サッポロビールのお膝元、恵比寿は一般的にはオシャレな街というイメージですが、老舗酒場や角打ちも多く、新進気鋭の立ち飲みまで豊富にあることから梯子タウンという一面もあります。地名の「恵比寿」の由来が、先にこの地で作っていたヱビスビールからつけられたというのだから、元来から酒の街と言えるでしょう。
今回、そんな恵比寿に素敵なお店がオープンしましたのでご紹介します。駅から北東に少しの明治通りに面した場所にできたジョリーズは、小売価格そのままで飲める角打ちです。もともとは大正時代から約100年続く老舗の酒屋で、酒屋からコンビニに転身後、再び酒屋に戻り、角打ちをメインとした営業をはじめたという経緯があります。
明治通りを挟んだ向かい側は、スピリッツ世界最大手のバカルディの日本法人、バカルディジャパン株式会社の本社があるという立地。絶対、バカルディさん通っているでしょう?(笑)
古くから恵比寿にいる人や業界さんの間では「阿波屋酒店」といったほうが通じやすい。
営業は12時からと早い。理由を聞いたら「うちは酒屋だからね」という言葉で納得。お昼酒でセンベロで駄菓子酒場で豊富過ぎるお酒のラインナップに感激する、これぞ角打ちの魅力です。
角打ちもお店によっては一杯売りしている商品や瓶しか店内で飲めないというお店も多いですが、ここは店内の全商品を小売価格で飲むことが出来ます。さらに、コンビニ時代のテイストが見え隠れする豊富な即席麺、冷凍食品、缶詰に乾きものの数々も食べられる。お湯が必要な物は作ってくれるし、冷食はレンジ加熱もサービスです。
缶を選べるというだけで、どれだけ嬉しいことか。バリエーションは無限大。大手4社ビールはもちろん、輸入系からクラフトまでビールだけでも幾多の種類。キンミヤにタカラ焼酎に、ワインやウィスキーもどんとこい。
さらにさらに、バーカウンターではカクテルまで用意。まさに至れり尽くせりというのはこういうこと。イケメン店員や美人女将さんが作ってくれるので、塩対応角打ちに入り浸ってきた私としては、こそばゆいくらい(笑)
入ってすぐの立ち飲みスペースだけでなく、奥もおしゃれな空間が広がっています。日中は空いていますが、夜は近隣の会社員やアーティスト、外国のお客さんも多く、満卓になる盛況ぶり。壁にはられた店の歴史を伝える写真が、リゾート的な雰囲気の中において店の厚みを漂わせています。
江ノ島にありそうな、というかここはフロリダかキューバか。ラムがとっても似合います。400円のラムハイをもらって、それでは乾杯!
窓の向こうにバカルディ本社。うん、バカルディラムにして正解だ(笑)
すっきりとした味、ラムらしい青みのあるさわやかなフレーバーとレモン果汁の酸味がこれからの季節にちょうどいい。
それにしてもオシャレだなぁ。代替りで新たな世界を提供し始めたというのがとてもよくわかります。海がお好きなんでしょうね。
生ビールはアサヒでグラス300円という優しい値段設定。あとから来た20代のグループはみんなでスーパードライで乾杯していました。平日の午後3時、仲間同士で角打ちで乾杯なんて素敵ですね。私は愛飲ビールを取材そっちのけでグビグビ。
私は黒ラベルとオキコラーメンスナックを。沖縄でしか売られていないオキコのラーメンスナック、ここにあり!北海道のビールと合わせたのは選択ミスか。オリオンでもいっておくべきだったかしら。
それにしても蒸し暑い季節です。あぁ、なにか飲んですっきりしたいなー。東京よりも熱く、偏西風で80%近い湿度が続くキューバがモヒート発祥の地。だから、そんなキューバ生まれのモヒートは梅雨時にいいんじゃない?
あー、雨降ってきちゃったよ。店内はさわやかなのだけど、外はジメジメしていそう。うーん、もう一杯飲んでおこう。ちなみに、店名のサウンドスタジオというのは、お店の地下が酒屋時代からの倉庫になっていて、そこが音楽のリハーサルスタジオとして使えるからだそう。
酔っ払って、明治通りが浜辺に見えてきたら、それはだいぶ飲み過ぎ。波の音ではなくて、行き交うタクシーがアスファルトの水を跳ねている音です(笑) でも、本当にここは南国のパブにいるような錯覚です。キューバには角打ちってあるのかな?
素敵な角打ち、リゾートに行く気分でふらりと立ち寄られてみてはいかがでしょう。私自身、恵比寿へは仕事でいく機会も多く、打ち合わせしたあとの角打ちがなによりの楽しみです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
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