海南「炉ばた千日」話題は釣りと魚。魚好き集う小さなL字の名酒場

海南「炉ばた千日」話題は釣りと魚。魚好き集う小さなL字の名酒場

2021年8月11日

和歌山湾の海の幸を女将さんがパパッと美味しく仕上げてくれる、海南のろばた焼きの店「千日」。細い路地の先にあるカウンターだけの小さなお店に、今宵も地元の飲兵衛さんが集います。

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海南には駅から離れた場所に飲み屋街がある

和歌山市の南側に接する和歌山湾に面した港町・海南。大阪(新大阪駅)からはJR阪和線の特急くろしお号で70分の列車旅です。熊野古道紀伊路が市内を南北に通っており、いまも昔も南紀への旅路の中継地です。

また、昔から工芸・工業が盛んな街で、たわしに始まる家庭用品などを生産する企業が集中しているほか、港に面して製鉄所などの重工業地帯が存在します。

歴史と産業がある街に名酒場あり

海南市内には日方川(ひかたがわ)沿いにかつて花街が存在しました。駅からやや離れているものの今も飲み屋街に姿を変えて往時の姿を残しています。海南駅から離れており、駅前だけでこの街の飲み屋街の魅力は判断できません。

独特な細い路地が入り組み、時折大変立派な料亭や料理屋があられます。港町のそうした歴史を持つ街特有の空気が酒場探求の心を掻き立てます。

路地裏の草木に埋もれた飲食長屋にある

目指すお店「千日」の前までやってきました。地元の方か、はたまた相当な酒場好きでなければ、この細いコンクリート敷の路地には入らないのではないでしょうか。

店先ではお子さんが遊んでいます。どうやら営業中の模様。カウンターで宿題を済ませていたようです。

女将さんに迎えられ、店内へ。口開けの17時にはお客さんは私ひとりでしたが、その後、地元の方が続々とやってきて、店は満席近い賑わいになりました。地元言葉で軽快なトークを繰り広げる真っ黒に日焼けした飲兵衛さんや、仕事帰りの女性客、お子さんの夕食も兼ねた家族連れ、転勤で海南に来たような雰囲気の人など、客層は様々です。

女将さんを中心に、みんな家族のような会話を繰り広げています。

皆さん、自由に冷蔵庫から瓶ビールを取り出して飲み始めています。樽生の取り扱いもあり、銘柄はアサヒスーパードライです。

品書きはない、食材やお酒の現物を見て注文

キリンクラシックラガー中瓶

私も皆さんにならって、瓶ビール(キリンクラッシックラガー)を取り出していただきます。女将さんがグラスをだしてくれて、それでは乾杯!

このお店は品書きがありません。お酒は冷蔵庫から選び、料理はカウンターの前に並ぶ魚介類や野菜を女将さんと相談しながら注文する仕組み。値段がわからず不安と思われるかも知れませんが、大変に良心価格なのでご安心を。

カレイ、ワカシ、岩牡蠣、ウニ、サバ、メバチ、カツオ、マスなど。造りで食べるものもあれば、焼いてもらうものもあります。

イカのお造り

和歌山はアオリイカやスルメイカが名産と聞きます。鮮度が良さそうでキラキラと輝いていたイカをお願いしました。これが大当たり!

角がたった身はコリっとした歯ごたえがあり、甘さ、上品なコクが心地よく実にいい味をしています。

和歌山は醤油メーカーが非常に多い。実は醤油は海南にも近い紀州由良が発祥の地と言われています。首都圏の大手メーカーのそれとはまた違った深味のある醤油が、鮮度のいいイカに程よい旨味を加えてくれます。

ゲソはさっと炉ばた焼きにして甘い醤油をかけて出してくれました。これで日本酒が飲みたくならないわけがありません。

純米酒黒牛

海南は長久、御代正宗、長峰山麓、黒牛と4つの蔵のお酒があります。ここで選んだのは名手(なて)酒造店の「黒牛」。千日から名手酒造店までは1キロも離れていない距離にあり、地元の味そのものです。

旨口の食中酒、米の旨味が長く余韻として続くので、これは何か焼き魚をあわせてみたいです。

太刀魚塩焼き

この辺ならば海にいけばウヨウヨいる、そう話す釣り好きの常連さん。太刀魚の話です。

関西の港町で食べる太刀魚は本当に美味しい。脂が乗っていて、箸をいれると肉汁ならぬ魚汁が滴るほどにでてきます。柔らかくホロホロ、凶暴そうな見た目のわりに上品な味です。

小鉢もあります

きゅうりとみょうがの酢の物をいただきながら、皆さんの会話を楽しみます。だれかと連れ立って飲みに行くと仲間内だけの空間になってしまいますが、一人飲みだと店のみんなで空間を共有する楽しさがあります。

真鯛が釣れる、イカが釣れる、皆さん魚釣りが趣味のよう。実に楽しい夕暮れのひとときでした。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名ろばた焼 千日
住所和歌山県海南市日方419
営業時間営業時間
17:00~22:00
日曜営業
定休日
火曜日