豊田「星の家」 この街で35年、ご主人の日本酒と板前さんの丁寧な肴を楽しむ

豊田「星の家」 この街で35年、ご主人の日本酒と板前さんの丁寧な肴を楽しむ

2018年8月17日

東京都日野市豊田駅前、この地で35年続く人気の飲み屋「星の家」をご紹介します。日本酒に詳しく自ら試飲会などに出向いて仕入れをするご主人と、刺身や焼き物、天ぷらを調理するベテランの板前さんがもてなしてくれるお店です。

仕入れもこだわった海鮮類が充実していますが、それと平行してもつ焼き・焼鳥とリーズナブルな酎ハイも取り揃えていて、星の家にいけば何かしら食べたいものが見つかるはずです。

豊田駅はJR中央線の車両センターがあることから豊田止まりの電車が多く設定され、都民には馴染みある地名です。立川、八王子と二大都市に挟まれて飲み屋街のイメージはあまりないように思いますが、駅前を歩くといぶし銀の酒場が何軒も見つかります。

豊田駅は1901年(明治34年)の開業と、一世紀を超える歴史があります。そんな古い街なら飲み屋が多いのは当たり前と言えそうです。歴史ある街に飲み屋あり。

駅周辺には日野自動車本社工場、コニカミノルタ東京サイト、富士電機東京工場と大手企業の拠点が複数あることから、会社帰りお父さんたちも多く、それを受け入れる準備もばっちり整っているというわけです。

北口を降りて右に向くと斜面に寄り添うように古い飲み屋が並んでいて、高低差とあわせて印象的な光景です。星の家は、そんな北口飲み屋街の一軒です。

まずは、何はともあれビールで乾杯!

35年の営業の間になんと3回も近隣を移転をして、現在の場所に開いてからはまだそう長くないそうですが、木をふんだんに使った内装と、カウンターメインの配置は十分に老舗のオーラがあります。お店の方もベテラン揃いで、単店ならではのあったかい接客もそう感じさせてくれます。

カウンター席の他、テーブルは2人から大人数まで幅広く対応できるようになっています。

お通しはキャベツ。自家製の辛味噌はあとひく美味しさで、このあともつ焼きなどに着けてもよさそうです。

ビールは樽生でサントリープレミアムモルツ、瓶はサッポロラガーを取り扱っています。サントリー系の酒類が主体なので、トリス、角、ジムビームとハイボールも豊富。

開店の夕方から19時まではタイムサービスとなっていて、酎ハイ類がなんと180円と半額相当の安さで提供してくれます。これを狙ってくれば千円ちょっとでしっかり酔えるのですが、こちらは料理が美味しいので一寸一杯では済まないもので…。

越乃寒梅、八海山、久保田、田酒と地酒ブームの牽引役が並ぶほか、最近のグルメ本を賑わす今人気の銘柄も揃っています。

鑑評会出品酒も用意している気合の入れよう。鑑評会用の渾身の一滴なのでなかなか高価です。

続いて料理をみていきましょう。豊後アジが推しの一品。

日替わりメニューには刺身が10種類ほど揃っています。活ツブやカツオのタタキなど、旬のものが嬉しいです。炉端焼きも揃っていて、しかも普段飲みに嬉しい値段です。

焼鳥、やきとんは一本100円から。一本単位で頼めるのでお一人様でも安心ですね。

サラダなど、料理はいずれも300円台からとリーズナブルで、今日は予算を抑えて飲み会ななんていうときにも安心です。

最近では珍しくなった刺しメニュー、ハムカツに炒めもの、餃子にチャーハンと、その品揃えはチェーン店に負けないほどです。

豊富なメニューをいろいろ見てきましたが、やはり気になるの豊後の活〆アジです。ぴんと張った皮目、肉厚で食べごたえある身は、一品目の酒の肴として申し分ない内容です。盛り付けも丁寧です。

続いて、せっかくなのでもつ焼きも注文。自家製の俵型つくねと、ふわふわで鮮度自慢のもつ串。タレは甘めでねっとり。タレ・シオと選べるものと、セセリのようにシオのみと味付けはある程度決められています。あわせるお酒はトリスハイボールで。

ジューシーで肉汁したたるつくね。軟骨入りで食感も楽しいです。

とり7~8羽の大動脈を集めて1本を仕上げるカン。希少部位だけに数に限りがあり、この一本を最後にこの日はヤマとなりました。

もちもちとした食感にねっとりとした鶏の旨味が広がり、大人味の焼鳥です。

これだけ日本酒が充実しているのですから、せっかくなのでなにか頂きましょう。

日替わりでサービス価格の日本酒があり、今日は作と紀土。

選んだのは和歌山県海南市の酒蔵、平和酒造がつくる紀土(580円)。和歌山のお酒でもとくに人気の銘柄です。

日本酒の友・とうふの味噌漬け「山うにとうふ」(350円)。まるでチーズのような味にしあがった山うにとうふをちびりと箸先で摘んで舐めたあと、お酒をきゅっと。あぁ、今日もいい時間を過ごしています。

豊田の飲み屋街も油断できません。美味しいお酒と肴、楽しい空間がありました。

うっかり豊田に来てしまった人も、通りがけの方も、一度は散策されてみてはいかがでしょう。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

星の家
042-583-5582
東京都日野市多摩平2-1-13
無休
予算2,500円