創業から60余年になる町屋の『丸福食堂』は常連さんが集う下町の大衆食堂です。定食はもちろん、お酒のつまみになる料理も充実。お酒も各種揃っているため、昼夜を問わずお酒を楽しむ常連さんの姿があります。
目次
昭和の世界にタイムスリップ
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東京都荒川区町屋。都電荒川線が街にリズムを刻む東京下町の住宅街です。かつては町工場が集まる軽工業地帯で、鉛筆生産量は町屋が日本一を誇ったことから「えんぴつの町」として有名になりました。
その後、地下鉄千代田線の開通で大手町など都心へのアクセスが劇的に改善したことで、町工場はマンションへ姿を変えます。現在は、昭和の街並みが残る歴史と利便性を兼ね備えたエリアとして人気のベッドタウンです。
そんな町屋には、工場で働く職人さん向けの食堂が高度経済成長期に何軒も誕生。現在も昭和の面影を残す店がいくつかあり、『丸福食堂』もそうした一軒です。
いまでも朝7時から営業しており、タクシー会社に勤務する方など夜勤明けの人たちがやってきます。
外観
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3代目のベテラン夫婦が守り続けてきた老舗の暖簾。
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年季が入っていても隅々まで掃除が行き届いており、非常にパリッとした雰囲気です。
ショーケース
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昭和型板ガラスを背景にしたショーケースは実に味わい深い。こちらもホコリは皆無できれいにされています。
内観
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重厚感ある開き戸を引いて店内に入ると、そこは昭和で時が止まった空間です。リノリウムの床に、緑のビニールを貼った低めの椅子。化粧板つきの合板をパイプで持ち上げたテーブルも今では珍しい。無造作に新聞が置かれているのも素敵です。
テーブルの間に設置されたアクリル板だけが令和を感じさせるアイテム。
品書き
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お酒
- 生ビール サッポロ黒ラベル中:530円
- 瓶ビール大瓶 アサヒスーパードライ・キリンラガー・サッポロラガー:各680円
- お酒:小300円・大680円
- 八重寿 純米生貯蔵300ml:690円
料理
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- マグロ中おち:600円
- イワシつみれ汁:320円
- シュウマイ手作り:400円
- ワカサギの天ぷら:580円
- サケ生フライ:480円
- ミックスフライ:580円
- イカフライ:480円
- あじフライ:380円
- 肉豆腐:480円
- ウインナ油いため:380円
- カツ玉煮:450円
- ポテトサラダ:280円
- ソース焼ソバ:550円
- オムライス:800円
- ハムカツ:480円
- 鶏の唐揚げ:580円
- 餃子:380円
食堂飲みの楽しさとはなにか、改めて感じる
サッポロラガービール大瓶(680円)
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まずはビールから。大衆食堂でありながら、飲むお客さんが多いからか昔からサッポロのビールサーバーを設置しており、樽生を注文すると昔ながらの赤い五稜星ジョッキで提供されます。※新しいジョッキの場合もあり。
瓶ビールも取り扱い状態がよく、アサヒ、キリン、サッポロの3銘柄をキンキンに冷やして提供してくれます。ということで、店で長く愛されてきたサッポロビール(現:サッポロラガー)で乾杯!
ハムサラダ(300円)
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昭和のテーブルに、ハムサラダとサッポロの赤星。画質次第では昭和40年頃に撮影といっても驚かない組み合わせです。芋の食感が残る手づくりのポテトサラダを巻き取るようにして、ウスターソースをかけていただきます。
ちなみに、ウスターソースというのがポイント。東京下町は昔からウスターソースが広く浸透しています。
豚汁(300円ほど)
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冬は豚汁がイイ!白菜や大根をたっぷり入れた豚汁には、同店の名物料理である「とんかつ」の端ものも使っているように思います。
ほうれん草オシタシ(380円)
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「おひたし」をここの品書きには下町の言葉で「おしたし」と表記されています。土地の色が感じられる大衆食堂は全国津々浦々にありますが、東京下町の店にも特色はあるのです。
日本酒
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地酒もおいてあり、しかも目の前で江戸切子のグラスに注いでくれます。こうしたひとつひとつが、食堂飲みの魅力なのだと改めて感じました。
ごちそうさま
14時から17時は中休みがありますのでご注意を。ベテランのお父さんが晩酌に通っていたり、若い家族連れが評判を聞いて夕食に来たりと幅広い人々が訪れる、まさしく町の食堂です。
食堂飲みには興味があるけれど、どこがいいかわからない。そんな方には、まずは丸福食堂がおすすめです。
都電荒川線沿線の食堂
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 丸福食堂 |
住所 | 東京都荒川区荒川6-42-7 |
営業時間 | 営業時間 7:00~14:00 17:00~21:00 日曜営業 定休日 木曜日 |
開業年 | 1958年 |