神楽坂『カド』立ち飲みで気軽に味わう神楽坂。築70年の古民家で。

神楽坂『カド』立ち飲みで気軽に味わう神楽坂。築70年の古民家で。

2022年4月15日

東京・神楽坂。入り組む路地に点在するおしゃれな飲食店が「大人の街」のイメージをつくっています。この街にある立ち飲みもまた上品で独特な風情を漂わせています。店の名は『カド』。古民家の土間をつかった小さな立ち飲みスペースがあり、手頃な価格で旬の味を楽しませてくれます。

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酒と牛込神楽坂

神楽坂にどんなイメージをお持ちですか。芸者さん、芸妓さんが行き交う花街・料亭街でしょうか、それともセンスの良いカフェの街でしょうか。お酒をテーマにした当サイトとしては、牛込神楽坂は「酒」のまちという話をしたいと思います。

江戸時代、物資の輸送を水運に大きく依存していた頃、日本各地から集まる食材などの物資を水揚げ・集積する場所が江戸の各地に存在していました。酒といえば、新川(中央区)が江戸最大の酒市場として大いに発展し、現在も酒造メーカーの東京営業所や酒類問屋が拠点を構えています。

酒や米、そのほか様々な生活物資はそうした沿岸部の集積地だけでなく、さらに内陸部まで河川舟運で運ばれます。大川(隅田川)から神田川を経由し飯田濠まで運ばれた物資はここ神楽河岸で陸揚げされていたため、揚場町と呼ばれていました。そうした立地から大店(おおだな)の酒屋も存在し、「白鷹」などの銘酒を江戸・東京のまちに広めていきました。

1949年築の民家をリノベーションした居酒屋で

そうした「酒のまち」という背景もまたお酒を美味しくしてくれるおつまみです。夕暮れの神楽坂、まちの歴史を思って散策をしたあとは、ふらっと気軽に一杯売りのお酒を楽しみたくなります。

今回訪ねたお店は『カド』。約70年前の一軒家を改装した居酒屋です。その名の通り、細い路地の角に建っています。

黒塀の店構えはやや敷居の高さを感じるかもしれません。ちょっぴり背筋を伸ばして、暖簾をくぐります。

入り口が二箇所あり、左側は床の間もある格式あるお座敷です。神楽坂(住所では赤城元町)の座敷というと予算が心配になりますが、コースで3,500円からと意外と手頃です。今回はそんな座敷よりさらに気軽に使える右側にある立ち飲みを利用します。

民家の土間をリノベーションした立ち飲みスペースで、6人も入ればいっぱいになるコンパクトな空間です。早い時間から賑わい、満員で入れないことも。ちょっとした棚をテーブルにして立ち飲む場所なのですが、2席だけ椅子席も用意されています。

立ち飲みの品書き

お酒

樽生はサッポロ生ビール黒ラベル:400円、瓶ビールはキリンラガー小瓶:400円です。

日本酒は麓井酒造(山形・酒田)の麓井 美酒辛口:400円をはじめ、大木代吉本店(福島・矢吹)の楽器正宗 中取り:600円、石鎚酒造(愛媛・伊予氷見)の石鎚 緑ラベル:850円など。

そのほか、ホッピーセット:500円や緑茶ハイ:400円など。

料理

炙り〆サバ:500円、馬刺し:1,000円。立ち飲みのつまみは概ね300円均一で、この札にある2品だけが少し高級品。

牛すじ煮込み、マカロニサラダ、きびなごの唐揚げ、串カツ、豆腐の味噌漬けなど、お酒好きの心をくすぐる”気の利いた”おつまみがずらり。すべて税込み300円均一です。

手頃なのに上品、さくっと一杯の心地良いひととき

乾杯はサッポロ生ビール黒ラベル(400円)

文字通り坂の多い町ですから、『カド』へいくにも坂を登り降りします。だからこそ、一杯目の生ビールはいつも以上に格別です。それでは乾杯。

炙り〆サバ(500円)

脂がのったサバです。サバそのものの脂であぶった皮目はパリパリに仕上がっています。

それでいて、中はしっとり。〆具合が絶妙で、お酒が進むこと間違いありません。

麓井 美酒辛口(400円)

400円とリーズナブルでも、生酛造りの美味しい一杯が楽しめます。冷やしたものを頂きましたが、まろやかさと爽快感のバランスが秀逸です。

ホタルイカ磯辺揚げ(300円)

旬のホタルイカは磯辺揚げで。磯の風味がふわっと広がります。長く続く旨味の余韻にあわせるように麓井を一口。

旬の食材をつかった居酒屋料理をひとり分のサイズで手頃な価格で楽しめる。揚げ物は注文を受けてから調理する。カドが人気の理由がわかります。

会社帰りの飲み慣れたベテランさんたちに混ざって、若い人の姿もみかける老若男女に人気の立ち飲みコーナーです。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名カド(立ち飲み)
住所東京都新宿区赤城元町1-32
営業時間16:00~23:00 (土は14:00~23:00・日祝は14:00~21:30・不定休)
開業年2012年