【初潜入!】天狗・神田屋の食品工場、安さを実現する舞台裏!テンアライド全面協力

【初潜入!】天狗・神田屋の食品工場、安さを実現する舞台裏!テンアライド全面協力

2022年12月9日

居酒屋チェーン『天狗』や『神田屋』を展開するテンアライドの食品工場にメディア初潜入!安くて美味しい、居酒屋チェーンの舞台裏を徹底取材。一日1万個もつくる焼売はすべて手包み!?創業半世紀以上の老舗居酒屋チェーンにはこだわりが詰まっていました。

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1969年創業、チェーン居酒屋の草分け的存在

居酒屋好きならば一度は利用したことがある『旬鮮酒場 天狗』。創業は1969年と古く、東京・池袋に一号店が誕生しました。創業の地では、現在も天狗系列の店舗が営業を続けています。

郊外型業態や炭火串焼業態をあわせて、天狗は現在63店舗を展開中。※掲載時点

旗艦店は新宿駅西口にある1983年開店「旬鮮酒場 天狗 新宿西口パレットビル店(旧:新宿西口会館店)」で、駅直結立地ながら300席以上を誇る大箱店です。

現在店舗数を増やしている低価格酒場(いわゆるセンベロ)『神田屋』も、天狗の系列店です。店名の通り、東京・神田が一号店。毎月のように出店や業態転換で店舗数を増やしており、現在29軒を展開しています。※掲載時点

最近では名古屋の栄や笹島、大阪の南船場にも出店しています。

そんな身近な居酒屋チェーンを運営する企業がテンアライド株式会社。老舗酒類卸しで日本名門酒会を運営する株式会社岡永の兄弟企業です。酒卸しをベースとしているからか、他の飲食チェーンとはやや異なる社風に感じられます。

「良いものを安く、早く、清潔に、最高の雰囲気で」を四つの誓いとして掲げており、昔から「美味しさ」だけでなく、安心・安全な良い品を安く早く提供することに力を注いでいます。どちらかといえば、食品製造・卸し企業寄りなのかもしれません。

フランチャイズで展開することが多いチェーン居酒屋業界でありながら、テンアライドは原則直営店です。また、1970年代には居酒屋業界ではまだ珍しかった食品加工工場を開設し、仕込みから配送までを自社グループ内で行える体制を整えています。

テンアライドの料理

サイコロステーキ(660円)は、1984年(昭和59年)から続く天狗のロングセラー。ニュージーランド産牧草牛の熟成ハラミを使用しています。天狗にいったら、まずはサイコロステーキを頼んだという人は多いはず。

軟骨の食感が心地良い大串つくね(297円/本)も昔から人気の一品です。20代の頃、天狗でよく食べました。

神田屋では、黒豚の塩麹焼きが甘くコクがあり絶品。もつ煮込み(319円)や牛すき焼き鍋(429円)など、どれもお手頃価格です。

さて、天狗や神田屋の疑問。

膨大な品数の料理は、どうやって調理しているの?

テンアライドの中の人「料理の品質を安定させ、安く早く提供するため、セントラルキッチン(食品工場)で下ごしらえをしています」

ならば、これらの名物料理を支える舞台裏が知りたい!

と掛け合ったところ、今回、特別に取材許可を頂けました。天狗・神田屋の品質と安さを支えるテンアライドのセントラルキッチン(食品工場)に、メディア初潜入です。

天狗・神田屋の食品工場とはどんな所?

そこで私が向かったのは、埼玉県日高市。最寄りのJR八高線 高麗川駅は、なんともローカルな風情たっぷりの雰囲気です。

住宅街をタクシーで進んでいくと、そこには見慣れた「テンアライド」の看板がありました。

2016年に江戸川区から移転して開設された最新の施設。関東を中心とした天狗や神田屋の約100軒の料理を仕込んでいる巨大食品工場です。

年末の繁忙期を前に一番忙しい季節だという仕込みの現場。ですが、入り口はとても静かで匂いもなく、稼働しているのかわかりません。

でも、ここは確かにテンアライドの施設。カメラ片手にいざ、潜入!

