上富良野『増屋焼肉店』名物“豚サガリ”とジンギスカンをビールと一緒に頬張る

上富良野『増屋焼肉店』名物“豚サガリ”とジンギスカンをビールと一緒に頬張る

2021年2月14日

旭川から南へ40キロ、ここはラベンダーの町、上富良野。そして、ビール好きの間では「ホップの生産地」としても知られています。近年では世界的に評価の高い品種「ソラチエース」ホップを生んだ地として有名になりました。

ビール好きならば一度は訪ねたい北海道のホップの聖地ですが、ここへ来たらぜひ食べておきたい名物料理があります。上富良野は焼き肉が盛んで、とくに「豚サガリ」が半世紀ほど前から親しまれてきた郷土の味です。

中心市街地で長年家族で営んでいる「増屋」は、お昼から夜まで通しで営業しており、明るい時間から焼肉が楽しめます。

スポンサーリンク

旭川からJR富良野線で約1時間

十勝岳の麓に広がる広大な富良野平野。ここを駆け抜ける富良野線のローカル列車に揺られ、上富良野を目指します。ラベンターの見頃となる夏は世界中から多くの観光客が訪れる路線ですが、冬季は落ち着いた雰囲気です。

リズミカルにジョイント音を響かせて、パッチワークのような畑が広がる田園地帯をひた走ります。じゃがいもや玉ねぎなどの畑を貫くように。

上富良野駅に到着です。富良野線の途中駅ですが、観光案内所があり駅員さんも居る北海道としては比較的立派な駅です。

上富良野はホップの名産地

駅からタクシーなどで少し足を伸ばせば、ホップ畑を見ることができます。ホップは晩夏に収穫されますので、見頃はこちらも夏になります。※敷地内には入れません。

北海道のビールといえば、ご存知サッポロビール。上富良野には同社で唯一のホップ研究所「北海道原料研究センター」があります。ここでは、「SORACHI1984」などに使用されるソラチエースだけでなく、黒ラベルの原料などに使用されたホクトエースなど、様々なホップがここから誕生しました。

※同センターは見学コースなどはありません。

同施設の母屋は別にありますが、ランドマーク的な大屋根の建物は昭和初期に建てられたもので、ホップの乾燥などに使われていた建物です。現在は保管庫などに使用されています。

上富良野でつくられたソラチエース(写真)。年々改良が行われ、ビールの美味しさを磨き続けています。

富良野のホップといえば、毎年秋頃に発売される「サッポロクラシック富良野ビンテージ」が有名ですが、その原料となるフラノスペシャルというホップの生産が毎年ここで行われています。

通しで営業している「増屋」

さて、ホップ畑を散策したあとは、空腹と、ビールが飲みたい気持ちを満たしたい。駅から徒歩5分ほどの「増屋」へ。ここは長くやっている地元の食堂で、店の半分が焼肉・ジンギスカン店となっています。

広々とした店内、昔ながらのストーブが真冬でも店内を暖めています。

家族経営で、主に肉を扱うのはベテランの大将。となりの食堂は女将さんが担当しています。

焼肉の煙も旨し増屋かな

店内はぬくもりある木目調のテーブルと板張りの空間ですが、厨房は老舗であってもピカピカに輝き非常に清潔感があります。

七輪と塩サガリ。そしてここ上富良野でうまれたホップ等を原料にしたビール、サッポロ黒ラベル(中ジョッキー500円)が到着しました。それでは乾杯!

北海道の雄大な景色を眺めたあとの生ビールは、季節を問わずいつでも最高です。

アルコール類は瓶ビールや清酒など定番が列ぶほか、梅割り(300円)というのが北海道では珍しいですね。

品揃えはシンプルで、いずれも手頃な価格です。サガリは塩で食べるほうが人気だそう。塩サガリ(600円)、ジンギスカン(600円)、牛カルビ(850円)など。

品書きで紹介されている「らべとん」。全国に存在するご当地キャラクターのひとつで、上富良野はラベンダーだけでなく豚サガリも名物ということをアピールしています。町を上げて豚サガリ推しですね。

七輪で焼く豚サガリ

サガリとは横隔膜(ハラミに近い)の部位。程よく脂がのいて炭火をあてるとじっとりと油が滴り、その煙でいぶすようにじっくり焼き上げていきます。柔らかい肉がカリっとするまでじっと我慢。煙と香りでビールが進みます。

きゅっとまるまり引き締まったら、タレをつけずそのままハフハフと頬張ります。一口サイズで旨味は濃厚、ビールのお供になるべくして誕生したような逸品です。

もう一皿は、ジンギスカンをお願いしました。昔ながらの丸いラムロールは、甘く野菜の味がとけたタレに漬けこまれています。

ぎゅっと詰まったラム肉はほどよく薄切りで、あっという間にいい塩梅に日が入ります。北海道では、このようにジンギスカン鍋ではなく七輪で食べさせてくれる店は意外と多いです。

梅割りは量り売り

さてさて、楽しい焼肉時間を盛り上げてくれる、増屋特製の「梅割り」(300円)がこちら!

クリアブラックニッカの瓶に詰められたほんのり梅味の甲類焼酎で、瓶ごとやってきます。当たり前ですが一本300円ということではなく、飲んだ量から計算するという仕組み。自分で好きな量だけ注いで飲むという方式です。

キンキンに冷やした梅割りは、クセがなくスイスイと飲めてしまいます。アルコール度数は高めなので飲み過ぎに十分気をつけたいですが、焼肉の脂を驚くほどしゅっと流してくれるので、これが相性抜群なのです。

焼肉を終えたら、キムチ(350円)をもらって、もう少しちびりと梅割りを楽しみたい。コクと酸味がしっかり効いたキムチもお酒を誘います。

上富良野の郷土の味を試してみて

上富良野名物の豚サガリが楽しめる老舗食堂のお昼酒。近くを訪れた際は土地の味を楽しまれてみてはいかがでしょう。

満足してお店をあとにしたら、十勝岳の眺めと爽やかな避暑地の乾いた風が心地よかったです。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名増屋焼肉店
住所北海道空知郡上富良野町中町2-1-27
営業時間営業時間
11:00~21:00
日曜営業
定休日
水曜日