浅草の喧騒から少し離れた、いわゆる“奥浅草”エリア。浅草寺周辺の観光ムードとは一線を画す、歴史と日常の暮らしが交わる街。ここで創業百年を誇る『金太楼鮨本店』をご紹介します。鮨好きなら一度は耳にしたことのある「ねぎトロ発祥の店」として名高い金太楼。その魅力は、歴史や話題性にとどまらず、普段使いできる大衆鮨の奥深さにあります。
大正時代、浅草で創業

金太楼鮨の創業は大正時代。100年の歴史を重ね、浅草・上野を中心に十数店舗を展開しています。チェーン展開が一般的になる以前から暖簾を広げてきたため、地域ごとに独自の雰囲気が根付いています。本店は、数ある金太楼鮨の中でも特に重厚感があり、昭和の大衆寿司店らしい貫禄を感じさせます。

この店の名物はなんといっても「ねぎトロ」。現在は多くの寿司店やスーパーでお馴染みの軍艦巻きですが、実は金太楼鮨が発祥(諸説あります)とされており、その元祖の味を求めて通う常連も少なくありません。

暖簾をくぐると大きな付け台のカウンターが広がり、職人が手際よく握る様子を間近に見ることができます。店内は昔ながらの落ち着いた設えで、派手さはありませんが、昭和の香りが漂う空間です。初めてでもどこか懐かしい、肩肘張らずに過ごせる雰囲気は、地域密着型の老舗ならでは。

ランチタイム(14時まで)は、1,000円でお得なにぎりセットを提供。平日の昼下がりでも、飲食業、自由業など時間にある程度自由が効く人たちが集まり、思い思いにお寿司を楽しんでいます。
寿司は大きく昔ながらの様式が楽しめる

蒸し海老、コハダ、マグロ、イカ、そして名物のねぎトロなど、定番を押さえつつも一つひとつに丁寧な仕事ぶりが光ります。


蒸し海老はふっくらとした身に、ほどよい甘みと酢の加減。コハダは美しい銀皮にほどよく締められた酸味が広がり、下町寿司らしい王道の味。

名物のねぎトロ(1貫から単品注文可能。セットには含まれていません)は滑らかで脂の甘みがしっかり感じられ、元祖の貫禄を感じさせます。

合わせたのは、サッポロ生ビール黒ラベルの中瓶。サッポロらしいバランスのよい旨味と苦み、そして心地よい喉越しは寿司の余韻に非常によく合います。

アラ汁もついてきます。あたたかいお椀がでてくるとホッとしますよね。
お昼から通し営業だから観光でも使いやすい
金太楼鮨本店は、下町らしい温かさと鮨の美味しさを兼ね備えた、まさに“大衆鮨の王道”。
ちなみに、金太楼のねぎトロは中落ちを使っていることでも知られていますが、「ねぎトロ」という名前は、当時浅草で人気だった「麦とろ」の店名にあやかって名付けられたのだそうです。そんなエピソードも含めて、ねぎトロは浅草界隈のソウルフードと言える存在。歴史と下町らしさが詰まった一貫を、ぜひ味わってみませんか。
店舗詳細
- ランチにぎり・ちらし:1,000円
- サッポロ生ビール黒ラベル中瓶:650円
- 白鶴1合:500円
店名 | 金太楼鮨 本店 |
住所 | 東京都台東区東浅草1-21-7 |
営業時間 | 月・水・木・金・土・日 11:00 – 21:00 定休日 火 |
創業 | 1924年 |