浅草『雷門 満留賀』明治28年創業。喧騒を離れ、海老天で一献傾ける静かな昼下がり

浅草『雷門 満留賀』明治28年創業。喧騒を離れ、海老天で一献傾ける静かな昼下がり

蕎麦屋で一杯やるのがお好きなら、ぜひ知ってほしい一軒が浅草にあります。雷門からわずか徒歩1分。明治28年創業の静かな老舗『雷門 満留賀(まるか)』です。通し営業の広く落ち着いた店で、のんびりとお昼から蕎麦前を楽しみませんか。今回は私の一押し、天丼とともに『雷門 満留賀』の魅力をご紹介します。

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浅草の喧騒の中にあって落ち着きある老舗

浅草駅の地下鉄出口から地上へ上がってすぐ。観音通り商店街のアーケードを少し入ったところに、凛とした佇まいの『雷門 満留賀』はあります。 創業は明治28年(1895年)。日清戦争の講和条約が結ばれたその年に産声をあげたこの店は、現在全国にある『満留賀』の屋号の中でも、その源流に近い歴史を持っています。

暖簾をくぐると、そこには昭和の時代で時計の針を止めたような、懐かしく温かい空間が広がっています。 観光地・浅草の飲食店といえば、どこも行列や賑わいがつきもの。しかし、ここは不思議なほど落ち着いています。テーブル席だけでなく、靴を脱いで上がれる小上がりの座敷があるのが嬉しいところ。畳の上で足を崩せば、ここが東京有数の観光地であることを忘れてしまいそうです。

通し営業で、中休みなく迎えてくれるのも酒好きには頼もしい限り。昼下がりの遅い時間にふらりと訪れ、静かにグラスを傾ける。そんな贅沢な使い方が似合うお店です。

お客さんは週末ともなれば観光客が中心ですが、平日は近所のご隠居さんたちが蕎麦前を楽しむ、近所の蕎麦屋的な雰囲気もあって、その大衆的なムードもおすすめしたい理由の一つです。

昼酒の愉悦、正統派の天丼と向き合う

燗酒:700円

席につき、まずは心を落ち着けるためにお酒を注文します。 ビールはアサヒスーパードライですが、今日は日本酒の気分。兵庫の銘酒「富久錦(ふくにしき)」をお燗でお願いしました。

青い縞模様が美しい徳利とお猪口。温められたお酒が、散策で少し疲れた体に優しく染み渡ります。 お酒の肴には、板わさやそばみそといった「蕎麦前」の定番も揃っています。

もちろん、北海道・音威子府(おといねっぷ)産の蕎麦粉を使ったお蕎麦も魅力的です。しかし、私のおすすめはあえての「天丼」。 野菜や魚がのるのではなく、大きな車海老が2本、どんと丼を埋め尽くすシンプルかつ豪快な一品です。

天丼:1,650円

到着した天丼は、まさに威風堂々。 衣は蕎麦屋らしく、つゆを含んで花が咲いたようにふわりとしています。そこへ、出汁のきいたつゆがさらりとかかっています。

浅草界隈の天丼といえば、こってりとした黒い丼つゆをかけた「江戸前天丼」が主流ですが、満留賀のそれは蕎麦屋の天丼としての正統派。

保存料や化学調味料を一切使用せず、本鰹から丁寧に引いた出汁の旨味が際立ちます。

衣のサクサクとした食感を残しつつ、噛みしめると上品な甘辛さが口いっぱいに広がる。そこへ、きゅっとお燗酒を流し込む。実に気持ちがいい瞬間です。

浅草寺参拝の帰りに、整うひととき

観光客向けの派手なパフォーマンスや、過剰な演出はありません。あるのは、明治から続く実直な仕事と、静かに食事やお酒を楽しめる空間だけ。 有名店の行列に並ぶのも旅の思い出ですが、浅草寺への参拝など、ちょっとした特別な日にふらりと立ち寄り、自分のペースで昼食を兼ねた一杯を楽しむ。そんな大人の余裕を持った過ごし方が、この店にはよく似合います。

店名蕎麦処 浅草 雷門満留賀
住所東京都台東区浅草1丁目1−5 雷門満留賀
営業時間11時00分~19時00分
火曜日定休
創業1895年