野方「まきまき」 やきとりニューウェーブ!15年の修行を経て始動

野方「まきまき」 やきとりニューウェーブ!15年の修行を経て始動

2017年7月17日

大正時代まで麦や大根畑が広がり、そこにくねくねとあぜ道が通るだけののどかな光景が広がっていた野方。西武線の開業であぜ道をそのままに商店や住居が立ち並び、その後の戦火も免れたこともあり、駅周辺は細く曲がりくねった道がそのままになっています。

中野駅と野方駅を結ぶ関東バスのバス停も駅前まで入れず、商店街の真ん中につくられた小さな転車場で折り返すほどで、道のつくりに街の歴史が感じられます。

この入り組む畑道がいい商店街、そしていい飲み屋を育てます。昭和の匂いしかしない小さなアーケード街「野方ヤッホーロード」にも、7月に素敵な酒場がオープンし、地元のノンベエたちの注目を浴びています。

店主の齊藤清さんは、15年間もつ焼き屋で修行してきた確かな腕の持ち主。「まきまき」の店名の通り、野菜の豚バラまき串が売りのやきとり屋です。清潔感ある真新しい店内であっても、オペレーションはスムーズで涼し気な表情にときどき笑顔をはさむ様子は、さすがベテランの域を感じます。

焼台を囲む大きなコの字カウンターで11席と、テーブル席が2卓。季節によっては店先でもちょい飲みテーブルがでます。焼き場がみえるカウンターが特等席。

ビールはサッポロ、焼酎はキンミヤとサッポロ焼酎。生ビールは390円と嬉しい価格。生も瓶も黒ラベルです。みんな大好きホッピーWithキンミヤや男梅サワーなどが揃います。ひねった個性派ではないですが、堅実なのが一番。

クリーミーな泡にフロスティミストもあり、ガス圧・冷え具合もばっちりの極上の生。ジョッキのサイズも申し分なく、これで390円は大変お得です。では、乾杯!

レーシングもきれいにでますし、初めての店では瓶ビール派という方にもオススメできる一杯です。

東京のローカルルールとして、焼き鳥と漢字で書くと鶏。やきとりとひらがなならば豚モツ(鶏がある場合も)というのがありまして、豚バラ巻きの店はなんという括りにしましょうか。とりあえず、包括的な意味がある「やきとり」ということで。

名物の豚バラまき串は1本150円。手間がかかるのにリーズナブルですが、5本セットならば700円とより手軽な価格です。席料100円がかかるとしても、普段から気軽に立ち寄れる価格帯です。

もつ焼き(焼きとん)と焼きとりも一通りあり、1本100円です。サイドメニューは牛すじ煮込みが気になります。

丁寧に串打ちされ、きれいに短冊状になったまき串たち。野菜の下ごしらえも考えると開店前の仕事に敬服します。炭火でじっくりと燻して出来上がり。

動物性脂のねっとりとした旨味は、バターみたいな味といえば伝わりますか。豚の脂と野菜のみずみずしさが口の中でまざり、ハフハフと食べればいい気分。野菜で余韻もすっきりするので軽さもあり、一本、また一本と止まりません。

東松山やきとりの味噌に近いちょい辛でコクのある味噌。ちょっぴり多めにつけて頬張り、すかさず生ビール黒ラベル。野菜成分をとっているという免罪符の感じもあって、5本はぺろり。追加で頼みたい。

街の雰囲気もよいですし、齊藤さんはじめ皆さんの接客もフランクかつ丁寧さもあり、これはきっと人気店になります。

やきとりのニューウェーブを感じる新進気鋭の酒場「まきまき」。まだまだヤッホーロードの昭和レトロに馴染みきれていませんが、これから店に厚みが加わって飴色に染まっていくのが楽しみです。野方は客層もよいですし、ウワサが広まるのも時間の問題かな。近隣にはやきとり屋も多いですが、一度軽く覗いてみてはいかがでしょう。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

バラ巻 野方 まきまき
03-5356-5304
東京都中野区野方5-23-7 長山ビルⅡ 1階
16:00~24:00(不定休)
予算2,000円