私はお酒が大好きです!酒屋が大好きです!
いまさら定義しなくてもわかっているよって?
お酒好きにとって、酒屋はひとつの聖地みたいなもので、とにかく酒屋に行くとテンションがあがります。アニメやゲームオタク(いい意味で)がアキバ系なお店に行くのも、ディズニー好きが東京ディズニーリゾートにいくのとも同じ感覚。酒屋に行くと目をキラキラしながら銘柄を眺め、愛でてしまいます。角打ちをやっていたり、レストランを併設していたら尚更、入り浸ってしまいます。
そんな酒屋マニアな私がテンション上がりっぱなしになったお店が足立区の西新井にあります。
駅から徒歩7分ほど。夏の夕暮れ、ふらふらとお散歩がてら向かった先にあるのが「ニブ」。酒屋名は松屋酒店です。もともとは街の酒屋として営業されていたそうですが、代替わりして現在の若いご主人がオシャレに大改装。その後も日中はお酒の販売を、そして夜は店内で飲める二毛作スタイルで営業をスタート。その後、角打ち営業というか飲食のほうがメインになって、現在はオシャレ酒屋レストランとして賑わっています。
店構えは昔からの商店の入り口を改装しただけに見えますが、店内はロッジ風の吹き抜けになってその開放感に驚かされます。カウンター側の壁には一面日本酒がずらり。どっしり銘柄から最近話題の若い人に人気のものまで幅広い取り揃え。冷蔵庫にもワイン、クラフトビール、日本酒が所狭しと保冷されています。
埼玉の「新亀」、千葉の「一喜」、静岡の「白隠正宗」など10種類以上がグラス(120ml)がワンコイン500円(税抜・以下同じ)で並びます。
酒屋のいいところは、なんでもあるところ。日本酒だけではありません、ワインだってなかなかの品揃えです。国産ワインや自然派ワインにも力を入れて揃えられています。そんなボトルワイン、3本飲むと4本目がプレゼントとなる飲兵衛に嬉しいサービスがあります。これは通うしかありません!
クラフトビールも国産、海外のものなど各種あります。さて、何から飲み始めましょう。
気になる銘柄が勢揃いしていてテンションが上がりっぱなしですが、ここはまずは定番の生ビール(450円)を。うすはりグラスに注がれた極上な黒ラベル。いつもの銘柄でスタート、それでは乾杯です!
うすはりグラスに入るだけでこんなに味の感覚が変わるのかと驚きます。
ここの黒ラベル、美味しい!いえ、どこの黒ラベルも美味しいのですが、グラスが違うからでしょうか。それとも、酒屋として取り扱いがしっかりされているから?とにかく二杯はハイピッチで飲み干してしまいました。
さて、そろそろ本格的にあれこれ飲み始めましょう。まずは静岡県修善寺のクラフトビール「ベアードビール」を。複雑な旨味があり、じっくり飲んで美味しいビールです。
ワインに合うおつまみ、日本酒に合うおつまみ、お酒のバリエーションが多いので料理の種類も多く、どのお酒で飲んでもあわせるものがしっかり揃うのは素晴らしい。ビールには、チーズやサーモンがたっぷり入ってパクチーが盛られた生春巻きを。
ここのお料理は総じて美味しい。お酒との相性もよくて安心して注文できます。
日替わりのオススメからつくねをチョイス。表面をカリッと仕上げたつくねには卵の黄身につけて頂きます。ビールとの相性もいいですが、これは白ワインと飲み進めていきたい一品。つけあわせのサラダはアボガドと塩昆布が和えられていて、これまたお酒が進みます。
ボトルワインは種類がとにかく豊富なのでご主人と相談しながらエチケットを見せてもらいつつ選んでいきます。なにせ100種類以上ということですから、聞いてみなければわかりません。でも、ワインってお店の人が仲介しての出会いを楽しむものだと思っていますから注文も実に楽しいです。気になるボトルの料金ですが、2,300円、3,300円、3,980円の3種類しかなく頼むときも安心。
そのほか、お店がオススメしている弱発泡の白ワインで、食中酒向けのフレッシュワインV.Vは1,980円。ポルトガルのヴィーニョヴェルデ種のワインです。味はかなりすっきり、酎ハイやビール感覚でごくごく飲む感じのもの。
お店の看板メニューは生ハム(700円)をつまみにワインが進みます。プラス280円で大盛りに、生ハムのほかにもサルーミはいろいろあるので盛り合わせも注文できます。専用マシーンで薄くスライスされてブラックペッパーとオリーブオイルで味を整えた生ハム、なるほど看板メニューなわけです。
豚軟骨をつかったコリコリ軟骨のスモークソテー(500円)をもう一品ワインと合わせるために注文。豚軟骨を1mm幅くらいにスライスして香り楽しい一皿。こういう方向で軟骨をカットしたのは初めてですが、食感がおもしろく、旨味も強い。
ワインを飲んでごちそうさま、とならないのが私。ここから日本酒タイム。
480円で正一合提供される菊正宗酒造の本気銘柄「特選」は、生酛づくりです。これは普段私たちが一般的に口にしている菊正宗との違いが明確ななかなかの美酒。もともと菊正宗は大衆酒場や老舗のお店で普通に飲んで安心できる銘柄ですが、本気銘柄のポテンシャルは流石高いです。
この可愛い一合瓶が徳利代わりで登場しますが、もちろん中身はこの瓶で通常飲まれている上撰とは異なります。
このキクマサにあわせるのなら、私はこれ「マッシュポテトとひき肉、たっぷりのホットチーズかけ」(600円)。味のしっかりしている日本酒には実はチーズが相性抜群なのです。マッシュポテトのなまらかな舌触りにひき肉のアクセント、後を引くチーズの旨味。その余韻にあてるようにキクマサをくいっと。
日本酒とワイン、両立しているのはさすが酒屋。どっちで飲み進めても幸せな気分になります。
お酒好きのテーマパークのような空間。おしゃれな空間なのでデート利用もできるしお酒好きの友人と女子会に使ってもいい感じ。もちろん、しっかりとあれこれ飲みたい下町酒場好きの男性陣にもオススメの一軒です。
駅から少し距離がありますが、酔い覚ましにはちょうどいいお散歩コースかもしれません。ご興味がありましたらぜひ。
最後に訪問日注意。なんとこのお店、金・土・日・祝のみの営業!曜日を狙って飲みに行きましょう。
ごちそうさま。
取材・文・撮影/塩見 なゆ)
nibu (ニブ)
03-3886-2270
東京都足立区関原3-28-11
17:00~23:30(金土日祝のみ営業、日祝は22:00まで)
予算3,000円