大宮は通信や鉄道の町として栄えた経緯から、夜勤明けの人が飲みに行くような飲食店がいくつもありました。現在も往時の賑わいを感じさせる老舗酒場が駅前に構えており、明け番(夜勤明け)の人や、休日のお昼酒を楽しむ人が利用しています。
また、近年は大衆酒場ブームもあり昼飲みが広く趣味として認知されたこともあり、祝日になると多くの大衆酒場愛好家が訪れるようになりました。今回はそんな大宮の昼飲みスポットをご紹介します。
1,『いづみや 本店』
JR大宮駅前に構える『いづみや』は、この街の大衆酒場の代表的存在です。創業は戦後すぐの1947年。酒販店の飲食部門として開業しました。
営業開始は朝10時。つぎつぎと仕事明けの人など、午前中から飲みたい・飲める立場の人がやってきます。馴染みの店員さんに挨拶しながら、ざっとテーブルが埋まりまるですからすごい人気です。
構造は独特で、銭湯のように高い天井が印象的。長いカウンターのようなテーブルが数列奥へと伸びるように並んでおり、このテーブルをみんなで相席するように利用するのです。
壁一面に貼られた品書きを見渡し、気になるものを注文。あっという間にポンと届きます。
安くて美味しい典型的な大衆酒場です。とくに煮込みは長年値上げをしておらず、いまでも1杯170円(掲載時点)です。
私個人として、いづみや本店が魅力的な点として感じるのは、入り口上部に取り付けられた採光窓です。曇りガラスを通して差し込む優しい太陽光が、昼飲みの楽しさを一層引き立ててくれると思います。
住所 | 埼玉県さいたま市大宮区大門町1-29 |
営業時間 | 営業時間 10:00~22:15 日曜営業 定休日 月2回不定休 |
開業時期 | 1947年 |
2,『いづみや 第二支店』
いづみやは、本店と並ぶ場所に第二支店があります。その距離、わずか10m。いづみやは大宮だけでなく、以前は日暮里にもあったのですが、現在はこの2店舗だけ。
さて、これだけ本店と近いと単なる増床分と思われるかもしれませんが、実は品書きに違いがあります。店員さんやお客さんがつくる雰囲気も似たようで異なるため、第二支店は第二支店の良さがあるのです。
こちらも本店、何十年と営業してきた酒場なので、店内はすっかり飴色に染まっています。それでも、常に活気があるお店ですから古ぼけた感じはなく、むしろテーブルや椅子に付喪神がいそうなくらい。
オススメは串カツ。安くて大きくて食べごたえあり。色付きの焼酎ハイボールとの相性もぴったりです。
本店より30分早く開店しますから、より早い時間から飲みたいときには第二支店へどうぞ。
住所 | 埼玉県さいたま市大宮区大門町1丁目28 |
営業時間 | 9:30~22:00(無休) |
開業年 | 1960年頃(本店は1947年創業) |
3,『なごみ』
お昼から営業する飲食店の中では、おそらく大宮で最もリーズナブルな店『なごみ』。瓶ビール大瓶540円、チューハイやハイボールはなんと270円です。
会計はすべてカフェテリアのような食券方式で、お酒や料理分のチケットを購入し、店員さんに交換してもらうシステムです。料理は100円程度の小鉢がずらりと並べられており、ここから気になるものをチョイス。
温かい料理はしっかりレンジ加熱もしてくれます。酎ハイ、シチュー、煮物でワンコインとちょっと。「お昼だからほんの軽く一杯」、そんな気分のときにぴったりの一軒です。
食券機はなんとSuicaなどの交通系電子マネーに対応しています。
住所 | 埼玉県さいたま市大宮区大門町1-72 |
営業時間 | 12:00~22:00 日祝定休 |
4,『伯爵邸』
大宮には、不思議な喫茶店が存在します。店名は『伯爵邸』。東口の商店街から一本入った小道にある古い喫茶店なのですが、ここが日中から満卓になるほど賑わっています。喫茶店と言いつつ、お酒のラインナップが猛烈に充実しているのが特長で、生ビールはサッポロのエーデルピルスまで置いています。
お嬢様セットというナポリタンにフレンチトースト、唐揚げまでついたハイカロリーメニューが名物。「お嬢様」とどうして名付けられたのか不思議なセットですが、食べたいもの全部のせ的で実に楽しいです。単品のナポリタンも絶品。
