恵比寿『久美』ビール坂横で半世紀。家庭的な酒場で名物ニラ玉を

恵比寿『久美』ビール坂横で半世紀。家庭的な酒場で名物ニラ玉を

ここは133年前、恵比寿麦酒の醸造が開始されたことから「恵比寿」と名付けられた街。そんな恵比寿の細い路地に、約50年続く老舗居酒屋があります。店の名は『久美』。平日は奥の座敷までいっぱいになる、ご近所さん御用達の人気店です。

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ビールの街で50年

ビールの商品名が駅名となり、さらに住所表示にもなった街・恵比寿。130年以上もむかし、この地に東京で初となる近代的なビール工場が建設され、「恵比寿麦酒」の名前で発売を開始。一時期、社会情勢の影響もありブランドが途切れたこともありますが、これが現在も多くの人々に愛飲されているサッポロ「ヱビスビール」につながっています。

そうした歴史的背景もあり、恵比寿はいまもビールの街をアピールしていますし、居酒屋の数も多いです。そして、店先にはヱビスビールを含むサッポロの瓶ビールを扱うための赤いP箱(ビールケース)が置かれていることが非常に多いです。

かつてのビール工場から恵比寿通りに抜ける坂道は「ビール坂」と呼ばれています。坂を登ればサッポロビールの本社がありますが、脇道に目を向けると、赤P箱を積むいぶし銀の居酒屋がみえています。

それが『久美』。「お気軽にどうぞ」の提灯にひかれて暖簾の向こう側へ進みます。

品書き

  • ビール サッポロ黒ラベル大瓶
  • 日本酒 金陵
  • カツオさしみ:1,000円
  • たこぶつ:800円
  • マーボー茄子:650円
  • ロースとんかつ:850円
  • ホウレン草ベーコン炒め:600円
  • 豚ローススタミナ焼:700円
  • 肉にら炒め:550円
  • 厚焼玉子:550円
  • 若鶏唐揚:550円
  • うなぎ蒲焼:1,200円

※献立・価格は訪問時のものです。

恵比寿の街の奥深さが感じられるカウンター

サッポロ黒ラベル大瓶

厨房に向いたL字のカウンターには、ずらりと常連さん。仕事帰りの人やご近所さんなど、皆さんの雰囲気は様々。奥には座敷もあります。創業時からの建物を改築して使っているようです。

さて、まずはビールから。やはり銘柄はサッポロ黒ラベルです。では乾杯

お通し

渋い居酒屋のかにかまぼこサラダはいいものです。ホッとします。

清酒 金陵 お燗

居酒屋の定番酒といえば、灘や伏見などの大きな酒蔵の銘柄がポピュラーですが、ここのお酒はなんと金陵。香川県琴平町、金比羅山の参道にある酒蔵・西野金陵のお酒です。優しく穏やかな味わいにホッとします。

にらたまとじ(500円)

店の名物は創業時から親しまれてきた「にらたまとじ」です。ごま油が効いた濃いめの味付け。家庭でつくるそれとは違う、居酒屋ならではの美味しさがありました。カウンターに並ぶ常連さんも皆さん食べています。

豚ロース生姜焼(700円)

肉厚で食べごたえあるロース肉がたっぷり。甘く濃い味に肉汁も混ざり合い、これがつけあわせのキャベツをシナシナにしています。店内のテレビから流れる声をなんとなく聞きつつ、のんびりお銚子を傾けつつ生姜焼きを頬張る、こういう時間がたまらなくいいものです。

酎ハイ

最後は酎ハイを頼んで、老舗の余韻に浸ります。

ごちそうさま

昭和の恵比寿にタイムスリップしたような感覚で、穏やかにのんびりとお酒を楽しむひとときでした。家族経営の店『久美』のような存在が街に本当の奥行きを作り出しているのだと思います。仕事帰りにふらりと立ち寄りたい一軒です。

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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名久美
住所東京都渋谷区恵比寿4-9-15
営業時間夜営業 18:00~23:30
日祝定休
開業年1974年頃