新宿三丁目に「日本再生酒場」というなんとも個性のある名前の立ち飲みが誕生したことは記憶に新しいのではないでしょうか。
なんせ、新宿三丁目の末廣亭がある三角地帯の飲み屋街に突然、昭和30年代の”三丁目の夕日”的な店ができたのですから。
気づけば日本再生酒場も来年で創業15年の節目がやってきます。若きコンセプト系立ち飲み酒場と思っていたら、周りの店がだいぶ入れ替わり、いまでは街の風景の一つとして当たり前の存在になりました。
昭和をコンセプトにした、とあえて書きましたが、実はそのルーツは1950年(昭和25年)に中野で創業の4席しかない立ち飲み屋に遡れます。1974年(昭和49年)に調布へ移転し、以来調布の人々に愛されている「い志井」です。
初代が立ち上げた立ち飲みもつ焼きのい志井。その後、新宿3丁目に店を幾つか開き、この「日本再生酒場」も誕生しました。
新宿東口には立ち飲みは少なく、それでいて昭和な雰囲気が残る三丁目にはぴったりのお店。15時とオープンが早く、一寸一杯をひっかけるのにもちょうどよく、二軒目や帰宅前の「〆飲み」にだって使える便利さが魅力です。
い志井の独自の仕入れルートで入る豚は鮮度がよく、価格こそ下町酒場のそれと比較すれば高級になるものの、立地を考えれば納得の内容です。
ビールは麒麟。クラシックかラガーの大びんは600円と絶妙な価格帯。2017年4月に登場したキリンの”新ノンアル”の<キリン零ICHI>を使ったビールテイスト飲料も加わりました。
ビールテイスト飲料のいつもの飲み方のごとく、甲類焼酎にゼロイチを割り材として流し込みます。その名もハッピーセット。では乾杯!
ベースとなっている甲類はプレーンなものではなく、僅かながら香りとコクがある宝酒造の<レジェンド>などで培った美味しい甲類を使っています。
ホッピーよりもコクがあり、度数もしっかり。
もつ焼きと煮込みが看板料理。初めての方はこの2つを頼むとよいかと。お通しでキャベツ(100円)がついてきます。
もつ焼きは種類豊富で、Pトロやしきん(食道)など珍しい部位もあります。
5本盛り合わせで1,000円。仕入れによっては希少部位も含むおすすめがでてきますので、悩んだらこのセット。
丁寧に打たれた串で、肉のサイズや向きがしっかり短冊状になっているのは流石。炭火で燻し焼き上げ程よく脂がぬけて風味がついたもつ焼きです。
ピーマンにつくねをはめ込むと美味しいんです。”ぶりっ”としたピーマンの食感に肉感あるつくね。青味と肉のしっかり味を合わせるのはよいものです。
400円の茹でたんのファンは多い。なにせ、お箸がすっとはいる柔らかさ。
とろとろのタンは濃厚で、塩味のシンプルな味付けでもコクがありビールや焼酎が進みます。
鮮度のよさを楽しむのならばレバーもいい。塩葱たっぷりで醤油の味付け、ぷりっとした食感が残る絶妙な火の加減も魅力。
新宿でちょいと飲みたいときに、中野生まれのもつ焼きを軽く立ち飲んでみてはいかがでしょう。串打ち・焼き加減、鮮度を維持するためその日の品をその日に売り切る姿勢は、コンセプト居酒屋の枠ではなく、実力あるもつ焼き屋と言って間違いありません。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/キリンビール株式会社)
新宿三丁目 日本再生酒場
03-3354-4829
東京都新宿区新宿3-7-3 丸中ビル 1F
15:00~24:00(日定休)
予算2,600円