なんとカクテルまであります。お嬢様セットのあとは、マティーニで午後のティータイムを過ごしてみませんか。びっくりすることに年中無休で24時間営業。
住所 | 埼玉県さいたま市大宮区宮町1-46 |
営業時間 | 営業時間 24時間営業 日曜営業 定休日 無年中休 |
開業時期 | 1975年 |
5,『力 大宮東口駅前店』
浦和発祥、さいたまのローカルもつ焼きチェーン『力』。サッカーファンが集まる店としても知られています。本店の創業は1969年で、さいたまの酒場愛好家、もつ焼き好きならば一度は飲みに行ったことがあるような「大定番」の酒場です。
ビールはキリンラガー。大瓶が600円と昨今の相場から考えれば良心的。人気のドリンクはアルディージャサワー350円です。
肉卸直送の鮮度抜群のもつ焼きはどれもジューシー。とくに軟骨をつくね状にした骨ボールは他では食べられない食感と美味しさでオススメです。
住所 | 埼玉県さいたま市大宮区大門町1-17-1 |
営業時間 | 営業時間 [月~日] 12:30~23:30 日曜営業 定休日 無休 |
開業時期 | 本店は1969年 |
6,『大阪屋』
大宮の南銀入ってすぐ。お昼から営業するもつ焼き専門店「大阪屋」は、昭和42年に創業し、現在は3代目が経営しています。店の特徴は、毎日新鮮な豚モツを食肉市場から仕入れ、串焼きとして提供していることです。
タレが特におすすめ。実は、同店はかつてのせんべい店として営業しており、その当時から受け継がれた醤油タレを使用しています。
住所 | 埼玉県さいたま市大宮区仲町1丁目7-1 |
営業時間 | 営業時間 月〜木 16:00〜22:00 (LO21:30) 金曜 16:00〜23:00 (LO22::30) 土曜、祝日 11:00〜22:00(LO21:30) 定休日 日曜日、月曜の祝日 |
開業年 | 1967年もつ焼き業態開業(大坂屋煎餅店として1924年創業) |
WEBで予約 | 食べログ |
7,『大西屋酒店』
酒屋の店頭でお酒を飲むことを『角打ち』と言います。九州北部や神戸、大阪、神奈川県などに多いのですが、ここ大宮にも素敵な角打ちがあります。大宮駅東口から武蔵一宮 氷川神社方面へ10分ほど歩いた場所にありますが、お酒好きならばぜひ訪ねてみて欲しいお店です。
店頭の冷蔵庫に入るビールや酎ハイはもちろん、一杯売りの日本酒や大将がつくるカクテルまであり、角打ちの域に収まらないラインナップが特長です。
埼玉の地酒を推したいところですが、一杯目はぜひ生ビールを頼んでみて欲しいです。液種(銘柄)はサッポロ生ビール黒ラベルですが、これがサッポロ直営店もびっくりなほどハイクオリティ。
プラモデルなどが趣味の温厚な4代目大将が、優しく迎えてくれる店。ついつい長居したくなる素敵な酒屋さんです。
なんでも、太宰治もお酒を買いに来たことがあるとか。
住所 | 埼玉県さいたま市大宮区大門町3-207 |
営業時間 | 10:30~21:00 日曜定休 |
開業時期 | 1920年 |
8,『大衆スタンド 神田屋 大宮東口店』
全国区のチェーン居酒屋は一通り揃っていますが、手頃な価格で飲みたいときは『神田屋』はいかがでしょう。池袋発祥の老舗居酒屋チェーン「天狗」を運営するテンアライドが立ち上げた低価格業態(いわゆる、せんべろ)の居酒屋。立ち飲みならば1,000円ほどで最大10品(おつまみ1品にレモンサワー9杯など)楽しめる「せんべろセット」がお得。
もちろん、普通の天狗のように座ってゆったり飲むこともできます。運営母体のテンアライドは、長く地酒の普及に努めてきた日本名門酒会を運営する酒問屋「岡永」の兄弟企業なので、実は日本酒がおもしろい!
9,『立ち飲み日高』
さて、首都圏を中心に展開する中華食堂「日高屋」の本拠地が大宮だということをご存知でしょうか。
1973年に大宮区宮町で「来々軒」として創業したのがはじまり。そのため、大宮駅周辺には「日高屋」をはじめ、ハイデイ日高が運営する系列店が10軒も営業中。
立ち飲み業態の「立ち飲み日高」や「焼鳥日高」、本場の味をイメージした新業態「屋台料理台南」など、飲める日高屋系列がたくさん!お店選びに悩んだら、日高屋系へ!
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)