水戸駅から大通りを歩くこと20分ほど。京成百貨店や水戸芸術館に近い泉町は、古くから続く夜の街です。このエリアの路地裏、泉町仲通りに店を構える『近海料理 直』は、その名の通り常磐の海で獲れた魚介と、手作りの料理が評判の名居酒屋。今夜は水戸の奥座敷で、地元の食通たちが集うカウンターに潜入します。
泉町仲通りの隠れ家へ

水戸の飲み屋街は、駅前だけでなく、駅から小高い丘を登った先の「泉町」や「大工町」に広がっています。特に泉町仲通り周辺は、昭和の風情を残すネオンが輝き、酒場好きなら本能的に「良い店がありそうだ」と感じるエリアです。

目指す『直』は、この通り沿いにあります。
暖簾をくぐると、そこは外の静けさが嘘のような活気。調理場を囲むように配置されたカウンターと、奥には小上がり。決して大きくはありませんが、大将と女将さんの目が届く、個人の居酒屋としてちょうどいい広さです。

カウンターには大皿料理(おばんざい)がずらりと並んでいます。一夜干しのししゃも、肉厚のしいたけ包み揚げなど、どれも艶やかで美味しそう。これらを眺めながら何を頼もうか悩む時間は、カウンター飲みの特権です。

まずは、アサヒスーパードライで乾杯。よく冷えたビールが喉を潤します。

お通し(先付)が運ばれてきました。この日は、鯛の子、茹で落花生、そして海老の煮付け。 この一皿を見ただけで、ここが「当たり」の店だと確信しました。

海老は軽く甘く煮含められており、素材の味が生きています。茨城名産の落花生も嬉しい。
常磐の海を味わう

屋号に「近海料理」と掲げている以上、やはり刺身は外せません。 壁の短冊メニューには、水戸の魚の代表格であるカツオをはじめ、ヒラマサ、地物の牡蠣、つぶ貝など、常時10種類ほどの魚介が並んでいます。

今回は真鯛をお願いしました。
ご覧ください、この厚切り。もちもちとした弾力があり、噛むほどに甘みが広がります。やはり市場が近い水戸、物の良さは間違いありません。

こうなると、合わせるのは茨城の地酒です。地元の辛口の酒をひやで合わせれば、魚の旨味がさらに引き立ちます。

ふと目の前を見ると、大きなマツタケが籠に盛られていました。季節は秋から冬へ。土瓶蒸しもいいなと思案していたところ、昔からお世話になっている水戸の人気大衆酒場「ラクダ」の店主さんが合流してくれました。 ということで、次の肴は、地元のプロがおすすめする「しじみ」にしました。

しじみの酒蒸しとも炒めともつかない、濃厚な一皿。これが実にいい味を出しています。涸沼(ひぬま)など、茨城は良質なしじみの産地でもあります。身の濃い旨味が、お酒のピッチを加速させます。
旬の味覚と名物焼売

魚だけでなく、肉料理も充実しているのが『直』の懐の深いところ。 常連さんがこぞって注文するのが、名物の自家製焼売です。

ズワイガニしゅうまい(2個850円)。湯気を上げ、想像よりもふっくらと大きなサイズ。箸を入れると、肉の旨味とともにカニの風味が口いっぱいに広がります。かなりスペシャルな味わいで、お土産にしたくなるほど。

ほかにも、茨城のブランド牛「常陸牛」や、注文が入ってから捌くという活鰻など、気になるメニューが目白押し。魚好きも肉好きも満足させるラインナップです。
創業40年余の実力店
気づけば店内は満席。仕事帰りの会社員や、地元の常連さんたちで賑わっています。 水戸駅から少し足を延ばしてでも訪れる価値のある、正統派の近海料理店。水戸でどっしりと構えた地魚の店をお探しなら、ぜひ泉町の坂を上がってみてください。
ごちそうさまでした。
店舗詳細



| 店名 | 近海料理 直 |
| 住所 | 茨城県水戸市泉町3丁目2−26 |
| 営業時間 | 18時00分~23時00分 日曜日定休 |
| 創業 | 約半世紀 |
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