高知「松ちゃん」たっすいがは、いかん!〆の餃子で最後まで美味しく

高知「松ちゃん」たっすいがは、いかん!〆の餃子で最後まで美味しく

2017年3月23日

高知の中心地でランドマーク的な存在のはりまや橋周辺は、昼間こそ銀行や百貨店、オフィスビルが立ち並ぶ上品な雰囲気ですが、これが夜になるとがらりと表情を変えます。

隣接する中央公園では、毎年3月になると「おきゃく」、高知弁で宴会を意味する名のイベントが開催され、公園の中央にはお祭りのイメージゆるキャラ「べろべろの神様」がノンベエを見守るという、とてつもないイベントが毎年開かれます。(今年は残念ながら終了。)

とにもかくにも、お酒が大好きな高知の人々。お祭りの日も、そうでなくとも、日々べろべろの神様のご加護で飲み歩いている模様。

中央公園からグリーンロードを北へ、歓楽街の追手筋と交差するあたりも、昼と夜の顔が全く違います。昼は普通の道路に挟まれた緑地帯ですが、夜は四国最大の屋台酒場が現れます。屋台は特別な日でなくとも大賑わい、みんな飲んで食べて大笑い。

以前より屋台の数は減ってしまったと聞きますが、それでも大きいテントが7軒ほど並ぶ光景は圧巻。高知の夜を語るうえではずせません。

大半が餃子を看板料理に掲げる酒場なのですが、ここ「松ちゃん」はひときわ賑わう一軒。県外の人も酒国 高知の観光名所として飲みに来ていますが、それ以上に地元の人率が高い。東京はほとんど屋台がないので、こんな空間が日常にある高知が超うらましい!

飲み物はビール(500円)、焼酎、日本酒(各400円)、以上3種類。寒くても暑くても、テントの中はまるで別世界。至るところに瓶ビールがビル群のように立ち並びます。

全国的標準のキリンラガーのキャッチフレーズは「グッとくる、コク・飲みごたえ。」なのに対し、この独特な飲酒文化が根付く高知だけは「たっすいがは、いかん!」と特殊。張り合いをもって元気出して飲みましょうという意味。

料理は餃子、塩ラーメン、醤油ラーメンのたった3種類。冬季はここにおでんが加わります。

足から伝わる土の感触、ブルーシートに囲まれた空間に吊るされた裸電球型LED。非日常感の極みのような空間で食べるおでん、そしてキリンラガー(CL)は美味しいにきまっています。

何軒梯子したあとでも食べられるという魔法の餃子は8個で600円。焼くときに油と水を混ぜて火柱をつくり、その中を揚げるように一気に火を通す独特な調理法。薄めの皮はぱりっと仕上がり、なかはほろほろと口の中で広がるような食感です。キャベツ、ニラ、ひき肉と定番の具材ですが、かなり細かくされているのがポイント。

一日平均2000個を仕込むそうで、深夜だというのに飛ぶように売れていきます。

酸味の強いタレは、餃子の味をより際立たせます。これを食べたあとの余韻によって、ビールが勢い良く吸い込まれてしまう。あぁ、今日はほどほどにしようと思ったのに、べろべろの神様が降臨しそう。(※適正飲酒内で取材しています。)

昭和40年代の味をいまに残すキリンクラシックラガーは鉄のような苦味と渋さ、コクの強いビールですが、それと松ちゃんの餃子はベストパートナー。これぞ、まさしく高知の夜の味。

街の規模はさほどでもない高知ですが、夜の料飲店のパワフルさは凄まじいものがあります。お酒好き、酒場好きの皆さんは、ぜひ大人のテーマパーク的な感覚で高知に”飲むことだけ”を目的に旅にでてみてはいかがでしょう。

袖触れ合うも他生の縁、隣に座る地元の常連さん(半分、べろべろの神様が降臨している感じが素敵)と乾杯するのもまた楽しいですよ。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/キリンビール株式会社)

松ちゃん
高知県高知市廿代町6-27
20:00~27:00(日定休)
予算1,400円