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大阪でお昼から飲むときは、だいたい京橋や天満をめぐるのですが、今日は少し気分を変えてみようということで、大阪旭区の千林(せんばやし)商店街へ。地域密着の惣菜店や食料品店、ミセスファッションの店などが立ち並ぶ活気のある商店街ですが、目的はお買い物ではなく、もちろん大衆酒場。
この地で1954年(昭和29年)に創業し、現在3代目が暖簾を守る、街一番の老舗「丹倉」が目的のお店です。
正午から夜9時まで通しで営業。早い時間から飲みたいときにも嬉しい一軒です。
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千林はJR京橋駅から京阪電車の普通に乗って4つ目の駅。駅前から続く千林商店街は、全長660メートル。大阪3大商店街のひとつに数えられ、京都と大阪を繋いだ京街道に接続する一世紀以上の歴史を持つ商店街です。
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商店街にある酒場の、地域密着具合は非常に心地よいものがあります。買い物ついでに立ち寄るご夫婦や、昼間から顔を赤く染めたお父さんがふらっと暖簾をくぐるようなお店。こういう場所は、地元の人々にとってはもはやインフラと言ってもいいのでは、と思います。
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蕎麦屋のような低めのテーブル席と、ご主人がたつ厨房に向いたL字のカウンターという配置。冷蔵ケースにはお造りやサラダが整列しています。
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牛筋土手焼き、湯豆腐、関東煮の関西酒場3点セットからは、飲み屋好きの心をくすぐる香りと、しっとりと包まれるような湯気がたっています。
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ビールはキリンとアサヒを取り扱い。樽生はキリン一番搾りです。キンキンに冷えた生ビール、ジョッキを持つ手の冷たさから、もうテンションは上がるばかり。では乾杯!
ビールはダイビンが570円。樽生は中ジョッキで500円。チューハイ(キリン樽詰サワー)は360円。
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黒板メニューは、お造り(刺身)で生まぐろ(800円)、きずし(600円)、かんぱち(700円)。そして鯖焼き(350円)、ちくわ天(280円)、マーボー豆腐(650円)など。
短冊では、すなずり、じゃこ天、かす汁…あとは目の前に並ぶものを適当にオーダーしてという流れです。よくみるとナポリタンやドライカレーなど昭和の喫茶店軽食のような品書きもあります。
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関東炊(おでん)は120円均一。看板料理の土手焼き(380円)に加え、串焼きも置いています。
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関西のおでんは東京のそれとはやっぱり違います。いい具合にきつね色に染まったじゃがいもにカラシを気持ち多めにつけて頬張れば、すかさずビールをぐっと飲みたくなります。白和えなどの小鉢もいっしょに。
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司牡丹(600円)、神心純米大吟醸(700円)、手取川純米吟醸(600円)、雪中梅純米(600円)、十四代(900円)など日本酒が種類豊富なのも丹倉の魅力です。常連さんが美味しそうに口をグラスに添えているをみたならば、こちらもひとつ。白川郷にごり(550円)をひとくち。お米の甘さが心地いい。
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秋から春にかけては粕汁が人気です。根菜たっぷり、そして鮭ではなくブリがはいっています。
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青汁割りと粕汁、健康に気を使っていそうなセットを楽しみ大満足。
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家族経営のほっとする酒場。時間を忘れてのんびり杯を重ねるもよし、さっくりと立ち寄り休憩がてら飲んでも楽しめる「丹倉」です。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ ※外出自粛要請以前に取材)
丹倉
06-6953-9813
大阪府大阪市旭区千林2丁目2-19
12:00~21:00(火定休)
予算1,800円