新橋「ビアライゼ’98」 伝説のビールは日常のすぐ隣にある

新橋「ビアライゼ’98」 伝説のビールは日常のすぐ隣にある

2015年5月28日

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ビールはお好きですか?私は大好きです。夏の夕方、ほんの少し暑さのおさまったころに、一日の仕事の疲れをねぎらうように喉に流し込んでいくビールはまさに究極の癒やしです。どんなにワインや日本酒な気分でも、やっぱりビールから始めたい。だって、日本の酒場の基本はビールスタートと決まっていますから。

「新橋が通勤圏内なのですが、新橋で美味しいビールが楽しめるお店はどこですか?」と質問されたことが何度もあります。特定のビールメーカーで固定して考えないのであれば、やはりここ「ビアライゼ’98」をまずは試して欲しいと紹介します。

新橋にはほかにもビールの美味しいお店はいくつもありますが、ここ「ビアライゼ’98」はビールマニアの間では聖地となっています。

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お店はカウンターと簡単なテーブル席が並ぶ昔ながらのビアホールタイプ。特別なおしゃれ感や演出はありません。そこにあるのは、ビールを美味しそうに飲むお客さんたちの幸せな表情と、職人技で最高のビールをいれるドラフトマスターをはじめとした雰囲気のいいお店の方たちの醸しだすいいムードだけ。それだけなのに、お店は爽快感で溢れています。

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こちらのビールはアサヒです。ただし、一般的なスーパードライではなく、まるエフと呼ばれている吹田工場でのみ生産される特別な商品。このまるエフ、アサヒビールの業務用商品カタログにも記載のない、まさに知る人ぞ知るビールです。

スーパードライが登場するまでアサヒの主力商品だった、辛口ドライになる前のビール。味はスーパードライでは主張していないコクがあり、飲んだあとの余韻はドライに近い。Syupoはメーカーのサイトでないので他社商品で例えてみますと、キリンラガーとスーパードライをハーフ&ハーフにしたような印象。東京でも数軒でしか味わうことが出来ません。

使用している生ビールディスペンサーも60年前のドラム型氷冷サーバーで、これが見ていてカッコイイ。注ぎ方は二度注ぎ。最近のサーバーのように泡をつくって載せるのではなく、一回目に注いだ勢いでできた泡を落ち着かせ、大きな気泡をナイフで落とし、最後に滑りこませるようにビルドして完成という方法。見ていてうっとりします。

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そうして注がれたビールは私たちが居酒屋で飲んでいるアサヒとは大違い。見た目も美しくグラスの縁に流れるビールのにじみ方もまた艶やかに感じます。

それでは、聖地で憧れの一杯を手に持って、乾杯!

注ぐときに最初に泡を作りながら勢い良く入れていくため、ガスがだいぶ弱まっていて口当たりがいい。炭酸で痛いくらいが美味しいと感じさせるお店もありますが、ビアライゼのこの優しいのどごしもまた最高です。

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バスペールエールも同様な注ぎ方で提供されます。芳醇な香りの主張がやや強めのバスペールエールも、ビアライゼのドラフトマスターの腕にかかれば、あら不思議。普段飲むビールでは感じない甘さが心地いいです。

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飲みやすいまるエフや、甘さが心地いいバスペールエールだけを飲んでいるとピッチコントロールができずに飲み過ぎてしまいそうなので、スタウトをもらってペース調整。

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今回は飲み放題コースを利用していますが、伝説の職人技を何杯でもおかわりできるというのはビール好きには天国のようなもの。ほかにもボトルワインやまさかの白鷹なども取り揃えています。

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ビアホールですので、ほかにも色々あってもやはり飲みたいのはビールでしょう。吾妻橋の東詰にあるアサヒビール本社のとなりで生産している小ロット生産の隅田川ヴァイツェンも選べます。

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さて、フードはといいますと、これがしっかり日本のビアホールという感じで私は大好き。まずでてくるキャベツやきゅうりはピクルスではなく浅漬け。これだけ見れば、完全に居酒屋メニュー。

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サラダもどこか懐かしい、ちょっぴりハイカラな生ハム入りです。

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そして、やはりビールにはソーセージでしょう。ザワークラウトではなくモヤシが添えられているのもお店のこだわり。あくまで、日本の大衆空間であることを料理から語っています。

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名物のメンチカツ。ビアライゼにきたらこれを頼まなくては話は始まりません。たっぷりデミグラで濃い目の味付けになったメンチはカチカチになっています。この硬さがビールでマンネリ化した喉にほどよい刺激。そしてまたビールが飲みたくなります。

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おもしろいのが、コースでも登場するのですがお刺身があること。ビアホールでお刺身、あまりみない組み合わせです。そういえば、大衆酒場ではお刺身をビールの肴にすることは日常ですよね。しっかりビールと合います。

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ウィスキーはニッカか竹鶴があります。(コースではニッカ)
ビールを飲み続けてきたときのお口直しに。

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どこか懐かしい料理が続きます。しっかり濃い目の味付けがビールと好相性の鶏の照り焼き。ポテトが添えられているのも、さすがビアホール。

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アサリの白ワイン蒸し。ガーリックがたっぷり効いています。

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最後に炭水化物でパスタ(この日はボンゴレ)が登場。私はやはりビール担当というか、炭水化物は本当に食べないタイプなので同席されている皆さまにほとんどおまかせして、最後にビールを数杯もらっておきましょう。

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何杯目でもこのクオリティで飲める素晴らしさ。アサヒのビールでもまるエフの味は別格です。

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ここのドラフトマスターを務める松尾光平氏は伝説のビアホール灘コロンビアの技術を受け継ぐ生ビールの神様のような人。アサヒビールを入れたら日本一の方。

そんな特別なビールが、実は新橋の飲み屋街の中に普通にあるというその事実がなにより素晴らしいと思いませんか?お仕事帰り、いつもの酒場もいいけれど、ほんの少し寄り道するだけでこんなビールに出会えるのですから。

ごちそうさま。

 

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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

ビアライゼ’98
03-5512-5858
東京都港区新橋2-3-4 新橋パークビル1F
16:00~22:30(日祝第2・4土定休)
予算3,500円