日本を代表する牡蠣の名産地のひとつ、北海道厚岸町。地名の厚岸も、アイヌ語の「アツケシ」(牡蠣のあるところ)から来ているという説があるほど、古くから牡蠣の町として知られています。また、水温が低いことから牡蠣の養殖が年間を通じて行われており、一年中、いつでも美味しい牡蠣が楽しめます。
今回ご紹介するお店は、厚岸漁協の直売所「エーウロコ」。その場で活牡蠣を選んで、ビールや日本酒を片手にきゅっと味わえる素敵なスポットです。
厚岸は道東の太平洋側。釧路と根室の中間にあり、町のすぐ北には広大な別寒辺牛湿原が広がっています。アクセスはJR根室本線が便利で、釧路から快速列車で約50分の汽車旅です。
厚岸湾と深く入り組んだ入江のような厚岸湖の間にかかる橋は、町のシンボル「厚岸大橋」。この橋のたもと、天然の養殖場のような地形の真ん中に厚岸漁港があります。今回目指す直売所「エーウロコ」もこの中です。
エーウロコへは、JR厚岸駅から厚岸の商店街「真栄町1条通り」を歩くこと15分ほど。町をぶらぶら歩くもよし、タイミングよく路線バスに乗れたなら、「厚岸大橋前」バス停がお店の目の前です。
牡蠣を筆頭に、厚岸で水揚げされる様々な魚介類が並ぶ場内。漁協直営なだけあって、その価格はどれも相場よりかなり安いです。沿岸・養殖技漁業でとれる牡蠣やホッキ貝、あさり、にしんなどに加え、厚岸ブランドの「大黒さんま」、北洋さけます、さばなど、沖合漁業による豊富な魚種が並びます。
牡蠣の売り場は目をみはるものがあります。なんと一個90円から。地元ブランドの牡蠣、「マルえもん」「カキえもん」「ナガえもん」の3種類がサイズごとに並んでいます。
カキえもんは厚岸で生まれ育ったもの。ナガえもんとマルえもんは、三陸生まれ、厚岸で水揚げされた牡蠣のこと。それぞれ大きさ、味わいに違いがあると売り場のお姉さん。
牡蠣に圧倒されますが、つぶ、ホタテ、ホッキ、ほや、そして毛ガニなどもどれも鮮度抜群、破格の値段で売られています。
エーウロコではお酒も販売されていますので、お酒の持ち込み不要。厚岸の特別ラベルの日本酒は300mlの飲みきりサイズも用意されています。ビールはサッポロクラシックのみの取り扱いです。
どう食べていいか不安。でも心配ご無用。漁師の奥さんたちが売り場に立たれていて、元気いっぱい、ちゃきちゃきなお姉さんに、「これとこれを食べたい」と相談すれば、その場で用意してくれます。魚に囲まれたイートインスペース(利用料無料)で食べる魚介類は格別の美味しさです。
時刻は朝10時。漁港の直売所ですから朝から営業していますので、これは朝酒をしないともったいない!厚岸牡蠣3兄弟にサッポロクラシックを用意して、いざ乾杯!
100円台から貝類の刺身が食べられるのもびっくり。ほっき貝は刺身にしてもらいました。活貝のまま手際よく包丁を入れてすぐに提供されるので、これ以上ない鮮度のよさ。コリコリとした食感と、爽やかな磯の風味と甘さが広がります。
牡蠣専用の醤油や刺身醤油が用意されていて、牡蠣はセルフサービスで電子レンジを使い蒸し牡蠣にして食べられます。軍手や布巾、殻剥き治具なども完備。生で食べる場合は、お姉さんに剥き方を教わりましょう。
しばし加熱して、蒸し牡蠣の出来上がり。漂う潮の香りは、それだけで思わずビールをごくりといってしまいます。
たぷたぷに汁がつまった牡蠣。ずっしりと重たい、身の厚みがあるカキえもんは、大きさだけでなくその味も濃厚です。
サッポロクラシックや、道東産の日本酒をきっゅと含みつつ、牡蠣を思う存分楽しむひととき。この瞬間だけでも、厚岸に来たかいを十二分に感じるものです。
牡蠣好きならば一度は訪ねたい厚岸。今回の取材ですっかりとりこになりました。朝食はエーウロコ、昼食は地元の寿司店、夜は居酒屋で、ひたすら牡蠣三昧です。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
厚岸漁業協同組合直売店 エーウロコ
0153-52-0117
北海道厚岸郡厚岸町港町5丁目
9:00~16:00(基本無休)
予算1,000円