蒲生『ときわ食堂』安くて品数豊富!お手本のようなレトロ大衆食堂

蒲生『ときわ食堂』安くて品数豊富!お手本のようなレトロ大衆食堂

2022年4月17日

東京の下町を中心に多数存在する『ときわ食堂』。昭和の時代に暖簾分けで広がりました。そのうちの一軒が埼玉県越谷市の蒲生(がもう)にもあります。居心地がよく料理は安くて美味しい。食堂飲みが好きな方にぜひ知っていただきたい一軒です。

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蒲生駅前の大衆食堂は、地元の人が集まる昼飲み処

日光街道沿いの村から始まった「蒲生」

浅草から東武スカイツリーラインで40分。南越谷駅よりひとつ浅草寄りにある蒲生(がもう)駅にやってきました。普通列車しか停まらないベッドタウンの駅です。駅前に東武ストアと小さな商店街、そしてマンションや戸建てが立ち並ぶ、典型的な郊外の街並みが広がっています。

駅の開業は120年以上昔のこと。日光街道沿いの蒲生村から続く歴史があり、新興住宅街とは違った味のある商店街が存在します。そんな蒲生で長く親しまれてきた典型的な大衆食堂が『ときわ食堂』です。

ときわ食堂とは

(ときわ食堂系統図・浅草ときわ食堂にて)

蒲生のときわ食堂の話に入る前に、まずは「ときわ食堂」の系譜を紹介します。

東京には老舗の食堂が多く続いていますが、ときわ食堂も歴史は長く、遡ると明治時代に上野・浅草にあった料亭「常盤花壇」からはじまります。同料亭の食堂部門だった「ときわ食堂(総本店・現存せず)」から暖簾分けがはじまり、東京下町・城東エリアを中心に店数を増やしていきました。

現在営業する各店は一部を除き暖簾分けの関係であり、それぞれが個人経営の食堂です。

とくに「浅草ときわ食堂」からは多くの店が誕生しており、とげぬき地蔵尊近くで連日賑わう「巣鴨ときわ食堂 本店」や、荒川区・町屋駅前の元気な食堂・町屋「ときわ町屋」も浅草からの系譜です。今回ご紹介する蒲生ときわ食堂は、町屋からの暖簾分けで誕生しました。

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蒲生のときわ食堂

そうした背景がある蒲生のときわ食堂。こちらも半世紀の歴史があり、地元密着で長く親しまれてきた食堂です。味わい深い店構えに惹かれます。

店は親子二代で切り盛りしているそうです。お客さんは何十年と通う常連さんから、近隣の若い家族連れまで様々。店の皆さんも、やってくるお客さんも世代を超えてここの”居場所”を大切にされているのが素晴らしいですね。

ショーウインドウにはときわ食堂各店が加盟する「東京ときわ会」のプレートが誇らしげに飾られていました。それでは、暖簾をくぐりましょう。

内観

一歩店内に入るとそこは昭和の食堂。一瞬でタイムスリップしたような気分になります。創業時から使い続けてきたであろう内装ですが、しっかり活きた建物は古さよりも人の熱量のほうが勝るというもの。ここに通い、ここで働いてきた人々の思いが詰まっているように感じます。

隣の南越谷と違い多くの列車が通過する蒲生は、けして人通りが多い街ではないのですが、なんと店内はほぼ満席状態です。入れ代わり立ち代わりで、皆さん食事にビールやお酒をつけて、昼飲みランチを楽しんでいます。この日は平日なのに、飲酒率は5割以上。活気のある昼飲み処という印象です。

品書き

3方向にわかれて張り出された多数の短冊メニューたち。重複したものはなく、店内をぐるりと見回さないと見逃してしまいます。

お酒

樽生ビールアサヒスーパードライ):500円、瓶ビールアサヒスーパードライ)小瓶:400円・大瓶:550円。

清酒二級:300円、清酒一級:350円。

酎ハイ類も充実しており、焼酎ハイボール:350円、ウイスキーハイボール:400円、ウーロンハイ:350円、りんご酢サワー:400円、ほうじ茶ハイ:400円、緑茶ハイ:400円。

