浅草『ぼたん』1948年創業、観音様に向かう寄り道中華のオムライス

浅草『ぼたん』1948年創業、観音様に向かう寄り道中華のオムライス

2021年2月3日

北千住から、たまには東武線で帰ってみようと上り電車に乗り、久しぶりに東武浅草駅につきました。

電車の最後部(春日部寄り)に乗車していたため、久しぶりに”ドアカット(締め切り)”の洗礼を受けます。というのも、東武線が隅田川をこえて浅草駅(旧名は浅草雷門駅)に乗り入れた1931年(昭和6年)には、松屋がはいる駅ビルに収まっていた電車が、いまでは列車が長くなり直線部に収まりきらず、急カーブにはみ出してしまっているからです。

古い駅、古い街、そこを使っていた人々の生活を想像するのが好きな筆者にはたまりません。

さてさて、そういえば浅草駅は正面出口のほかに、北側に小さな改札があったことを思い出し、ふらっと町に抜け出してみました。

アサヒの本社を見上げる吾妻橋や、電気ブランの神谷バーなどで賑わう正面口と違い、北改札は小さな私鉄の途中駅のよう。薄暗いガード下の駅舎を抜けると、すぐに中華屋さん「ぼたん」がみえてきます。

開業は終戦間もない1948年(昭和23年)。現在は3代目と4代目が厨房で腕を振るっています。

雷門からの参道で向かう浅草寺への道のりを正面とするならば、こちらは脇から入るショートカットといえる位置。馬道通りをこえれば、そのまま”伝法院通り”になります。

そんな立地もあり、こちらは昔から参拝客のお腹を満たしてきた一軒です。

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食堂由来で中華以外もある

赤いテントにパリっとした藍色の暖簾、キレイに磨かれたショーケースのガラス。浅草の老舗らしい、丁寧に歴史を刻んできたような佇まいです。

テーブルが数卓に、8席ほどのカウンターという配置。カウンター席からは、これまた手入れの行き届いた鈍く銀に光る厨房機器たちがみえてきます。

ビールは隅田川の対岸に本社を構えるアサヒビールのアサヒスーパードライ。丁寧に注がれた鮮度の良い生は美しい!中華店ながらに、樽生ビールで大ジョッキが選べるのも、中華飲み派としては嬉しい限りです。

800型の大生スーパードライで乾杯!

品書き

ぼたんは中華だけど飲み屋です。そう言い切れるのは、この豊富なアルコールメニューの存在があるから。

オリジナルの本格焼酎をはじめ、ワイナリーコラボのボトルワイン、350円と手頃な酎ハイホッピーセット(450円)や、ブラックニッカのフリージングハイボールまであります。

一品料理も充実しています。お昼から夜まで通しで営業しているので、お昼ごはんのタイミングを逃してしまい、夜まで軽く飲みながらのんびり過ごしたいような午後にもぴったり。

未成年のお子さんはラーメンを、お父さんはビールと春巻きを…といった感じに、家族連れで訪れる人が多いのも納得です。

老舗で食事がてら飲む楽しさ

餃子(400円)。しゅっとしていて、いくらか上品な形状。

粗挽きの豚ひき肉の食感に続いて、生姜のしっかりとした主張が続き、余韻ににんにくのコクが続きます。そこへすかさず、スーパードライの生をすっと。

そうこうしていると、本日のメインがやってきました。お酒のつまみにごはんものは賛否あるかと思いますが、ここのオムライスは、お酒の肴としても大活躍する味付けです。

もともと甘味や丼ぶり系も出す食堂的な位置づけだったそうで、その名残りともいえるのが「オムライス」(900円)です。中華スープがつくのも素敵でしょ。

ラードをしっかり効かせて炒めた中華風のケチャッフライス。しっとり系で、味はお酒とあわせてもしっかり感じる主張強めのもの。均一に軽くきつね色に染まった卵は、まさしく職人技です。

これを前にして、酎ハイを飲まずにはいられません。ボリュームが多いので、ビールはたとえ大生だとしても1杯では終わらないかも。

中華店ながら花の名前「ぼたん」をつけた、大衆中華。古くからの地名である「花川戸」に咲く良きお店です。

ごちそうさま。

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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名中華料理 ぼたん
住所東京都台東区花川戸1-8-1
営業時間営業時間
11:00~20:50(L.O.)
日曜営業
定休日
金曜日・他不定休あり
開業年1948年