南砂町「葛西橋」創業60年、地域密着の元気酒場は日曜日も笑い声

南砂町「葛西橋」創業60年、地域密着の元気酒場は日曜日も笑い声

入谷を起点に伸びる東京の主要幹線、清洲橋通り。馬喰町、浜町など旧日本橋区を抜けることもあって知名度の高い道ですが、その終点は意外にも江東区東砂5丁目でぷっつりと切れています。これは、現在の葛西橋通りより北、清洲橋通りの延長線にもともとの葛西橋があり、清洲橋通りの終端はそこにつながっていた名残です。

旧葛西橋通りは1963年に役目を終えましたが、その名残を酒場にみることができます。

今回ご紹介する酒場は、葛西橋の西詰で60年以上続く店、その名も「葛西橋」です。葛西橋は南へ離れてしまいましたが、いまもこの地で街の歴史を看板に残しています。

 

現在は二代目が店に立ちます。とにかく元気で仲良しご夫婦が切り盛りし、そんな明るい雰囲気を求めて地元のご隠居や近隣の工場の職人さんたちが作業着で集まります。

 

昔から昼は食堂、夜は酒場だったそうで、現在も昼食はボリューム満点の海鮮定食が人気です。ソースカツ丼が500円というのは、長年据え置きの値段だそうです。

 

付近に鉄道駅はなく、公共交通といえば清洲橋通りを走る都営バスくらい。交通の接点に飲み屋ができるのが一般的ですが、砂町など下町の住宅街には、それと例外のように、こうした酒場が暖簾を掲げています。取材日は日曜日というのに、もう溢れんばかりの賑わいなのも、街に愛されている証拠です。

 

冷蔵ケースには大将自慢の海産物がごろごろと並びます。定番メニューはなく、仕入れに合わせて変わる刺身は旬のものを安く美味しく提供したいという想いから。

 

おつまみは500円前後ですが、ボリュームがしっかりあるので頼んで見ればコストパフォーマンスは高いことがわかります。そうでなければ、こんなに賑わいませんて。

 

ビールはアサヒスーパードライ一筋。まずは大瓶を一本もらって、乾杯。ご夫婦とお手伝いさんの3人体制で店いっぱいの酔っぱらいの注文に応えていることからとにかく忙しそう。おつまみは簡単なアスパラガスで。

 

ホタテをつまみつつ、酒場らしいおつまみ、常連さんからも人気で注文率が高いマカロニサラダ。一人なら量を少し減らすなど柔軟に対応してくれます。

 

小さいながらカウンターがあり一人飲みも大丈夫。目の前に大将がいて、忙しくても会話の相手をしてくれるので一人飲みも楽しめます。背中を向けてフライパンを振りながらも、こちらに向けて会話中です。

 

待たせちゃってゴメンね!と気遣って頂き、サービスできゅうりのお漬物をいただきました。ほんと、お気になさらず。

 

酎ハイは超濃い。濃いねーって話せば、これが下町の普通よと。飲み慣れているはずなのに、久しぶりの白ハイでパンチをもらいました(笑)

ポッカサッポロの玉露緑茶と甲類焼酎のボトルをもらって飲む人も多く、私も合わせてお茶割りを。

 

お茶目な大将と控えめながらとっても優しい奥様が守る、街の歴史を感じる名酒場。お客さんもとっても温かいです。お近くでしたら一度覗いてみてはいかがでしょう。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

葛西橋
03-3646-1947
東京都江東区東砂4-16-12
11:30~14:00・17:00~21:00(月定休)
予算2,700円