浜松町と田町の間、首都高速都心環状線の高架が通る直下に川が流れていることをご存知でしょうか。JR山手線の車窓では、屋形船が多数停泊している様子が見えます。この川は港区では「古川」と呼ばれていますが、実は上流は渋谷川。地味ながらも都心で生活していると何かと身近にある河川です。
この古川の東京湾付近には、かつて「雑魚場」と呼ばれていた魚河岸がありました。現在はオフィス街、そして私達が愛してやまない飲み屋街となっています。そんな浜松町に、雑魚場の名に由来する店名を冠した楽しい飲み屋が誕生しました。
駅から徒歩3分、立ち飲みと着席、ふたつの使い方ができる「座魚場 まるこ」です。渋谷の人気酒場「まるこ」や吉祥寺や高円寺で評判の「じぃま」を展開する集まりの6店舗目になります。
一階は縄のれんをくぐると広がる立ち飲みスペース。さくっと飲んで摘めるゼロ軒目的な利用や、仕事帰りの日常的なちょい飲み向き。一人でちびりと摘める小鉢が豊富です。なんと、支払い方法は完全キャッシュレス。
一階と二階の提供スタイルは異なります。二階では高知などから届く一尾まるのままの本マグロを使った料理を中心にした着席型の酒場です。二階は別の記事で後日ご紹介いたします。今回は一階です。
立派な一枚板のカウンターは直線4m。奥行きや、背面と壁の間の空間にもゆとりがあることから、立ち飲みながら少しリラックスできる雰囲気。落ち着いた照明も相まって、「まるこ」の他店と比べ、より大人っぽい印象です。
店の奥にはこぶりなコの字カウンターがあり、3人くらいで、カウンターのコーナー立って瓶ビールを注ぎ合うのなんて良さそうでしょ。実はコの字の内側もお客さんが入れるようになっていて、向かい合って飲めばちょっとした飲み屋の店員さん気分になれます。
取材時はサッポロビールさんに同席頂いたので、「あら、サッポロさん、いらっしゃい」と、飲み屋とビールの営業さんのごっこ遊びを楽しみました。(※冗談です)
さて、店内をぐるっと見終えたところで、さぁ、始めましょう。ビールはナショナル4社の代表銘柄、アサヒスーパードライ/キリン一番搾り/サッポロヱビス/サントリー・ザ・プレミアムモルツ。そしてゲストビール1タップの計5つがイタリア製のビールタップに接続されています。取材時のゲストビールはサッポロビール「SORACHI1984」が繋がっていました。
オリジナルま「○小」マークが入った435ワイドジョッキに注がれたヱビスビール。洗浄、ガス圧、冷え、ともにベストな状態の一杯です。では乾杯!
ビールは樽詰め工場出荷から提供時まで常時冷蔵輸送・保管をするこだわり。
ビールはジョッキ500円、瓶ビールは大瓶でサッポロラガー650円、焼酎は宝の甲類、割材はなんとお店のオリジナル調合品。メニューはとてもシンプルです。
食堂飲みでお馴染みの、ショーケースから選べるおつまみはほとんどが300円。酒粕牛モツ煮込み、ツナポテトサラダお出汁巻玉子串、今日の白和えなど、体に優しくお酒のお供にもぴったりな顔ぶれです。
加えて、本まぐろ盛り(1,200円)やなめろう、鯛刺しなど日替わりの海鮮を上の階から用意してもらうことができます。
煮こごり、煮はまぐりなど。一人で食べてちょうどいい量。無添加、無化調にこだわっているとのこと。調味料の一部も店内仕込みだそう。自家製煮こごりの優しい旨味にほろっとしながら冷えたビールを飲む。小さな幸せを感じる瞬間です。
窓辺に並ぶタカラ焼酎と目があったから、酎ハイも飲んでおかないと。自家製の割材と先にさらりと書きましたが、気になりませんか。
甲類焼酎(ナカ・300円)をいれたグラスと、別に追加する割りもん(割材)。割材メーカーの瓶に見えて、ロゴにはMARUKOの文字。しかも、この無色透明・プレーンの炭酸水に見える割りもんは、実はコーラ。
お店で調合して、わざわざ打栓機で王冠をカシメています。
味は、たしかにコーラです。コーラ大手2社やビール系飲料メーカーの味に慣れているので不思議な印象ですが、これが結構クセになります。
ウェイティングバーのように飲むもよし、1時間ハシゴなしの普段遣いに使うもよし。大人数のグループ相手ではなく、1~3・4数人向きのカウンターのお店だからこそある居心地の良さを楽しませていただきました。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/サッポロビール株式会社)
まるこ
03-6432-4474
東京都港区浜松町2-12-11
16:00~23:00(日定休)
予算2,500円