“一品目の注文までに、あなたは何分かかる!?”というタイトル、居酒屋さん紹介にはまず使わない文字ですよね。
今回ご紹介するお店は、なんと料理が3200品もあるのです。一般的なコンビニよりも品数が多いです。それも、ファミレスやチェーン系のレストランではなく、個人経営の居酒屋さんで!
ギネスブックにも載りそうなほど料理が多いお店は、意外にも東京都心に近い江東区東陽町にあります。東陽町駅から1分ほどの距離にあり、早い時間からスーツ姿の人たちで満卓近い賑わいとなる「七厘家」です。
噂は耳にしていたのですが、飲みに行くのは今回が初めて。キリンビールさんと一緒に、品数3200を体感しに行くことになりました。
店主の平田尚也さん。厨房をお手伝いの方と2名でまわし、膨大な種類の料理をこなしていきます。サービス精神旺盛で、とってもパワフルな方。実は東陽町で40年続く飲食店の二代目です。初代は大衆割烹で、平田尚也さんは別に洋食のお店を開いていました。現在は平田さんは奥様と二人三脚、和洋折衷の大衆居酒屋「七厘家」を切り盛りされています。今年で15年目になるそうです。
3200種類あっても、最初の注文はやはりナショナルビールから。おなじみの一番搾り生ビールと、瓶のキリンクラシックラガー(CL)に加え、ハートランドも選択肢に入っています。
まるで分厚い辞書のようなメニュー。あとでじっくり見るとして、まずは一番搾りで乾杯!
洗浄され手入れが行き届いたディスペンサーから注がれる一杯は最高です。きめ細やかな泡、そしてビールと泡の間には靄(モヤ)状に細かな泡がゆらゆらしています。
種類メーカーのカタログのようなラインナップ
酎ハイ類は380円から。酎ハイだけで20種類以上あり、挙げているときりがありません。常連さんはピュアブルーや白水のボトル(1,980円)をいれて、ボトルキープによるお手軽価格で頻繁に通われているようです。
本格焼酎も豊富です。おなじみの白水でも、珍しい蔵酵母というこだわりの銘柄があります。つい先日、製造する八代工場を見学していたので馴染みあるお酒です。
ハーパーに富士山麓、ジョニーウォーカーにボウモアと、居酒屋のウイスキーメニューとは思えないほど充実。
さらに日本酒が吉乃川の樽から大吟醸まで一通り、そして会津中将や東洋美人と日本全国用意されています。
もう何屋かわからないドリンクメニュー。さらにワインがずらりとあって、そのバラエティは大手酒類メーカーの商品カタログ並。なんでも揃うと、お客さんはまんべんなく様々オーダーされるようで、しっかり売れているというのもすごいこと。
こんな分厚いメニューみたことない
さて、ここから分厚いフードメニューをみていきましょう。もう笑うしかありません。いつもメニューを一通りご紹介しようと記録していますが、今回は気になったところをチョイス。全部撮ったら紙面がメニューでいっぱいになっちゃいます。あ、ブログだから紙面というより「ギガが減っちゃう」と言いましょうか。
まずは差し込みメニューから。オススメの日替わりポジション。肉野菜炒めから始まる中華炒め。驚くことに値段は350円均一と、横丁中華のそれよりリーズナブルに思えるもの多数。
石井のチヂミ・超オススメなど、気になって頼みたくなる不思議な表記たち。3184なる番号は、メニューの管理番号ではなく、これが3148品目ということ。一体どうなっているのでしょう。
フランス料理はなんちゃってで600円。ひとつずつ紹介するとキリがありませんので、ご興味ございましたらメニューを読んでみてください。結構本格的な内容でびっくりしますよ。
カキフライやさんまといった季節もの350円。冷奴、揚げ出し豆腐、スペイン風オムレツ、卵焼きと、どこか連想ゲームのように”非”ソートな内容。目が回ってきました。
かつお料理、長ネギ料理、馬肉料理、羊料理…
カレーチャンプルーにスパ焼きそば、変化球がきました。そして8インチ800円と嬉しい値段でピザがいろいろ。
まるで業務用機器の取扱説明書のよう。よく見ると、どれも美味しそうな文字ばかり。
ローストビーフファミリー。このメニューからオーダーされる注文を覚えられるフロア担当の店員さんのスペックもすさまじい。
さっきピザがあったのに、しばらくページをめくると、フェアが始まっちゃった。日本の居酒屋は和洋折衷素晴らしいと海外の人は言いますが、これほどのお店があるとは想像できないでしょう。
大好物の牛タン。780円の塩焼きから始まり、味の違いがいっぱい。
お豆腐もバリエーションつくれますもんね。
ここで再びフェアがきました!メニューで世界一周している気分。バイエルン風など、ここだけでドイツ国内も旅できちゃいます。アイスバインが堂々ドイツの筆頭にあります。