入ってすぐは、普通のオフィスの雰囲気。

見えているのは工場の中でもごく一部。地図をみると、今見えている廊下が地図左下のグリーンのエリアでしかないことがわかります。中は迷路のようになっているようです。

中に入るためには白衣に着替えて、手洗い、消毒、長靴のままアルコールの水槽を抜け――

そっと閉じ込められると、クリーンルームなどに使うエアシャワーが作動。ここまでするの!?というくらい、徹底した管理の先に調理場があります。

案内してくれたのは、テンアライドの皆さん。

食材が料理(半調理品)になるまでの流れを、荷受けから順に見ていきましょう。大人の社会科見学気分でワクワクします。

ここは入出荷などを行う部屋。最も入り口に近く、トラックを直付けすることで半出入できる構造になっています。原材料はなんと500種類以上あるそうです。

天狗といえば!という料理はいくつもありますが、私は生ハムも好き。ヨーロッパからの仕入れが厳しい昨今ですが、しっかり届いていました。

こちらは調味料を保管する倉庫。

さらに進むと、ネギやにんじん、玉ねぎといった見慣れた食材が見えてきました。農協などから仕入れた野菜を、まずはここで一斉に加工します。土がついたものが集まるので、工場の中では最も汚れのでる空間。ここで加工しないと奥の調理スペースに野菜は移せません。

ここでは、もくもくと生姜をスライスしています。機械化が進められていますが、少量の作業は人がおこなうことも多いそうです。この生姜が何に使われるかというと――

魚の加工場へやってきました。こちらでは、鯖を味噌と一緒に詰めています。そして、さっきのスライスした生姜もここで登場。さば味噌に入る生姜だったのですね!

こちらには大量のホッケ開きが水に浸かっています。羅臼産だそう。自社工場ならではの店で使いやすい加工をし、無添加無着色で仕上げています。

開いた真ホッケは網にずらりと並べられ、これから一夜干しがはじまります。居酒屋チェーンのホッケ開きは、飲み会が好きな人なら一度は食べたことがありますよね!

銀鱈や金目鯛などの高級品は、ひとつずつ個包装にして出荷しているそう。工場というより、飲食店の厨房のようなつくり方です。

肉の加工も自社で行う

巨大なブロックで届いた食肉。それを料理の原料サイズにカットしたり、ソーセージなどに加工したりするのも工場の担当です。

次々とスライサーから出てくる肉類。これらを最終的に店舗で焼いたり煮たりすることで、いつもの料理になるという流れ。

工場加工品を最終的に店で仕上げた、黒豚の塩麹焼きや、ステーキ、とんかつ。

こちらではハンバーグ用のひき肉をつくっています。

ひき肉も自社内で。精肉加工までしてくれる食肉メーカーが多い中、テンアライドは極力自社加工にこだわっています。店舗を効率化するためのセントラルキッチン方式ですが、実際に工場をみると、品質を高めるためにむしろ多くの手間をかけていることがわかります。

一日に包む量は最大1万個

天狗では自家製しゅうまい(3個495円)として売られている焼売の製造現場がこちら。なんと最大1万個も作るそうです。しかも機械化はせず、すべて手で包んでいます。所長の吉田さんも包む工程を手伝うことがあるそうですが、職人の皆さんのスピードには到底かなわないと言います。

包んだものを一気に蒸し上げていきます。店舗でもせいろで蒸しますが、一度工場内で完成品に仕上げ、品質を安定させているそうです。

できたての焼売、うーん!美味しそう。あとでビールと一緒に食べたいです。

餃子は皮からつくる!

こちらは餃子製造マシン。コンベアの上の生地が流れていきます。

その上には工場内で加工された食材を入れた餡が捏ねられています。

生地は少しずつ伸ばされていき、最終的には0.6mmから0.7mmまで薄く伸ばされます。

まるく型で抜いた皮に餡を載せ、ぎゅっと機械で押し出していくと――

おなじみの餃子が次々と流れてきました。一日に最大4万個は製造するという餃子。

そうして、店に運ばれた餃子は厨房で焼かれて、テーブルの上へ。薄皮で美味しいんですよね。(神田屋浜松町店で撮影)

豆腐は創業当初からのこだわり

天狗の肉豆腐は創業の頃からのメニューですが、なんと豆腐の原料である豆乳から内製していました。豆腐を自社内でつくる飲食チェーンって居酒屋以外でもそうそうないと思います。しっかり濃くて甘いお豆腐なんですよ。

