東京都品川区、武蔵小山から始まったパワフルせんべろ酒場「晩杯屋」。あれよあれよと店を増やし、いまでは東京の山の手側を中心に20軒以上展開中です。
赤羽の老舗立ち飲み酒場をアレンジして、より使いやすく、さらに女性一人でも入れるような雰囲気にしたことが大きなポイント。いま話題の「せんべろ」のブームともあいまって、急成長をしています。立ち飲みや、千円ちょっとで飲んでいくというスタイルの裾野を広げる酒場。ここを入門として利用し、いずれはコテコテの酒場にもぜひ顔を出して欲しいものです。創作料理を個室で楽しむだけが若者の居酒屋利用じゃない、もっと身近に、もっと親しみやすく飲み歩いて欲しい。そういう視点からは、晩杯屋の意義は大きいのではないでしょうか。
東急東横線では中目黒と祐天寺に出店しているので、さらに一駅自由が丘に近づいたといったところ。渋谷にも店があるのですでに東横線沿線の酒場好きの間では馴染みの「晩杯屋」なのかもしれません。
厨房側に向いたカウンターが一列とテーブルが数卓の配置。最近の晩杯屋は比較的店作りに余裕があり、他のお客さんとの距離もとれるので入門としては最適。店の作りは厨房や床、テーブルまで最近のお店と同じです。
ビールはキリン一番搾り。500mlジョッキにたっぷりはいって410円。学芸大学でハッピーアワー中の店を覗けばおどろきの低価格。開店初日の取材だから、というわけではなく、いつも晩杯屋のビールは質がいい。
それでは乾杯!
商店街に面した立地。お向かいのドラッグストアや路地を行き交う人をぼーっと眺めながら、まずは生ビールと冷やしトマト。夕方の穏やかな日差しを眺めて飲むビールは、毎日のんでも格別です。冷やしトマト150円をつまみに、いつもの雰囲気に浸ります。
まぐろ刺し(200円)は日によって大きく内容が変化しますが、取材時(9月26日)はメバチマグロが小ぶりながら、いい赤身が盛られていました。
最近の晩杯屋でのお気に入り、揚げたてさつま。その名の通り注文が入ってからお店で揚げてくれます。さつま揚げの揚げたてはたいてい美味しいものだ、なんて言われれば元も子もないですが、立ち飲みで100円ちょっとで揚げたてをクイックに楽しめるお店はありそうで実は少ない。
柔らかくふんわりとした食感、軽く油をすってきつね色になった外側に生姜と醤油をしっとりまぶして、やっぱり美味しい。
最近は小売店でも「馬ハイ」というフレーズが使われていると聞きますが、晩杯屋といえば、スコッチのホワイトホースを使ったウィスキーハイボールが人気です。国産ウィスキーとは違ったスモーキーな香りと、店で作ってその場でディスペンサーから注がれる強炭酸の口当たりがくせになります。意外と魚系との相性がいい。
博水社のハイスキー、ポッカサッポロのリンゴ酢やチュートニック、宝酒造のゴールデン、そして一番人気の酎ハイ「緑茶割り」など、他の晩杯屋と変わらないドリンクのラインアップ。
おつまみもほぼ共通のようですが、近所にあったら嬉しいということには変わりありません。
さんま刺し310円、晩杯屋価格は200円未満が中心なので高級に感じますが、他の酒場で考えたらそれでも半額くらいの値段設定です。ちゃんと季節感ある料理や食材がでてくることもあり、店数が増えたとは言え、まだまだチェーン居酒屋にない魅力は健在です。
元気な商店街が伸びる学大に、晩杯屋がさらなる賑わいをつくることに期待です。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
晩杯屋学芸大学駅前店
03-3712-6070
東京都目黒区鷹番2-15-10
15:00~24:00(土日祝は13:00~)
予算1,200円