黒板メニュー

ホタテ貝刺身:450円、まだこ刺身:450円、つぶ貝:400円、たらこのうま煮:400円、カニグラタンコロッケ:450円、本日の定食鯖の塩焼・さつまあげ煮つけ):600円など。

定番メニュー

料理は50品以上。しかも500円未満が多く、あれもこれも食べたくなる、食堂飲みの醍醐味がつまった内容です。

まぐろのブツ切り:500円、まぐろの刺身:650円、鯖の味噌煮:400円、赤魚粕漬焼き:400円、海老とホタテと野菜炒め:500円、うなぎ蒲焼き:700円、ホルモン焼:250円、豚テキ:500円、豚かつ:500円、エビフライ:650円、エビカツ:400円、カキフライ:450円、餃子:300円、シューマイ:400円、鳥の唐揚げ:400円、クリームシチュー:400円、野菜炒め:350円など。

ご飯ものでは、人気の鉄火丼:800円、チャーハン:600円、かつ丼:650円、親子丼:600円、カツカレーライス:650円、肉豆腐定食:700円など。

あれもこれも食べたくなる!ご近所さんが羨ましい

アサヒスーパードライ大瓶(550円)

大瓶が税込み550円。食堂は居酒屋よりも少しお酒が割高なイメージがありますが、こちらはとってもリーズナブル。キンキンに冷えたスーパードライの大瓶が嬉しい!

トクトクと注いで、それでは乾杯!

まぐろのブツ切り(500円)

鉄火丼やまぐろ刺身が美味しいと評判を聞いていました。みてください、この分厚い中トロ!

脂がのって桜色がかっているものの目立つスジはなく、かなり良い部位ではないでしょうか。旨味と爽やかさが格別です。

さば味噌煮(400円)

大衆食堂を代表する料理と言っても過言ではない、大定番の鯖の味噌煮。どこにでもある食べ物だからこそ、味の差に敏感なものです。

蒲生ときわ食堂のさば味噌は頼んで大正解の逸品。チャーハンのお皿でおなじみ、ちょっと深めの八角皿にはみ出すほどの大きさの分厚い鯖がのっています。

脂が乗っており、甘く旨味たっぷりの味噌が絶妙な塩梅で染みています。とろっとした食感と広がるコクは、ビールだけでなく日本酒・酎ハイを誘うこと間違いありません。常連さんたちの飲酒率の高さがわかったように思います。

さば味噌煮400円、まぐろぶつ500円、瓶ビール大瓶550円。締めて1,450円の、幸せな昼飲みセットの完成です。

焼酎ハイボール(350円)

ただ、これだけ美味しいおつまみがあってスーパードライ633mlだけでは足りるはずもなく、次のお酒を悩むことに。

冷蔵ケースをみると、どうやら炭酸は博水社のハイサワーブランドのもののようです。瓶入りの炭酸が似合う店ですし、ここは焼酎ハイボールでしょう!

嬉しいことにレモンスライス入り。弾ける瓶詰め炭酸と濃いめの甲類焼酎に、お昼飲みの背徳感はどこへやら。ほろ酔いになって、ベテランの常連さんたちがつくるふわっとした空気感に心がとけていきそう。

ときわ食堂各店で飲んでいますが、蒲生のときわ食堂はひときわ心地の良いレトロ食堂です。品数の多さ、手頃な価格設定、そして店そのものの味わいとロケーション。食堂飲みがお好きな方にはぜひ訪ねて欲しい一軒です。

※食堂ですから昼食の混雑時は、お酒を飲んでも長居は禁物です。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名蒲生ときわ食堂
住所埼玉県越谷市蒲生寿町17-45
営業時間10:00~14:00・17:00~21:30(木定休)
開業年約半世紀前