ここでスペインが来ることは想像していました。ファヴァーダ風、メネストラ風、アルボンディガス風。12時間の飛行機に乗らずして、ヨーロッパを食べつくす気分です。
ここで怒涛のマグロ料理。一杯目の生ビールは当然飲み干していますし、メニューをみているだけでお酒が進んでしまいます。
カレー焼きうどんはラオウにトキにユリアに。
280円とちょい飲み向け小皿・ココットフェアが始まりました。コンビニより品数が多いと冒頭に書きましたが、こうして見ていると、大型商業施設のグルメフロアにいる気分です。
先にピザのコーナーに8インチと書いてあったので想像していました。そうですよね、10インチも来ちゃいますよね。
そして8インチもさっきのメニューとはまた違うものが表になって登場。660円で「ご注文しやすい」とありますが、たどり着くまでがたいへん。
さぁ、気合をいれてアジア圏に突入です。本格中華のお店もびっくりなA4両面にびっしり並ぶ中華料理。値段はこちらもかなりお手頃です。
居酒屋の定番メニューがびっしり。二杯目の生ビールが無くなりそう。というタイミングで、一番搾り生ビールは税込み451円の文字。
注文する前にお腹がいっぱいになったような、不思議な読後感を得られました(笑)。
圧倒され、なぜか終始笑いながらメニューを読んでいる私でした。メニューが山ほどあっても、品書きを読むと一品一品よく考えられているように思えましたし、平田さんのパワーが分厚いメニューブックから激しく感じられます。
「に、肉豆腐と、えっと、もつ煮込みで。」興奮収まらない感じで。
まずは居酒屋の定番を。居酒屋料理は300円から500円が中心なので、値段の心配せずに頼めるのが素直に嬉しいポイント。基本の煮込みで、まずは頭で回転している地球儀を日本にセット。
一番搾りから、続いてクラフトビールへ。タップマルシェからSVBの「496」を。クラフトビールがでてきても、もう驚かないです。
お刺身盛り合わせ。トリ貝や車海老など9品のっていますが、これでなんと800円なのです。
メニューから薄々気づいていましたが、「七厘家」は品数だけでなく、ボリュームと値段も設定もすごい!
ウイスキーソーダ割りをのみながら、おしゃれに洋食といきましょうか。さっきまで煮込みと刺身で居酒屋に居たのに、席を立たずしてバルへ梯子です。
スペイン風オムレツ(350円)。かなり山盛りです。そして味も素敵。ファミレス飲みが好きな人に体験して欲しい、個人酒場の全力をだした数々のメニューとコスパの良さを。
ボトルワインは2,000円でしっかり楽しめます。種類も多いので、料理と合わせる楽しさもあります。
料理がお好きと話すご主人。ワンフロアとはいえ、満卓の店内から次々と入る洋食の注文をほぼ一人でこなしている様子はまさに戦場。それでもニコニコと笑顔でされている様子を見ると、本当に楽しそう。聞くと、なんと音楽大学を卒業されているそう!
喜ばせたいという思いが詰まっているような繊細な盛り付けです。
三島オコゼのポワレ。赤パプリカをいれたブルーテソースと一緒にいただきます。”なんちゃって”と言いながら、しっかり本格的。それでいて値段は600円と大衆酒場です。
ここはホテルのラウンジレストランですか。なんてフッと思ってしまうSNS映えなメニューたち。
それからの、一気に中華へ。盛り付けよく、そして、専門店のように本格的な味付けの数々。えっと、トマト炒めだと、杏露酒でちびりと飲み進めたい?
なんて言っていると、今度はチヂミが登場。パスポート不要のグルメ世界ツアーはまだまだ終わりません。ここは一人飲みだとあっという間にお腹が満たされてしまうので、世界旅行は数名でどうぞ。それでも、地元の方が夕食代わりに立ち寄ることもあるのだそう。近所にこんな総合レストランがあったら、確かに便利です。
瓶ビールはとれたてホップ一番搾りとキリンハートランド。帰国の気分を盛り上げるナショナルビールにホッとします。
お腹いっぱいになりました、お酒も料理に合わせてマリアージュをたっぷり楽しんだひととき。フロアスタッフの方がつくられた切り絵の風景画に見送られて、楽しい時間もお開きです。
千円ほどで飲んでいく人も多いそうで、数人で来れば一人2,000円(お通し300円)で十分楽しめる七厘家。ご興味ありましたらぜひ!メニューが多いだけじゃない、それ以上に魅力いっぱいのお店でした。
ごちそうさま。
※人気店なので事前の予約をおすすめします。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ タイアップ/キリンビール株式会社)
七厘家
03-5634-0707
東京都江東区東陽4-6-14
17:00~0:00(日祝定休)
予算2,000円