住吉『鳥宣』自慢の唐揚げは唯一無二!創業50余年の下町大衆酒場

住吉『鳥宣』自慢の唐揚げは唯一無二!創業50余年の下町大衆酒場

下町情緒がある大衆酒場は素晴らしい。改めてそう感じさせてくれた店が『鳥宣』です。創業から半世紀、家族経営で、創業した初代が今も板場の最前線で包丁を握ります。100品はある豊富なメニューの中でも、看板料理の鳥料理はどれも絶品。大将自慢の唐揚げは唯一無二の一品です。

 

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夕暮れの扇橋、黄色い看板が目印

小名木川のそよ風にのって、やっきてました。

ここは東京都江東区・扇橋。清澄橋通りと四ツ目通りが交差する扇橋二丁目交差点周辺は、近隣に駅はないものの昔から商店や飲食店が立ち並ぶ、ちょっとしたにぎやかな場所です。老舗酒場好きには魅力的なエリアなのですが、最寄りの地下鉄住吉駅からは7分ほど離れています。そういう立地も楽しみながら、穏やかな下町的な町並みを眺めて歩くのもいいものです。

 

便利なのは、秋葉原駅を発着する都営バス「秋26系統」で、本日ご紹介する目指す酒場の目の前に停車します。黄色い看板が目印の『鳥宣』。

 

創業は50年以上前で、若くして自分の店をもった大将は、いまも現役で花板を務めています。年季がはいった店構えですが、使い込んだ店特有の建物そのものが熱量を持ったような雰囲気で、酒場好きは思わず吸い込まれてしまいそう。

まだ時刻は17時前だというのに店内は常連さんたちでとても賑やかです。

 

乾杯はサッポロ黒ラベルの大瓶で

店は奥に広く、10m近いカウンターの先がL字の折れています。テーブル席では、サンダル姿で銭湯帰りに飲みに来ている夫婦や会社員。カウンターは近隣で働く常連のお父さんたちでいっぱいです。時節柄の調理場との境界にビニールシートはあるものの、柱や壁がなく、店内はどこの席からもぐるりと見渡すことができます。この開放的な雰囲気が気に入りました。

 

店頭に掲げられたレトロな黄色い袖看板にも書かれている通り、ここのビールは樽生も瓶もサッポロ。当たり前のように出てくる黒ラベルの大瓶に思わず笑顔になって、それでは乾杯。

 

品書き

お酒

樽生ビールはサッポロ黒ラベル:550円、瓶ビールはサッポロ黒ラベル大瓶(590円)。人気は城東地域らしい色付きの焼酎ハイ:400円。ほかにはレモンサワー緑茶ハイなど:400円。ナカ(焼酎)が溢れんばかりに入っていると一部で評判のホッピーセット:400円。

 

黒板メニュー

マグロ刺身:450円、かつお刺身:500円、くじら刺身:500円、赤貝刺身:450円、アジ唐揚げ:400円など。鳥の店ですがお刺身は常時10品くらいが黒板に並びます。

 

料理

とにかく料理の種類が多いお店です。それがまとめられおらず、あちこちの壁に散りばめられたように書かれているので、一度や二度利用しただけでは品書きの全容を掴むのは難しそう。

一部を紹介しますと、

やきとり鳥だんごもつ焼レバ焼スナギモ焼ナンコツ焼タン焼ハツ焼:各100円。

肉豆腐:400円、にこみ:350円、ゲソ天:400円、たらバター:400円、豚ロースしょうが焼:400円、くじらベーコン:450円、うなぎ肝串:250円、厚揚げ:370円、マカロニサラダ:350円、えび揚げ:400円、とりもつ鍋:1,200円、レバカツ:400円、やきそば:400円など。

 

毎日通いたくなる安さと品揃え

まぐろ刺身(450円)

鳥料理をはじめ、モツやカツなどが充実しているのはよくわかるのですが、お刺身だけでも大衆割烹のそれと同じくらいの品数が揃っています。焼き場は家族が手伝っていても、刺身は花板の大将の仕事。「おう!」という感じに、まぐろ刺身はサクからあっという間に切り分けて手渡されました。これくらいの盛りが450円なら、昨今では立ち飲み屋価格かも。

 

やきとり(各100円)

テイクアウトで買っていくお客さんが多くて、途切れることなく焼いている焼場。ここで二代目がささっと慣れた手付きで仕上げた焼鳥です。焼鳥の品書きで一番目にあった鳥だんごは、やはり自家製。ホクホクかつジューシー、コク深いタレと相性が良いです。

 

焼酎ハイ(400円)

みんな大好き、色付きのオリジナル焼酎ハイボール。鐘ヶ淵、八広、篠崎などにかけて広く城東エリアでみかけるウイスキーハイ風の色をしたオリジナルの焼酎ハイボールですが、ここ『鳥宣』にもこれがあります。多くのお客さんが頼む定番の飲み物です。

これがめちゃくちゃ焼酎が濃いのです。写真でも液体がゆらつく様子が写っていますね。

やや甘めの風味ながら余韻は皆無で、キリっと強い焼酎感が一瞬だけ感じます。これは揚げ物と相性が良さそうです。

 

鶏唐揚(450円)

『鳥宣』は常連さんによって名物と言われるものは異なるようですが、大将も自慢の一品はこれ。すごいボリュームです。

 

手羽やモモとも違う骨付きの鶏をバリバリになるよう特別な衣をつけて揚げた唐揚げです。予めよく漬け込んでいるようで骨のまわりまで下味がついていて、これがクセになる美味しさです。

酒場を巡っていると唐揚げを食べる機会も多いですが、これは唯一無二の味。ジューシーでコク強め、せんべいに似た食感とワンコイン未満とは思えないボリュームもあって、絶対リピートしたくなるものです。

 

日本酒

焼酎ハイボールとサッポロビールが人気のようですが地酒の品揃えもいろいろ。品書きが多くて地酒メニューがみつからなくても、女将さんに相談すると教えてくれます。

優しい雰囲気で、ひとまわりリーズナブルな価格設定の料理の数々。年代を感じるつくりですが、酒場好きならば一度は訪ねておきたいアットホームいい酒場です。唐揚げは大きくても美味しいので完食でした。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)