浅草は角打ちが多いエリアです。言問橋近くの『サカイヤ』も角打ち営業をしていますが、ローカルなコンビニのような店構えで、一見すると店内飲食ができるかわかりません。ですが、ここも正真正銘、酒販組合加盟のお酒屋さんで、昔ながらのコップ酒が楽しめます。
下町の酒屋で、家庭的な雰囲気に浸る
外観
言問橋の東詰。かつては猿若町と呼ばれていた浅草6丁目に、3世代に渡り受け継がれてきた老舗の酒販店があります。
酒の井戸と書いて『酒井屋』。以前は角打ちもある酒屋でしたが、規制緩和等の酒販店を取り巻く状況の変化で、酒だけの商売から変更。コンビニエンスストア風の店構えにして、商品もお酒に限らずお菓子や日用品、雑誌まで扱うスタイルになりました。
そんな『酒井屋』ですが、2019年夏、ご家族の発案で角打ちを再開することになり、再びお客さんが集える店へとなっていきました。
内観
店に入ってすぐはコンビニのような空間で、お菓子や日用品を買っていくお客さんの姿があります。
その先が角打ちスペースです。家族総出で改装したそうで、木製のタイルの上の角打ち台が3卓並んでいます。立ち飲みだけでなく着席も可能。女将さん手作りのから揚げなどの料理を座って味わえます。営業中はいつでも角打ちの利用は可能。つまり朝から飲めます。
品揃え
- 日本酒70ml:200円~
- 瓶ビール大瓶各種:450円
- グラスワイン:200円
- エイスキー牛乳:300円
- ホッピーセット:350円
- 土管巻き(かつおぶしの海苔巻き):200円
- からあげ:250円
乾きものは小売り売価そのままで持ち込めます。缶詰は売価+30円。
お酒は売り切りで入れ替わりますが、しっかり季節感のある銘柄が揃っていて、日本酒好きも楽しめそう。ほとんどが70mlで200円と良心価格なので、一通り飲み比べてみようと思います。
安い、楽しい、音がいい!
日本酒が気になるところですが、まずはビールからいただきましょう。ここは浅草。吾妻橋のビール会社・アサヒビールのお膝元ですから、一杯目はアサヒ生ビール(マルエフ)をチョイス。グラスも用意してくれます。乾杯!
おつまみはスナック菓子。角打ちの楽しみの一つは、こうして駄菓子屋気分に浸れるところ。
飲み比べ
親しみやすい優しい女将さんとの会話はほっとします。自然と飲みたい気持ちが高まり、飲み比べを4杯お願いしました。一ノ蔵無鑑査、久保田百寿、越乃景虎純米生酒、浦霞。きりっとした飲み飽きないお酒にも、細かな違いがあって楽しいです。
グラスワイン(200円)
ワインを飲んでいると、ご主人がやってきました。テーブルの前に鎮座するオーディオはご主人の趣味とのこと。角打ちを始めたことをきっかけに、ご自分の部屋から店舗へ移動させたそうです。
イギリスの有名メーカーのスピーカーとプリメインアンプ、その他オーディオ機器がしっかり準備されており、ご主人にお願いすれば好きな楽曲をかけてもらえます。ソニー製の大型ディスプレイも繋がっており、CDやブルーレイの持ち込みも歓迎だそう。ここは飲める角打ちオーディオルームなのです。
JAZZを聞かせていただきましたが、広い空間ならではの良い響きでした。
ごちそうさま
家族経営で、お孫さんが角打ちの一画で夕食を食べているような牧歌的なお店。東京浅草に残る下町人情を感じることができる貴重な角打ちです。女将さんが優しく迎えてくれますので、はじめての方も安心して訪ねてみてほしいです。
近くの角打ち
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | サカイヤ(酒井屋) |
住所 | 東京都台東区浅草6-3-5 |
営業時間 | 9:00~21:00 日定休 |
開業時期 | 約1世紀前 |