家のカレーとも、洋食店のカレーとも違う、もうひとつのカレー。それが「町中華のカレー」です。鶏ガラや豚骨でとった出汁が香る、あの独特の味わいは中華屋さんならではの絶品グルメ。今回はそんな中華屋さんのカレーが絶品と評判の老舗、日暮里『勝楽』をご紹介します。お酒も豊富ですから、中華飲み好きの方も必見です。
繊維の街に佇む、昭和が香るカウンター

JR日暮里駅の南口から、色とりどりの生地が並ぶ「日暮里繊維街」へ。その賑やかな通りから一本路地を入ると、街の表情は穏やかな住宅街へと変わります。目指す『勝楽』は、そんな東日暮里の街並みに溶け込むように佇んでいます。1975年(昭和50年)の創業。半世紀にわたってこの場所で地元の人々のお腹を満たしてきた、地域密着の名店。

家族経営の店で、ご主人が中心となって、女将さんや娘さんとともに切り盛りされています。店内は、カウンター席とテーブル席が数卓。厨房を囲むL字のカウンターは、ご主人の仕事ぶりを間近に眺めることができる特等席。テーブルでは、二世代で夕飯を食べに来た常連さんの姿もありました。
バイス片手に、ライブキッチンを楽しむ

まずは瓶ビール……といきたいところですが、今日は「バイスサワー」(450円)をお願いしました。この、しそ風味でほんのり甘酸っぱい駄菓子屋を連想する味が、町中華の料理とよく合うんです。シュワっと爽やかな一杯。それでは乾杯!
注文はもちろん「カツカレー」(900円)です。物価高騰のご時世ながら昔ながらのお値段!
注文が届くと、眼の前のご主人が中華鍋を手に取りました。おもむろに寸胴から黄金色のスープをすくい、鍋へ。そこにカレールーを溶かし入れていくのです。これぞ町中華のカレーの真骨頂。
家庭では決して出せない、ラーメンスープをベースにしたカレーが目の前でつくられていきます。小気味よい鍋の音と立ち上るスパイシーな香りがたまりません。 隣のフライヤーでは、注文を受けてからカツが揚げられていきます。ジュワ〜っという音、たまりませんね。油はラードとサラダ油をあわせたもの。

スープのコク、カツの旨味。これぞ理想のカツカレー

ほどなくして、出来上がり。付け合わせのラーメンスープでわかる勝楽の基本の味。カレーは、黄色ではなく、じっくり煮込まれたことがわかる濃いめの褐色。粘度はほどよく「ドロッ」としていて、これぞ日本のカレーライスといった風格です。

スパイスの香りの奥から、中華スープ由来の深いコクとガラ由来の旨味がじんわりと広がります。辛さは控えめですが、後からじんわりと汗がにじむ絶妙なバランス。溶け込んだ玉ねぎの甘みも感じられます。

主役のカツは、揚げたてで衣がサクサク。ラードの香ばしい風味が鼻を抜けます。決して厚すぎず、カレーライスとの一体感があります。サクッとしたカツの歯ごたえ、コク深いカレー、それを受け止める白米。三位一体の美味しさが口いっぱいに広がります。
ここでバイスサワーをぐっとあわせる。カレーのスパイスとカツの脂を、バイスの酸味が見事に洗い流してくれます。この組み合わせは大正解。
ごちそうさま
昭和から変わらない製法で、一杯一杯、中華鍋を振って丁寧につくるカレー。日暮里の街がいつも以上に好きになる一品です。日暮里駅・三河島駅から少し歩きますが、懐かしい町中華のカレーをつまみに昼飲み・中華飲みを楽しんでみてはいかがですか。
最寄りは都営バス(都08・草41・里22)の東日暮里三丁目停留所。バス利用が便利です。
店舗詳細
品書き


店名 | 中華料理 勝楽 |
住所 | 東京都荒川区東日暮里6丁目17−3 |
営業時間 | 11時00分~15時00分 17時00分~21時00分 月曜定休 |
創業 | 1975年 |