台東区竜泉の『東嶋屋』は創業から130年以上になる老舗蕎麦店です。もちろん蕎麦が看板料理なのですが、実はカレーファンの間では黄色いカレーライスの名店として知られています。そして、私のような酒場好きには、ここのカツカレーは完全に酒の肴なのです。
ランチは行列ができる店、だから夜に行く
戦後、日本の大衆食として確固たる地位となったカレー。
日本式カレーと一括りにされがちですが、実態は大手食品メーカーのルーを使った家庭の味、中華料理店が中華鍋で伸ばす町中華のカレー、洋食店がつくる黒いカレーなど、そのタイプは様々です。そして、今回紹介する蕎麦屋のカレーもひとつのジャンルとなっています。
バリエーションはあっても、お酒好きにとってはすべておつまみであることには変わりません。
ということで、今回は蕎麦屋の黄色いカレーの名店として名高い『東嶋屋』をご紹介します。
東京メトロ日比谷線の入谷駅から、地下鉄の頭上を通る昭和通りを三ノ輪へ数分。笹が植えられた落ち着いた雰囲気の蕎麦屋が見えてきたら、そこが『東嶋屋』です。
さすがは老舗です。店は外見から想像する以上に広く、奥へと伸びています。カウンター席が長く配置されているのは珍しいですね。
現在の建物は、昭和通りの拡幅時に立て替えたものだそうですが、長年、この地でご商売をされています。
蕎麦屋で、カレーをつまみにホッピーという選択
カレーにあわせるお酒はやはりビールですか。それともハイボール?
『東嶋屋』には蕎麦屋としては非常に珍しいホッピー(家庭用)の用意がありまして、名物の黄色いカレーには、色を合わせてホッピーを選択。それでは乾杯!
カツカレー
注文から10分ほど。油を泳ぐとんかつの音とカレーに香りをつまみにホッピーを飲んでいる間に出来上がり。どうですか、黄色いでしょう。
カレーの具は豚肉と玉ねぎのみ。揚げたてのとんかつはまだザクザクの状態。
6代目女将が守るレシピは、門外不出。ラードや小麦粉が使われていることはわかりますが、この色の素は不明です。冷えると固まるため、注文を受けるとその都度小鍋でつくっています。
味の特徴は、まず第一に「辛くない」。くどさはなく、それでいてしっかりとした深味はあります。なるほど、確かに数多のカレー好きを唸らせてきた、昭和のカレーの完成形です。
『東嶋屋』のカツカレーは、提供時に一緒にウスターソースが提供されます。ある程度食べ進めたところで、これで”味変”するのがツウの楽しみ方だそう。
とろみの中からわずかに蕎麦屋のかつお出汁のニュアンスが感じられる。つけあわせの福神漬にホッとしながら、ホッピーのナカ焼酎をおかわり。
カツカレーで満腹になったところで、今更ですがお銚子と小鉢をもらって蕎麦前モードへ切り替えました。蕎麦屋カレーの食後は、コーヒー・紅茶ではなく、清酒がよく合うと思いませんか。
自家製のお新香もしみじみ美味しく、カレー以外もいろいろ頼んでみたいと思います。ですがきっと、次回行くときはカレーを頼んでしまうのでしょうけれど。
店舗詳細
品書き
- アサヒスーパードライ中瓶:600円
- 日本酒お銚子1本:450円
- ホッピーセット:500円
- 蕎麦焼酎蕎麦湯割り:450円
- おしんこ:400円
- カツカレー:1,100円
- ライスカレー:800円
店名 | 東嶋屋 |
住所 | 東京都台東区竜泉1-29-3 |
営業時間 | 月・火・水・木・金・土 11:15 – 15:00 17:30 – 20:00 定休日:日・祝日 |
創業 | 1892年 |