札幌駅近く、札幌駅前通りから一本入った路地にある飲食店ビルの地階にあるお店「典ノ庭」。駅はもちろん、札幌東急百貨店など商業施設からも徒歩1分程度の繁華街にありながら、地階ということもあって、知る人ぞ知るという感じのお店です。寒さと雪で冬の時期は厳しい環境となる北海道は、東京や大阪のように飲食店が横丁にずらっと並ぶような場所は実はほとんどなく、だいたいはここと同じように密集した飲食店街の中にあります。
北海道・札幌で飲むならばここがおすすめ!と、地元の方に昔から教わっていました、ちょっとした憧れのお店です。
個人経営でいい感じのほっこりする佇まい。観光客向けではなく、近隣で働くサラリーマンや近隣にお住まいの方が集う、地元酒場です。派手さはないけれど、こういう地元の人が集うところにいいお酒とおつまみはあるというものです。
入ってすぐにカウンター、奥にはテーブル席もあり、聞けば37席となかなかの大箱です。あちこちに貼られている短冊には、やはり札幌らしい内容がずらり。札幌をテーマにした酒場は日本中にあり、こういうメニューラインナップですが、本家・札幌のお店で飲むのはまた格別ではないでしょうか。
ビールはもちろんご当地生まれのサッポロビールがつくる道内限定生ビール・クラシックです。座ると同時に生ビールを頼んで、なにはともあれ乾杯です。
クラシックの生は460円など、単品飲みはもちろんありますが、飲み放題を頼むのが一般的のよう。二時間1500円は、確実にこちらのほうがお得ですもんね。クラシック、何杯でも飲んでしまいますから。日本酒は釧路の福司、増毛の國稀、小樽の親玉など、地酒多数。
飲み放題はコース専用というわけでもありませんので、おすすめ料理から食べたいものを選びます。ルスツ産のウドやタラの芽、富良野のアスパラなど、産地からして嬉しくなってきます。ちなみに、ルスツという地名を恥ずかしながら初めて目にしましたが、洞爺湖の北側、尻別岳の麓の地域だそうです。
ホッケ、イカ、ししゃも、極め付けは、じゃがバターは当然のように塩辛付きというところ。居酒屋ほど、土地ごとの色がでるお店はないかもしれません。北海道をテーマにしているお店ではなく、地元の定番酒場でこの顔ぶれというのが素晴らしい。
自家製しめ鯖(640円)。脂控えめ、すっきりとした味ながら、酢はきつすぎず中心はほんのりやわらかです。
ガッコチーズにゴーヤチャンプル。飲兵衛好みの気の利いたメニューばかりで、ビールや日本酒が止まらない。
イカの塩辛揚げというキャッチーな名前がさっきから気になって仕方がありません。頼んでみると、本当に塩辛の味がするイカの唐揚げが登場。えっ?と思うでしょう。これが実に美味。塩気が強いので、血圧が心配な方はほどほどがよいかもしれませんが、もうビールを持つ手がジョッキから離れなくなるほど、素晴らしいものです。
かなりぷっくりと成長しているアスパラ。焼きも天ぷらもどちらでもできますよ、とのこと。成長しているので固くなっているかと思ったら、ほどよくぷりっとした食感で、中はとっても甘い。軽く塩をつけて、さらにサクサクと。さすが食の宝庫、東京ならば世界中の食材がなんでも食べられると勘違いしちゃうけど、やっぱりこうして現地で食べると全然違いますね!
玉露割り、男梅サワー、パンチレモンサワーなど、サッポロのお馴染みのサワー類もいろいろ揃います。ビール3杯、日本酒で國稀などを飲んで、最後はサワーでゆったり飲んでいく。一軒目にちょうどいい流れでしょう。
ジンギスカンまで置いているので、札幌らしい食べ物はだいたいここで揃いそう。まだまだ食べたいものがいっぱいです。
札幌駅周辺に宿をとったなら、あれこれ悩むのもいいけれど、こういうほっとする定番地元系酒場もいい選択肢だと思います。もちろん、札幌近隣にお住まいの方も駅近でおすすめしたいです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/サッポロビール株式会社)
典ノ庭
011-232-5525
北海道札幌市中央区北三条西2 カミヤマビル B1F
17:00~23:00(日祝定休)
予算3,000円