こちらはソースやタレを製造する設備。なんとドレッシングや天狗の食事メニューにある「ざるそば」のつゆ(蕎麦も工場内で製造)、煮込みなどに使う味噌まで内製しています。そこまで自社製造にこだわる理由について吉田さんは「自社で使う場合、どう消費されるかまで把握できるので添加物を削減できます」と話します。

製造されたものは、出荷前に金属探知機などで品質・安全性をチェックを通過し、トラックで出荷されます。少なくとも毎日10トントラック1台分の料理が送られていくそうです。製造する品数は自社向けで120品目。かなりの種類です。

併設された直売所が思わぬ人気スポットに

工場の駐車場脇には直売所があります。

食品工場開設と同時期にオープン。当初は週末のみの営業だったそうですが、1日に100万円近い売上になることもあり、現在は毎日営業しています。

工場で製造する料理だけでなく、原料になっている玉子や野菜まで売られていて、ちょっとした道の駅のような雰囲気です。

餃子や黒豚の味噌漬けなど。酒場の味を自宅で手軽に楽しむことができます。

マッサマンカレーやバターチキンカレーなど、本格的なカレーも。50年のノウハウがある老舗飲食チェーンですから、いろんなレシピがありそうです。

豆腐の原料を内製する天狗らしいアイテムを発見。自宅でつくれる手作りとうふセットです。にがりや容器も入っています。親子で自家製とうふづくりが楽しめますね!

より本格的に天狗・神田屋ごっこを楽しむならば、容器も購入しないといけません。グラスマニアの筆者は、天狗のオリジナルビールジョッキを買って帰りました。

実際に食べてみよう!

天狗の食品工場で製造されたものは工場直売所だけでなく、スーパーマーケットなどの実店舗でも販売されています。また、通販サイトからも購入可能です。

それでは、見学でお腹も空いてきましたので、市販されているものからいくつか試食してみましょう。※工場内には食事スペースはありません。

ずらっと並べました。もちろん当サイトは酒場情報サイトですから、天狗や神田屋でおなじみのサッポロビールやレモンサワーも用意。会議室が居酒屋になりました(笑)

それでは乾杯!

餃子

さきほどマシンで次々作られていた餃子。一般的な冷凍餃子同様、フライパンで焼いて仕上げます。味は間違いなく天狗の餃子です。同じ冷凍餃子でも冷凍食品メーカーのそれとは結構違う仕上がりなので驚きます。

肉じゃが

柔らかく中まで染みたじゃがいもが美味しい肉じゃが。

国産やまと豚の自家製ソーセージ

天狗のソーセージも、冷凍品を購入すれば自宅であの味が楽しめます。パリッとしいて肉汁たっぷりです。

さきほど工場内でもつくっていたさば味噌も、小売されています。鯖はノルウェー産。湯煎するだけでつくれる簡単調理ですが、とろとろで旨味もたっぷり。

もつ煮込み

居酒屋の煮込みは自宅ではなかなか食べられません。直販や通販でも人気だという理由がよくわかります。しみじみ美味しい、天狗おなじみの煮込みです。

特製の棒鶏つくねも、冷凍品を購入すれば自宅でも楽しめます。これも居酒屋チェーンならではの味。

キーマカレーと冷凍ナン

キーマカレーも作っていることにびっくりしましたが、食べてみて二度驚きます。牛ひき肉たっぷりでかなり本格的な味。カレー専門店でも始めるのかも?と思えるくらい、なかなかの味です。

チェーン居酒屋の良さは、どこへいっても変わらぬ安定した美味しさであること。改めて天狗でそう感じました。なにより、セントラルキッチン方式というとネガティブなイメージが少しだけありましたが、むしろ、内製化率を高めることで品質を高めていることを知り、目からウロコでした。工場でまとめて作業できるから、効率よく手作りできるのですね。60人のスタッフの皆さんが毎日丁寧につくる天狗・神田屋の料理が、今後、より美味しく感じられそうです。

天狗の裏側には多くの人のこだわりがつまっていました。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/テンアライド株式会社・サッポロビール株式会社)

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テンアライドECサイト「天狗キッチン」https://www.tengkitchen.co.jp/

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