石神井公園「とおるちゃん」 あったかい気持ちになれるおしどり夫婦のほっこり酒場。

石神井公園「とおるちゃん」 あったかい気持ちになれるおしどり夫婦のほっこり酒場。

石神井公園駅すぐのビル地階で人気の酒場「とおるちゃん」。石神井公園で飲み歩く酒場好きだけでなく、遠方から遊びに来る常連さんや、近隣の飲食店オーナーからも慕われるお店です。飲食畑未経験のご夫婦が安定した前職を離れ、大冒険で始めました。「美味しければ何でも扱う」をポリシーに、飲食の経験者ならば挑戦しないことも次々取り入れ、独特なメニューやサービスで溢れています。

大衆割烹、もつ焼き、総合居酒屋、飲み屋さんをカテゴライズする言葉は様々ですが、「とおるちゃん」はそのどれでもない「とおるちゃん」というオンリーワンの存在だと思います。

それでは、そんな不思議な魅力溢れるとおるちゃんの世界をご紹介しましょう。

 

ビル地階、ガラス張りテナントにポスターがびっしり。串揚げ屋さんで始まったのですが、料理の種類はイベリコ豚やA5山形牛まであります。1人飲みのセットは798円(キリン一番搾り生ビール+お通し2品+串揚げ5本)で、センベロも楽しめます。

 

笑顔が素敵なマスターの”とおるちゃん”と奥様が、幸せオーラ全開で迎えてくれます。

 

厨房に向いたカウンター席と2名テーブルが並ぶ店内。グループ客の姿もありますが、お一人やご夫婦、カップル、飲み友達2名組の利用が中心。私も近隣で仕事の帰り、ふらりとここに立ち寄って飲むのが好きです。

 

気になるメニューの紹介はあとにして、まずはビールで乾杯しましょ。ディスペンサー(ビールサーバー)はまるで新品のように光り輝いています。ビールは回路やグラスの洗浄第一。極上の一杯をいただきます。

 

看板料理の串揚げは、関西の「串カツ」ではありません。巻串の個性的な顔ぶれは、食いしん坊のご夫婦やスタッフのアイデア。串揚げを始めた理由は、「すごいフライヤーがあったから!」と冗談交じりでマスター。自慢の「自動ろ過器は40万したー!!」そう。

せ、設備ありき?(笑)なんて話は、真相はお店で直接聞いてみてください。

 

メニューブックに差し込みにと、情報が多く、はじめはどう頼んでいいか迷ってしまいます。日替わりのオススメは、刺身盛り合わせから、イベリコチャーシュー、よだれ鶏に山形牛A5ビフテキとなんでもござれ。ナポリタン、オムそばなど、腹ぺこさん向けは400円と嬉しい値段です。

 

ここからが洪水のように情報がやってきます、テス版にポテサラ、まぐろ切り落とし、自家製ポテチも気になります。

 

続いてドリンクメニューを。生ビールは460円。洗浄には電解水を使っているのだそう。説明には「小さいお店の生って、信用されていないけど、サーバー洗浄用の電解水の機械を買って、毎日洗浄しています!」とあります。

チューハイ350円、男うめサワーやシークワーサー酎ハイ、緑茶ハイなどは390円。とおるちゃんハイボールなる飲み物も。ホッピーは黒・白揃いセットで390円。

 

「おつまみの値段はドリンクとお通しを取ってもらうことを前提に安くしています。」とのこと。飲む人も営む人もハッピーになれるよう、しっかりお酒を飲みましょう。

 

金宮のボトルをみんなで囲って好きなように割って飲む「金宮ボトル飲み」や…

 

10分100円(2時間までは一律1,500円)で飲み放題セルフのコースも用意されています。飲み過ぎにご用心。

 

これに加えて、ドリンクメニューはまだ続きます。ボウモアのイチローズモルト、日本酒は鍋島や陸奥八仙など話題の銘柄も並びます。

 

女将さんが満面の笑みで「いらっしゃーい」と持ってきてくれるお通しは、好きなものを選ぶ方式。

 

山形の郷土料理・だしかけ豆腐をちびりとつまみつつ、ビールを気持ちよく飲み干します。

 

サッポロ派の皆さんはやっぱりこちら?赤星ことサッポロラガーも揃えています。

 

練馬区内の商店やスーパーから食材を買って、それを手作りで提供するのがこだわり。業務用冷食を使わず、ひとつずつ丁寧に作りたい、それが美味しいんだからとマスター。そんな想いがこもった料理の数々。イベリコチャーシュー(小は400円)は、肉厚でトロトロ、旨味たっぷり。

 

雰囲気のある酒場と違って、天井の高い白色蛍光灯に照らされた空間は、どこか不思議…塾の教室のようにすら思えてきますが、でも出てくる料理はとっても丁寧で本格的。このちぐはぐさも魅力にすら思えてきます。

 

自慢のフライヤーで揚がった串揚げ登場。豚バラ紅生姜(120円)。衣が薄く、カリっと揚げられサクサク。油切れもよく、非常に軽い印象です。ソースはブルドックのウスターと家庭的。

 

地元の皆さんに人気のペラペラチーズハムカツ(200円)は、ほとんどがチーズで、品川巻きの海苔のようにハムが外周を小さく包んでいます。びよーんと伸びるチーズは、ビールや酎ハイを誘うのに十分です。

 

金宮のボトルをたのんだら、あとは店内中央にあるケースから好きな割り材をとって、自由に割って楽しみます。これが駄菓子屋さんみたいで楽しいです。バイスやラムネ、そしてお隣中野区の地場ドリンクメーカー「東京飲料」のトーインの瓶も揃っています。

 

飲んで食べて楽しく過ごした後は、おたのしみのくじびき。いろんなチケットがあって、結構お得になるものばかり。

 

スタッフの皆さんは人生の先輩揃い。皆さん丁寧な仕事をされていて、飲んでいてとても安心します。ホールを担当するマスター「とおるちゃん」と奥様のふんわりとした人柄もあって、他の店とは違った癒やしを感じるひととき。最初は、「不思議なお店だなぁ」って思っていましたが、お開きのころにはすっかりとおるちゃんファンになっている私。

ちぐはぐさは感じる酒場らしくない酒場ではありますが、お店は来年で4年目。老若人女に慕われ、すっかり石神井公園梯子酒になくてはならない人気店です。

笑う門には福来る。ここはそういう酒場。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

居酒屋とおるちゃん
03-6913-1950
東京都練馬区石神井町3-25-21 ライオンズプラザ B1F
17:00~22:30(日月定休)
予算2,000円