皆さま、本日の酒場はもう決まりましたか?今夜はあえて都心部から離れて自宅付近の酒場を目指してみてはいかがでしょう。ターミナル駅周辺の酒場にはない地元密着ならではの魅力が見つかるはずです。
東急目黒線の武蔵小山駅周辺は、巨大なアーケード街に路地裏にはグルメや飲兵衛が集う銘店が立ち並びますが、ここも都心の酒場とは違った楽しさがつまっています。
今回はそんな武蔵小山から、通えば通うほどハマるような銘店「ゆうちゃん」をご紹介します。武蔵小山駅からは徒歩5分。再開発が計画されているエリアから離れていることもあり、より地元密着色の強いお店です。
ドリンクはビール、サワーが多く、地元の常連さんは真露のボトルを入れている人も多そうです。
お店の入り口にも幟がありましたが、このお店は「割るならハイサワー」でお馴染みのハイサワーを提供しています。お店から徒歩10分の場所にハイサワーなどの割材を販売している株式会社博水社の本社があり、まさにご当地ドリンクというわけです。
それでは、ハイサワーレモンで乾杯!
お店はご夫婦で切り盛りされていますが、お店に立つのはご主人の担当。飲食歴の長いご主人がつくる料理は家庭的というものではなく、飲兵衛の好みを知り尽くした完璧な居酒屋味。お通しの大根と厚揚げ煮は、飲み始める前の準備運動に丁度いい。
さて、ゆうちゃんの本気はここからです!とにかくすごい料理があるのですから。
まずはコレ!ゆうちゃん豆腐(550円・税込)。豆板醤やごま、食べる辣油とも違った麻辣の効いた焼き豆腐です。かなりのボリュームがあり、一人ならばこれでだいぶ満腹になりそう。ご主人のオリジナル配合のピリ辛ソースと、表面をきつね色になるまで焼いた固めのお豆腐との相性はとにかく抜群。
これを肴にハイサワーを飲めれば、みんな頷いてにっこりになるはず!
そして、もう一つの名物がこれ、巨大スペアリブ(900円・税込)。もちろん2個のって一人前です。たっぷりのレタスと、これだけで単品として出せそうな隠し味にはちみつを入れた自家製ポテトサラダ、そして飲兵衛に優しい冷やしトマトもごろっとのっています。
ご主人によると、「なにかインパクトの有る肉が食べたい!」というワガママ常連さんが居るそうで、既存メニューに有るカツ煮や焼鳥ではなく、「肉!」というものをという要望があり、ご主人が「じゃあ思いっきり食べさせてやる」ということで誕生したメニューとのこと。
原価がかかることからこの値段で出すことで夫婦げんかになりそうだったとか。
食べごたえ十分、チョイ辛めながら豚の旨味をうまく引き出すような味付け。武蔵小山にきたら食べておきたい一品をこちらで発見しました。
お酒が大好きでたくさん飲んでいたと話すご主人。いまはドクターストップで一切飲んでいないとのことですが、味付けは飲兵衛の心をよくわかっていらっしゃると感じるものばかり。
「なゆさんも全国飲み歩いているんでしょうけれど、私も若い頃は全国各地を巡りましたよ」と話すご主人。旅行趣味ということではなく、お仕事だったそうですが、聞いてみるとびっくり!
なんと以前は歌手だったのだそう!若いころのジャケットの写真を見せていただきましたが、超イケメンじゃないですか!
長谷次郎で検索すると「長崎恋唄」などの情報がでてきました。歌手を引退後はずっと武蔵小山で居酒屋をされているのだそうです。
ハイサワーレモン、ハイサワーグレープフルーツと飲んできまして、三杯目はちょっと違ったものを試してみようと、赤ワインとハイサワーグレープフルーツを1:1で割った「赤deハイ」を飲んでみることに。
赤ワインがハイサワーでぐんと軽くなりゴクゴク飲めるドリンクになっています。赤ワインを飲む気分ではないけれど、なにか爽やかなのが飲みたいなんてときにぴったり。
焼鳥(1本120円)もこだわっていますから!とオススメいただいたので、いくつか焼いていただきました。タレは冷蔵庫で寝かせている自家製、もちろん焼鳥はお店で串打ちしているオリジナルのもの。丁寧な仕事がされていて、1本1本が納得の美味しさです。
メニューに書いていない料理もなんでも作るのがご主人の方針だそう。常連さんが家族を連れて食事に来たときには、ハンバーグやスパゲティ、オムライスまで作ったのだそう。食材がなければ仕入れに行くけれど、あんまり無茶をいうときは予約してほしいなと苦笑い。
奥様も映画にご出演していたそうで、ご夫婦揃っての芸能の世界にいた人。お店には出演していた石原裕次郎のポスターも貼られていて、どこか撮影所近くの酒場のような雰囲気も。
サービス精神から生まれた名物料理「スペアリブ」に、なにより腕の良さが魅力。ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょう。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/株式会社博水社)