築地『かつ平』路地裏で半世紀、魚河岸のとんかつ店でお昼酒。

築地『かつ平』路地裏で半世紀、魚河岸のとんかつ店でお昼酒。

2020年12月30日

魚河岸といえば、お寿司や海鮮丼のイメージが強いですが、肉料理が結構充実しているものです。築地に魚河岸があったころ、場内の定食屋は長靴姿の市場関係者で満員で、皆、生姜焼き定食などを食べていたものです。

豊洲に中央卸売市場が移転したあとも、築地の場外市場やその周辺には長年市場関係者に親しまれてきた食事処が多く、その特性上、お昼から飲ませてくれるお店ばかりです。

かつ平は1963年創業、二代目が守る老舗暖簾のとんかつ店です。

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著名人も通った築地のとんかつ店

ランチタイムのピークには行列ができる人気店。14時過ぎまで暖簾がでており、お昼飲みならば13時頃がおすすめです。

初代の女将さんと二代目のご主人夫婦で切り盛りをされています。ご主人はとても話上手な方で、余裕があればとんかつのこだわりや築地の話をしてくれます。

とんかつにはビールではじまり日本酒で〆る

なにはともあれ、ビールで喉の準備を整えたい。トクトクとビアタンを満たしたら、乾杯。

昼食時はとんかつ、海老フライ、カツカレーのみ。夜はお刺身などが加わり、飲み屋要素が強くなります。

アルコールは、ビール(中びん600円)がアサヒスーパードライキリンクラシックラガーが選べます。日本酒は湯煎でつける大関のお燗酒(500円)を置いています。

カラカラと心地よい音と香ばしい香りに包まれて数分。ロースカツライス(1,200円)の出来上がり。

大皿からはみ出さんばかりの大きなとんかつと、隠れるようにスパゲティナポリタン、千切りキャベツ、パセリ、そして口直しのオレンジが添えられています。

脂の甘さを知る

エッジの立ったパリッとした衣に包まれて、しっとりとした純白の肉がみえてきます。まずは真ん中を調味料なしにそのまま食べるのがご主人のおすすめの食べ方。豚肉、脂の甘味は予想以上に繊細で、そして素直に美味しいです。

ビールをすっと口直しのように喉にあて、二口目からは塩、醤油、そして七味を振りかけるなどして、少しずつ濃いめの調味料に変えて食べ進めていきます。揚げ物を醤油で食べるというのはアジフライのような海鮮系では一般的ですが、豚でも合うことを実感します。

さらにソースは、甘口と辛口の二種類があり、味変の楽しみは続きます。

灘のくだり酒を味わいながら

お燗酒「大関」。

とんかつにあうお酒はなんだろう…ビールはもちろん好相性ですが、日本酒がいけると常々思うようになりました。

食通で知られる作家・池波正太郎氏がエッセイ「散歩のときに何か食べたくなって」でとんかつと日本酒の相性について書いていますが、なるほど確かに、かつの余韻に米の甘さがよく似合います。

池波正太郎氏といえば、銀座でお馴染みの小冊子「銀座百点」内で連載していた『銀座日記』の文中に「かつ平」も登場しています。

炊きたての新米の御飯を軽くいただいて、今日のお昼酒は大満足。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名かつ平 (かつへい)
住所東京都中央区築地6-12-10
営業時間営業時間
11:30~14:30(L.O.14:15)
17:00~20:00(L.O.19:45)
定休日
日曜・祝日・第2土曜
開業年1963年