北陸新幹線の開業で大きく交通体系や街並みに変化が起きた富山。富山駅も昔は古い汽車が走りそうな地平駅でしたが、在来線も新幹線も高架化され、プラットホームの下、改札周辺は真新しい駅ナカ空間が完成しました。
富山は、街の中心部まで市内電車と呼ばれる路面電車に乗る程度とわりと離れていて、駅周辺でちょいと飲もうとなると以前は難しい印象がありました。それが生まれ変わった駅ナカ「きときと市場」に大量に飲み屋が誘致され、昔からある老舗のおでん屋をはじめ、日本酒が豊富な大衆割烹や、なんと角打ちまで誕生しました。
富山駅といえば、全国にその名を知られる「富山ますのすし」も大々的に売られています。ですが、今回伺うお店はお弁当屋さんではなくてこちら。
定期的に銘柄がかわっていく日本酒が並ぶ立ち飲みスタンドを併設した「つりや」です。富山・氷見名物の鮮魚をすり身を揚げた”ととぼっち揚げ”や、鯖の燻製やホタルイカ沖漬けなど日本酒好きにはたまらない気の利いた肴を販売する売店です。メインは持ち帰りの販売ですが、飲んでいってもいいですよというスタイル。
駅中で新幹線ホームまで5分もかからない場所で、しかも朝8時30分から通しで夜まで開いていることもあり、富山に降り立ったとき、また富山を離れる際の一杯処として重宝します。
お酒はどれでも200円。満寿泉など富山の地酒が常に5種類。北陸は銘酒が多く、富山も美味しいお酒ばかり。
プラコップをセットして200円を投入しボタンを押すと適量がでてきます。ちょっぴり少ない?いや、これくらいなら5種類飲み比べてもほろ酔いで済みますから。
まだ午前中。さすがに飲んでいる人はいない…かと思いきや、地ビールで飲んでいる先輩を発見。午前中から一緒に飲んでいる人は、なんだか親近感。
3個を串にさしたととぼっち揚げは温かい状態で食べられます。似たような食べ物ですと薩摩揚げがありますが、鹿児島中央駅内のお土産売り場はずらーっとお店が並び、客寄せ競争の賑わいですが、富山はちょっぴりおとなしめ。飲む方としてはゆっくりできて嬉しいです。
白いタイルにお酒を置いて、ときどき200円で追加して、左手ではととぼっち揚げ。富山に来たぞ、飲みに行くぞ!夏でもおでんにしようかな、なんて考えながら、新幹線を降りた開放感に浸る時間。
軽く一杯でしたらワンコイン程度ですし、売店コーナーに並ぶ缶ビールをICOCA・Suicaで買ってぼっち揚げと合わるのも良さそうです。※日本酒の自動販売機は電子マネーは使えません。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
つりや
076-471-8108
富山県富山市明倫町1-220 きときと市場 とやマルシェ内
8:30~20:30(施設営業日に依る)
予算1,000円