有楽町「荻野屋 弦」横川から出陣!峠の釜めしの具で飲む立ち飲み

有楽町「荻野屋 弦」横川から出陣!峠の釜めしの具で飲む立ち飲み

2021年11月15日

人気駅弁「峠の釜めし」で知られる群馬県横川の荻野屋(おぎのや)がJR有楽町駅の高架下にオープン。立ち飲みスペースを併設し、駅弁購入だけでく、ちょい飲み利用でも人気を博しています。400円の群馬・長野の地酒が魅力的。

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横川駅から有楽町駅へ

荻野屋(おぎのや)「峠の釜めし」は、首都圏から軽井沢、長野方面へ向かうときのお馴染みの駅弁です。

荻野屋の歴史は古く、創業は1885年。荻野屋のヒストリーは、交通の難所と言われた碓氷峠とともにあります。

約10kmの碓氷峠を挟んで、横川と軽井沢の高低差は500mにもなります。そのため、鎌倉時代からある主要街道「中山道」の頃から人々の往来を苦しめてきました。

荻野屋が開業した1885年、峠を目前に鉄道は高崎から横川まで開通。1893年には横川と軽井沢が繋がります。荻野屋が峠の釜めしを発売したのは、1958年になってから。1997年の北陸新幹線開通までは、碓氷峠越えには時間的なロスが多く、そうした中で「峠の釜めし」は、ノロノロと山を登り降りする列車で食べる、旅情たっぷりの名物駅弁として親しまれてきました。

鉄道は北陸新幹線で、車は上信越自動車道であっという間に横川・軽井沢を通過できる現在、荻野屋も販路を変えて奮闘しています。

時代はかわって、令和の有楽町駅。まさか横川の駅弁屋さんが有楽町に進出するとは。JR有楽町駅国際フォーラム口改札から徒歩5秒ほどという立地に、ここでもしっかり「駅弁」だということがわかります。

店内調理のできたてのお弁当は、紙容器入りの峠の釜めし(1,100円)や、有楽町限定、上州牛イチボなどを載せた豪華な「有楽町の釜めし」(1,500円)など。

大手家電量販店と山手線の隙間という喧騒の中にいながら、ここはなぜか落ち着いた雰囲気があります。「汽車の前に、一杯ひっかけていこう」、そんな旅情すら感じられるから不思議です。

お酒の注文はいつでもできますが、16時を過ぎると峠の釜めしの具材などをつかった一品料理や、ちょい飲みセットの注文が可能になります。

品書き

お酒のメニュー

碓氷峠は、信州と上州の国境(くにざかい・長野と群馬の県境)に位置することから、お酒は長野と群馬、両方を揃えています。

長野は善哉酒造(松本)「善哉 菊印」と宮坂醸造(諏訪)の「真澄 辛口ゴールド」、群馬は貴娘酒造(中之条)の「貴娘 本醸造」と「貴娘 精撰」、永井酒造(川場)の「谷川岳 心」、島岡酒造(太田)の「群馬泉」。400円均一のお酒でも、なかなか通好みのものが揃っています。

さて、ここで見逃せないマニアックな銘柄を発見。それは、【焼酎】のマラソン侍です。緑茶割り、または烏龍茶割りのベースで、甲類焼酎です。これは 美峰酒類という高崎の焼酎・清酒メーカーつくるご当地甲類。おそらく有楽町で飲めるのはここだけではないでしょうか。

ビールは大樽はなく、小瓶のキリンハートランド(400円)と、松本ブルワリーの3種類。

一品料理の品書き

お酒が税込400円とお手頃ですが、一品料理も有楽町駅という立地を考えれば良心的です。

峠の釜めしの具材2点盛(400円)や、峠の釜めしのアタマ(800円)など、荻野屋ならではのユニークな顔ぶれです。それだけでなく、鴨ロース(600円)や上州牛すじ煮込み(400円)など、温かい肉料理もあり、お酒を誘います。

峠の釜めしの具材ってなんだったっけ…と考えていたら、壁に掲げられていました。そうそう、鶏肉や筍、椎茸、ゴボウなどが入った素朴なお弁当でした。

買い物ついでや、はしご酒で気軽に乾杯

真澄(セットのお酒)

それでは乾杯!

日本酒の受け皿は、峠の釜めしをそのまま小さくしたようなミニチュアの益子焼です。

ちょい飲みセット(1,000円)

筍や椎茸を甘く煮込んだ具材と、ごぼうとポテトのサラダ、そして400円台のお酒を1つ選べるちょい飲みセット。もう一杯追加して、1,500円くらいで十分満喫できる内容です。

キリンハートランド(400円)と上州もち豚の角煮(600円)

峠の釜めしのまるい底をそのままカットしたような、不思議な益子焼のお皿が可愛らしい。そこに熱々で盛られた豚の角煮。これでハートランドをきゅっと飲めば、なかなかいい気分。

甘く煮られていて、やさしい味付け。駅弁ファンでなくても立ち飲み店として十分に楽しめます。

貴娘 益子焼お燗(600円)

手元の品書きには記載がないものの、普通酒の貴娘善哉は、1.5合でお燗酒を注文することができ、駅弁容器型の益子焼で提供されます。

処分できずに家に保管している人も多いと思う荻野屋の容器ですが、こんな使いみちがあったとは。公式の飲み方は、冷めにくくしみじみ地場消費のお酒を味わえました。

容器の横に書かれた「横川駅」の文字。同店のお皿はここがしっかり「有楽町駅」になっています。

思い出の味という方も、おもしろい立ち飲みをお探しの方も楽しめる、最新駅弁立ち飲み「荻野屋 弦」。山手線に乗ってふらりと飲みに行ってみませんか。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名荻野屋 弦 エキュートエディション有楽町店
住所東京都千代田区有楽町2-9-8 JR東日本有楽町駅高架下
営業時間11:00~23:00※一品メニューは16:00~(エキュートエディション有楽町の休館に準ずる)
開業年2021年3月26日(荻野屋本店は1885年)