横浜「寿し さがみや」 市場とともに140余年。駅から遠いけど行く価値あり!

横浜「寿し さがみや」 市場とともに140余年。駅から遠いけど行く価値あり!

2020年4月15日

日本各地、東京・豊洲や漁師町に限らず、鮮魚市場で新鮮な魚介類を肴にお酒を飲むのは格別の楽しさがあります。市場はその稼働時間から朝からやっているお店が多く、通し営業で明るい時間から飲めるのも魅力です。

今日ご紹介するお店は、横浜の魚河岸とともに140年、創業は明治10年という老舗「寿し さがみや」です。横浜市中央卸売市場本場 水産物部に併設された関連棟内にあります。

県名の由来となった神奈川区の湾岸に位置し、横浜駅から徒歩20分ほど。または、横浜駅を発着する横浜市営バス48系統で5分、中央市場前バス停下車。繁華街ではなく市場なので徒歩でのアクセスはちょっぴり不便ですが、それでもぜひ一度は訪ねてほしいお店です。

 

市場は関係者・買出人以外は一部の開放日を除き立入禁止。ですが飲食店が入る関連棟へは自由に行くことができます。

 

寿司のさがみやだけでなく、定食屋や和食店、ラーメン店などが並びます。横浜駅前や野毛、馬車道界隈の横浜の雰囲気とはまた違った、ハマの台所らしさ漂う食堂街となっています。

 

目指すさがみやはその一軒。一般客が使いやすい関連棟の内側通路に入口があるほか、本場側にも入り口があり、作業着姿の市場関係者がなじみの感じで利用されています。市場関係者が仕事の話をしながらふらっと集まり、仕事終わりの昼酒を楽しむ姿はみていて心地よいものです。

 

一階はL字のカウンター、二階は4名テーブルが2つ。寿司店の醍醐味はやはりカウンターで寿司種をみて注文すること。一階、店を継ぐ5代目の正面に通してもらえて、さぁ、始めましょうか。

 

まずはビールから。樽生(550円)はキリン一番搾り、瓶ビール大ビン(770円)はアサヒ、キリン、サッポロの銘柄を揃えているので特定メーカーを飲みたい人も安心。サントリー ザ・プレミアムモルツは小ビン(550円)で用意。

今日はなんとなくでサッポロ黒ラベルをチョイス。トトトと注いで、では乾杯。

日本酒は定番がキクマサの上撰本醸造(660円)、そのほか八海山(880円)、〆張鶴(990円)、桃の滴300ビン(1,320円)などを置いています。寿司とワインの提案もあり、ボトルワイン(3,300円)もいくつか選べるようになっています。

 

握ってもらうまえに、まずは軽くお刺身で。おまかせでお願いをしまして、一口サイズで5種類、上品な盛りで登場。一人飲みであれこれ食べたいというわがままを聞いてくれたような内容です。

 

左からからすみ、かつお、浅〆鰯の海苔巻き、青柳にアカムツ。個性の異なるそれぞれですが、言うまでもなく素晴らしい酒の肴。

 

ピンととがった青柳の鮮度、丁寧な仕事を感じる鰯海苔巻もなかなか。お腹に溜めずにお酒を誘うおつまみです。

 

冬季限定、入荷があればラッキーの香箱蟹(通常では1,650円程度)。メスのズワイガニで地域によってはセコ蟹とも呼ばれています。こぶりながらその味は強く、雄のズワイガニのワイルドな食べ方とは真逆に、ちびりちびりと食べてこそ美味しい酒の肴です。

 

盛られた脚の下から、香箱の最大の魅力、ソトコとウチコが登場。半分はそのままに、もう片方は酢飯とあえて香箱寿司で仕上げています。

珍味はこのほかにも、毛ガニ、とらふぐ白子、仙鳳趾の殻付き牡蠣など季節によって様々揃えているそうです。

 

常時おいていない売り切りのお酒も多く、その中から頂いたのは、神奈川県海老名の酒蔵がつくる「いづみ橋」。海老名近辺で育てた酒米を使用し丹沢水系の伏流水で仕込んだ土地のお酒です。

 

ネギマ焼き(通常2本660円)はさがみや一品料理の定番。市場関係者もねぎまを片手にきゅっと日本酒を飲んでいて、あぁ、いいやねって、こっちも勝手に心の中で便乗し、仕事終わりの気分に浸っています。

脂がのったマグロのエキスがネギに染みています。味付けは塩コショウ。

 

軽く数貫握りでお願いし、まずはイカの握り。醤油ではなく塩であっさりと。

 

切り込みもキレイなブリ。ほどよくねかされ脂のコクが絶妙な塩梅に。ハケで醤油を軽く塗っていただきます。

 

相模湾の鯵。鮮度抜群、ぷりっぷりの食感と口の中でばらける酢飯のバランスがちょうどいいです。

 

酒、塩などで味を煮含めた、むしあわび。海苔をひとまき、ツメは塗らずにアワビの深い旨味を楽しみます。

 

最後は、とろとろの穴子を。白焼き、煮穴子いろいろありますが、この握りは炙りはほどほどに、しっとりとし口の中で溶けていくような食感。いつまでも心地よい余韻が続き〆は穴子で大正解。

扉の向こうから差し込む午後の日差し。飲んで食べて満足したのにまだ明るいと得した気分になります。市場飲みはやめられません。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材時期/2020年2月以前)

 

寿し さがみや
045-453-0166
神奈川県横浜市神奈川区山ノ内町1-1 横浜中央卸売市場関連棟内
9:30~22:00(土は7:00~・日祝は11:30~21:00・基本日定休ただし3連休の場合は連休最終の月曜休)
予算5,000円