1994年創業の「兆徳」。中国河南省出身の朱徳平さんがつくる玉子とネギしかいれない超シンプルな玉子チャーハンが名物。食事の店として有名ですが、大衆中華飲みファンにもぜひ立ち寄って欲しい一軒です。
チャーハンはおつまみ
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意外とチャーハン飲みをする人が多いようで、びっくりしています。
お酒と炭水化物の組み合わせは難しい。寿司やお好み焼きなどを除くと、やはり主食とお酒は合わせずらしいものです。
昨今流行りの大衆中華(町中華とも)飲みも、やはり主役は餃子や炒めものでしょう。ですが、筆者は昔からチャーハンで飲むことが好きで、昼食のチャーハンによく瓶ビールを1本つけてきました。最も、よっぽどのことがない限り、中華料理店でお酒を飲まないという選択肢はありませんでした。
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上記のようにチャーハン飲み愛好家であると人に話すと、「あまりやらない」という答えが多く返ってくることがほとんど。それでも、インターネットの世界は広いもので、Syupoの読者の方には「チャーハンはおつまみ」という考えの方がいらっしゃることがわかり、少しだけ市民権を得ているように思い始めました。
具材ではなくお米がビールを進ませる
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さて、話を本題に移しましょう。今日やってきたのは、本駒込・白山の「兆徳」という大衆中華。大枠としては、さっと空腹を満たせる、よくある個人経営の中華料理店です。このジャンルもラーメン屋寄り、本格中華寄りなどいろいろありますが、ここは、店主さんが中国出身ながら、典型的な大衆中華(町中華)なのです。
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日本全国どこにでもある大衆中華ですが、ここをあえてご紹介する理由は、ご主人がつくる究極にシンプルなチャーハンが、具で飲まさずお米で飲ます魔法の味だからです。
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名店と名高く多くの常連さんが連日訪れる人気店。雑多な店ですが幅広い世代・職種の人が訪れ、落ち着いた雰囲気のお姉さまの一人客や、家族連れの姿もあり、老若男女幅広く親しまれていることがわかります。有名な噺家が寄席の前に通ったという話もあります。
このようになかなか特長的なお店なのですが、まずは飲まなければ始まりません。ビールは樽生、瓶ともにアサヒスーパードライ。樽生のサーバーには樽チューハイも繋がっており、樽ハイ倶楽部がでてきます。ちなみに中国酒のボトルキープ制もあり、飲める中華なのでご安心ください。
では乾杯。
品書き
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生ビール580円、瓶ビール中瓶580円。樽ハイは各種480円、ニッカハイボール(480円)や紹興酒女児紅(650円)など。
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「チャーハンは大変人気です!当店のオススメでございます。」と書かれた品書き。グルメ系や散歩系の雑誌やメディアではやはりチャーハン推しの紹介になっていますが、ご覧の通り冷菜300円からはじまる、豊富なお酒のおつまみが揃っています。
土日と夜限定の揚げ餃子(600円)は、お酒飲み向けの餡掛けタイプ。
回転重視で、ささっと昼飲み
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お通しのザーサイがお酒といっしょにがでてきます。カウンター越しの厨房からは、途切れることなく中華鍋のカンコンカンコンというリズミカルな音がなり続けています。
玉子チャーハン
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ピークタイムを外しても店の外には少し行列ができています。ですので、飲み客だからこそ、こちらも意識してテキパキ飲みたい。最初からメインの玉子チャーハンも一緒に揃えてもらいました。
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飲めるチャーハンといえば、濃い味だったり、中華特有のあの調味料の味だったり、海老やチャーシューが山盛りになっているなど、様々なパターンがあります。兆徳は、それらと完全に対象的なのです。
薄味で上品、調味料がなにかはわかりませんが、クセになる美味しさ。脂が多いわけではなく、大量に作っているのに、米粒の間に空気があり、ふっくらと仕上がっています。
チャーハンにのどごしを言うのは不思議に思いますが、サラサラとしています。そこにスーパードライのカラクチを追いかけると、これがななかな良いのです。
焼き餃子(6個450円)
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ニンニクを使用していない、ニラの風味を効かせた餃子。大きさは標準的なもので、皮は厚くもちもちとた食感。
チャーハンと餃子のセットがあり、980円と単品で頼むよりだいぶオトクです。
トマト玉子炒め(750円)
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大衆中華でトマト玉子キクラゲ炒めをみつれるとつい注文したくなります。
チャーハン同様、トマト玉子炒めもシンプルな味。それなのに、なぜかチューハイをものすごく誘う美味しさ。
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一般的な大衆中華で飲むようなまったりとした飲み方向きではありません。「落ち着かない」という表現とも違います。
「今日はチャーハン飲みをする!」という道場へいくような気分で私は利用します。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 兆徳 |
住所 | 東京都文京区向丘1-10-5 |
営業時間 | 営業時間 [火~日] 11:30~14:30 17:30~22:00 日曜営業 定休日 月曜日 |
開業年 | 1995年 |