渋谷は若い人の街、最近はすっかり通過するばかり…なんて方も多いのではないでしょうか。でも、忘れないでください。渋谷はかつて若者だった頃に通っていた”あの店”がまだ現役ということに。
“あの店”は人それぞれ違うでしょう。進化する渋谷の街は意外なほどに、老舗の飲み屋が豊富です。昔通った人も、これから知りたい酒場好きの方も、渋谷の老舗暖簾を覗いてみませんか。
1963年(昭和38年)創業の「鳥竹」も、そんな渋谷の老舗暖簾です。京王井の頭線のホームにまで焼鳥の香りを漂わせてきた渋谷の狼煙ですが、55年目を迎えた今年(2018年6月7日)、なんと同じ渋谷・道玄坂に二号店を開きました。
え、あの鳥竹が二号店!?その衝撃は、渋谷「鳥竹」へ通ってきた人へまたたく間に広がりました。
道玄坂二丁目にできたことから、店名は鳥竹二丁目店。本店から徒歩1~2分ほどの距離しか離れていません。ピーク時、鳥竹は満席でしたので、二店舗目の開店は喜ばしいことです。
一階は厨房と、お一人様に嬉しいカウンターや立ち飲みテーブルを完備しています。
最新設備が整備された厨房。従来店のように店内まで燻すような煙はありません。これでおしゃれ着でも「鳥竹」が使えます(笑)
打ち立てのフレッシュな串をそのまま炭火焼きにする方式に変わりなく、質の高い焼鳥が期待できます。
テーブル席ずらりと並ぶ二階(46席)。こちらも非常に清潔感があります。
一杯目は、悩むことなく生ビール。樽生はサッポロ黒ラベルで、ドンと巨大な大ジョッキは790円。瓶ビールは、赤星ことサッポロラガーの大びんは630円。酎ハイ類は450円から。飲み物の品揃えはシンプルですが、下町酎ハイ系の味がする「バリキング」が、1バリキ、2バリキと、謎めいています。
状態が抜群にいい鳥竹二丁目店の生ビール。フレッシュで注ぎもキレイです。
では乾杯!うん、美味しい!
こうして手で持つと大ジョッキの大きさも伝わりますか。もはや、これは筋トレです(笑)
20代の頃、鳥竹の焼鳥は「渋谷の贅沢」でした。なにせ、1本300円ですから。それでもたまに食べに行っていたのは、やはり値段相応の美味しさと食べごたえがあるからで、今も鳥竹の焼鳥は変わらぬ美味しさです。
皮なべ、肝なべ、笹身なべ、そして鳥なべと、鍋が揃っているの特長で、一人用鍋が1,000円前後とこちらも魅力的です。唐揚げ、煮込み、皮いため。老舗ゆえ、どの料理にもそれぞれファンがいます。
箸袋の幅よりも広く、ふっくらした焼鳥(300円)。かつて渋谷川沿いに鰻屋が多かった渋谷は、その名残か、うなぎ蒲焼用のボッカ串を使うお店が多々あり、鳥竹もその一軒です。
左手に焼鳥、右手に大生黒ラベル。あの頃感じた鳥竹の幸せが、いまこうして新しい店舗で楽しめていることが嬉しいです。
骨の周りの肉が美味しいといいまして、好物であるナンコツを塩で1本。やげんなんこつの周囲にたっぷり肉が付き、これが驚くほどジューシーでコク深いです。わさびを軽く載せて食べるのがおすすめ。首肉、そり、ぼんぼちも人気の部位です。
醤油を軽く垂らした大根おろし(お通し)と一緒に頬張れば、旨味と爽やかさの絶妙なバランスが楽しめます。日本酒と合わせたくなること間違いなし。
黒ラベルが誕生した1977年よりも前から営業してきた鳥竹。その時代に飲まれ、現在も変わらず続くサッポロラガービールは鳥竹に似合います。
赤星に合うおつまみは?と聞かれると、いつも困ってしまいます。お店それぞれで異なりますから。例えば鳥竹ならば、私は煮込み(620円)をお供にしたいです。
鳥の鳥竹ですが、煮込みは豚もつ。シロだけでなく、スジが入るのが特長です。白味噌ベースでさらっとしています。塩味は控えめでコク強め。丁寧に煮込まれ、されによって脂やクセが削ぎ落とされ、焼鳥の後でも箸が進む逸品です。
健康第一。野菜も食べませんとね。和風サラダは380円と注文しやすい値段です。
さて、そんな素敵な渋谷の老舗の二店舗目「鳥竹二丁目店」へ、乗り換えの合間や途中下車で、軽く一献を楽しまれてみてはいかがでしょう。
お昼12時から通しで営業していますので、午後のちょっとした時間の幸せタイムにもおすすめです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
鳥竹二丁目店
03-6455-2830
東京都渋谷区道玄坂2-6-3
12:00~23:30(原則無休)
予算2,800円