江戸川橋『大衆割烹すみれ』サッポロ一筋47年、古豪大将の昭和酒場

江戸川橋『大衆割烹すみれ』サッポロ一筋47年、古豪大将の昭和酒場

2021年8月4日

江戸川橋駅から5分ほど。雑居ビルに囲まれた場所でひっそり暖簾を掲げる「すみれ」。創業は昭和51年です。いわしのたたきが名物ですが、刺身、焼鳥などどれもハズレなし。

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レトロな酒場に浸る幸せ

突然ですが、サッポロビールはレトロな大衆割烹に似合うビールだと常日頃思っています。とくに赤星(サッポロラガー)。どっしり構えた店のテーブルに大瓶の赤星を置けば、その光景を前にしただけで一日の苦労が報われるように感じます。

今回ご紹介するすみれは、そんな赤星がとても似合うお店です。この道50年以上、京都で板前の修業後、20代で店を開いた大将が現役で包丁を握っています。女将さんとお子さんも店を手伝う家族経営の酒場です。

店は入り口と比べて奥に広いです。左手には大将が立つ板場とカウンター席、右手には増床したと思われる畳敷きの入れ込み座敷が広がっています。

昔はどこの飲み屋街にもあったこうした雰囲気の酒場ですが、近年は激減しており貴重な存在です。こういう小上がりで、気の合う友人たちと瓶ビールを囲んでわいわいと飲んだ思い出というのは消えないものです。

黒ラベル登場以前からサッポロ一筋

黒ラベル登場以前は赤星がサッポロの主力商品。サッポロ黒ラベル(当初はサッポロびん生)の全国発売が1977年のこと。すみれの大将が店を開いた一年後に登場しました。いまは樽生でサッポロ生ビール黒ラベルも提供されていますが、すみれは45年間、ずっとそこに赤星の大瓶が立ち続けています。

たかがビールでも、それだけ長い年月そこにあると、もはや風景としてなくてはならない存在になると筆者は思っています。

それでは乾杯!

お通しはほうれん草胡麻和え。日替わりでちょっとした美味しいものがでてきます。

品書き

飲み物メニュー

樽生ビールは500円から、瓶ビールは大瓶で600円。店の値段の指標になることが多い酎ハイですが、こちらは350円と良心的。日本酒及び焼酎は宝酒造系が揃います。

料理のメニュー

料理は手元のメニューのほか、壁面にも多数掲げられています。一分料理は重複していないので、張り紙のメニューも要チェック。

鰯のたたき(700円)が人気で、これはなめろう風に細かくした鰯の身を巻きずし状にのりで巻いたもの。ほかにも大衆割烹らしく手頃な価格の青魚系の品数が多く用意されています。焼鳥は3本単位で360円。砂肝やねぎ焼きなど内容は自由に選べます。

こういうのが食べたくて酒場にいく

しめ鯖(500円)

比較的よくしめてあります。それでいて水分が抜けてぱさつくわけでも身が柔らか過ぎるほどでもなく、非常にバランスがいいです。脂のり具合もちょうどいい。大将が修行した京都の料理屋仕込みでしょうか。

手頃なしめ鯖も、仕込みは手間がかかるもの。丁寧な仕事を感じるものに出会えると嬉しいものです。

焼き鳥3本(360円)

板場から少し離れた入口側にある焼台で、じっくり時間をかけて焼いていきます。タレはさらっとしていますが、コクが深くヒタヒタに浸かっていなくても濃厚です。

つくね、ねぎまはタレで。居酒屋の焼き鳥に長い感想は不釣り合いでしょうから、素直に「美味しい」と一言。

手羽先も値段は同じです。こちらは塩で焼いてもらいました。八角レモンも添えられています。

皮はぱりっと、中はジューシー。こうなると酎ハイが欲しくなります。

レモンサワー(350円)

レモンサワーを飲みながら、眺めるはテレビに流れる時代劇ドラマ「鬼平犯科帳」の再放送。

少しずつ会社員風の常連さんがやってきては、入れ込み座敷に流れていきます。駅から少し離れた老舗で常連さんが中心ですから、店の雰囲気も落ち着いています。こういう酒場に浸るのはいいものです。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名大衆割烹 すみれ
住所東京都新宿区山吹町359
営業時間営業時間
17:00~23:00
定休日
日曜日
開業年1976年