメしたいです。大将、奥さん、そして大女将のアットホームな接客に加えカウンターに集う常連さんたちの人柄も素敵で、時間を忘れて飲んでしまいました。

近くの酒場

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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名矢羽寿司
住所東京都新宿区西落合1-3-8
営業時間営業時間
12:00〜14:00
18:00〜23:00
定休日
水曜日(火・木不定休あり)詳しくはブログで確認
開業時期1961年(現在の店舗は1966年から)
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