京都『山本まんぼ』焦げるソースの香りだけでビールが進む!創業70年のテッパン店

京都『山本まんぼ』焦げるソースの香りだけでビールが進む!創業70年のテッパン店

2018年5月19日

京都で飲むとき、皆さんの選択肢にお好み焼きはありますか。

ハモやぐじといった海の幸、モロコや鮎などの川の幸、湯豆腐に棒寿司と看板食材に事欠かない京都ですが、実は京都は大衆的な鉄板料理が根付いています。

高倉塩小路で創業70年になる「山本まんぼ」は、そんな京都の昭和味を変わらず今に残している貴重な鉄板食堂です。看板料理は「まんぼ焼き」。つまりは麺入りのお好み焼きなのですが、大阪のモダン焼きとも、広島焼きとも違う京都独自の焼き方があります。「ウー、マンボッ!」が由来とか。(諸説あります)

※記事は移転前のリポートです。

JR京都駅から徒歩数分の場所にあり、朝10時からやっています。もちろん、<Syupo>に掲載するのですからお酒があり、上手に使って京都昼酒のバラエティを増やしませんか。

もともとは駄菓子屋から始まったという「山本まんぼ」。店内はパイプ椅子に分厚い黒鉄板、熱くてもエアコンなしでサッシ全開で風を取り込みます。お客さんは地元の人がほとんどでしたが、最近は知名度もあって客層は様々。夜になれば完全に飲み屋のムードになります。

まんぼ焼き680円、お好み焼き550円、焼きそば・焼きうどんは580円。ホルモン焼き(450円)やホルモン煮こごり(450円)、スジ焼き(500円)など、牛ホルモン系が多いのが京都の鉄板食堂の特長です。

ビールは瓶(大びん680円)でアサヒスーパードライとキリンラガー、樽生(500円)はアサヒスーパードライ。ご当地企業の宝酒造がつくる焼酎ハイボールも取り扱いがあります。

まずは、ぐいっと飲みたくて生ビール。背丈低くずんぐりしたジョッキは珍しい?では乾杯!

合板のテーブルに埋め込まれた鉄板は、直火でガーガーと熱しています。そこへ料理が運ばれてくる流れ。生ビールのお供に、一品目はさいぼしです。乾燥した肉は焼くと肉汁がじわじわと表面に滲み出し、味の濃さもあって最高の”アテ”です。

珍しいホルモンの煮こごりも、まんぼ焼きの前にぜひお試しを。肴の煮こごりは数あれど、牛の味がじんわり舌を包むこちらもまたクセになります。

おまちどうさま。やってきました、まんぼ焼き。うどんかそばが選べますが、クリスピー状になったそばにソースが絡み焦げた感じが大好物なので、私はこちら。細く軽く縮れたそばがチリチリになっています。

ソースは甘と辛の二種類があり、仕上げに「甘・甘」にするか、「甘・辛」、「辛・辛」の3パターンで聞かれます。この辛ソースは、冗談じゃなく辛いので、はじめての人は「甘・辛」でいきたい。

同じく、玉子も半熟か生か焼くかを聞かれます。

生地は集め、まぜこみではなく、軽く麺の上にも生地が垂らされて固められています。たっぷりふられたカツオ粉と、油とソースから広がる香りに思わず頬が緩みます。鉄板から直にすくい上げ、ハフハフとしながら一口。想像を裏切らない味で、それがむしろ心地いいです。

酎ハイを片手にぐんぐんと食べて、大満足。

最後の平成の年に、昭和で時が止まったままの店がある奇跡。かわらず裏切らない味に、京都の新たな「通いたい店」になるはずです。寺社仏閣だけが京都の歴史ではありませんね。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名山本まんぼ
住所京都府京都市下京区小稲荷町61−54−102
営業時間
10:00~22:00(L.O.21:30)
日曜営業
定休日
水曜日、第3木曜日
開業時期1948年(2020年に移転)