十三『スタンド四坪』マスターの技が光る、人気の高付加価値の立飲み

十三『スタンド四坪』マスターの技が光る、人気の高付加価値の立飲み

2022年9月17日

十三で人気を集めている立ち飲み店『スタンド四坪』を訪ねます。立ち飲み料理というよりは、ハイグレードな“星付き”割烹で提供されるような料理が楽しめると評判です。関西の酒場のレベルの高さを改めて実感しました。

スポンサーリンク

腕のいいマスターは根っからの料理人

価格勝負ではなく料理のこだわりで注目を集めている高付加価値の立ち飲み店が、近年、関西で増加中です。外食業界に逆風が続く今の時代でも、切磋琢磨のなかで次々と名店が誕生しているのは素晴らしいこと。大阪は何度訪ねても、毎回新たな「イイ店」に出会えるので楽しくて仕方がありません。

十三の『スタンド四坪』も、実に素敵な酒場でした。「最近の十三はますます面白い」という話をよく耳にしますが、こういう店の存在が牽引しているのでしょうね。

内観

17時の開店にあわせて店内へ。開店直後ですが、それでも次々お客さんが来て、店は一旦満員状態に。大変な人気店です。早い時間はマスターが一人で切り盛りしているため、一度に入店できる人数を絞っていました。

さて、店の構造ですが、店名の通り4坪ほどの細長いカウンタースペースで全席立ち飲みです。それでいて圧迫感を感じないのは高い天井の効果だと思います。外観からはわかりませんでしたが木造平屋の三角屋根になっているようです。

珍しい泡盛、洋酒などが並ぶバックバーは、なんだかおしゃれ。店の大きさからは考えられないほどお酒の種類が多く、非常にこだわりが感じられます。

品書き

樽生ビールはありません。瓶ビールでサッポロラガー中瓶:520円、ヱビス プレミアムブラック小瓶:480円、キリンハートランド小瓶:480円、オリオンビール小瓶:480円。

酎ハイ、割もの系は、キンミヤ生レモンサワー:420円、キンキンCAVAレモン:420円、ハイボール:380円など。

まるでバーのように、アイラ島のウィスキー、ラガヴーリン8年:10ml 260円や、大阪の尾鈴山蒸留所がつくるクラフトジンOSUZU:520円など、特徴あるスピリッツも用意されています。

日本酒もまた注目で、テイスト別に15銘柄以上が用意されています。

ワインだって、この品揃え。南アフリカの赤ワイン、マン・ピノタージュ・セラーセレクト:490円、カリフォルニアの白ワイン、アイアンストーン  オブセッション シンフォニー:490円など。

料理

定番の品書きはなく、料理は日々書き換わる黒板で確認します。

本日の鮮魚は、お造り3種盛り合わせ:640円、富山産 甘鯛松笠焼き:640円、大阪産 サワラ昆布じめ:640円、高知産 コバンザメ:640円、淡路産 蛸ぶつ:640円、熊本産 オキアジ:640円。

本日のおばんざいは、ウナギのコンフィ:480円、バイ貝の旨煮:380円、きびなごの南蛮漬け:380円、カニミソサラスパ:280円など。

ほかには、赤身馬刺し:480円、牛リブロース赤身の石焼きミニステーキ:490円、たらの白子 アンチョビバターソテー:680円、牛ハツの山椒オイル漬け:380円、トロたく巻きウニ醤油:750円など。

これほどの料理をこの価格で!?

サッポロラガービール(520円)

どんなにお酒が充実していても、一杯目はビールから始めたい。近年、関西で人気上昇中の銘柄「赤星」ことサッポロラガーをいただきます。それでは乾杯!

お造り三種盛り(640円)

目でも美味しさが楽しめる、美しい盛り付けです。三種盛りですが、鯵、蛸、本マグロ、そしてコバンザメ刺身と楽しい4品です。とくにコバンザメは珍しいですね。味の良さといえば、淡路の蛸が期待以上。ビールに続いて日本酒が欲しくなります。

ハモ塩焼き

関西で夏の魚といえば、やはり鱧(ハモ)でしょう。上物のハモを開いて骨切りし、二きれを綴じ合わせるようにして焼霜にしています。こういることでハモの旨味を閉じ込めることができるそうです。

淡白な味のイメージがあるハモも、これはかなり旨味が感じられます。しっとりとした食感と上品な脂の甘さが実に心地いい一品です。

コクのある料理には、ビールのハーフ&ハーフを合わせてみたい。ヱビス プレミアムブラックの小瓶をもらって、赤星にあわせてみました。なかなか良いペアリングだと思います。

実は、マスターは元中華の料理人

マスターが一人で切り盛りできる人数しか店を開かないため、18時前には一旦新規入店が休止されました。接客、提供品質を保つためのこだわりに驚かされます。手伝いの人が来るとまた開くそうです。

ごちそうさま

マスターは開業以前、大阪の人気和食居酒屋で働いていた飲食一筋の方。聞けば、なんと最初は中華料理の料理人だったそうです。中華よりも「季節感」がある和食に興味を持ったことで、いまのスタイルになったと話します。

大阪の市場で仕入れた上物を独特な感性で料理するスタンド四坪。またひとつ、リピートしたい酒場が増えてしまいました。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/サッポロビール株式会社)

店名スタンド 四坪
住所大阪府大阪市淀川区十三東2-11-12
営業時間17:00〜24:00(日は15:00〜23:00・月定休)
開業年2019年7月